★ メンデルスゾーン 交響曲第4番 『イタリア』 ★
今日はシューマンのラインと同様に、私が小学生の頃からとても親しんだ軽快なシンフォニー、メンデルスゾーンの『イタリア』でいこう。
交響曲第4番イ長調『イタリア』作品90 は出版順にナンバリングされたメンデルスゾーンの交響曲の中で、実際には3番目に作曲されたものだ。
全部で5曲遺されたNo.付きシンフォニーの中で、第3番『スコットランド』と並んで人気の高い交響曲だが、私は父が大変好んで聴いていたこともあって、世間での演奏頻度を遥かに越えた度合いで聞いていたことを思い出す。
反動からか、大人になってからはあまり聴く機会がなかった。
今日改めて聴いてみると、冒頭から物凄くユニークなシンフォニーなのだが、うーん、やっぱり一分の隙も無いメンデルスゾーンの構築美を再認識した。
〇 イタリア 〇
この「イタリア」はメンデルスゾーンが21歳の頃にイタリアに旅行し、その時のイタリアの印象や民族音楽などから着想し、24歳のときに完成したものだ。
青年作曲家が目の当たりにした、輝く太陽、抜けるような青い空、快活な人々などが、このシンフォニーの曲調に豊かに反映されている訳だ。
〇 特に秀逸な第1楽章 〇
ソナタ形式で書かれた第1楽章、第1主題がとても印象的だ。
この冒頭は一度聞いたら忘れられない。
木管中心のイ長調の和音に乗って、ヴァイオリンが奏でる弾むようなメロディ、軽快だ!
第1主題がまず展開されて、やがて第2主題は属調であるホ長調で木管に現れる。
展開部では、似通った2つの主題とは異なる(第3)の主題を呈示してくる。
この辺が天才たる所以なのだろう、この新しい主題に第1主題を巧みに絡ませて対位法的な展開を行う。
実に分かり易い旋律とシンプルなオーケストレーションで、爽やかな音楽を作り上げていく。
シューマンが重厚且つ混沌のシンフォニーならば、メンデルスゾーンは有機的に洗練されたシンフォニーだと言えるだろう。
〇 歩むような第2楽章 〇
ニ短調の3部形式。
主部は重くは無いのだが、一定のリズムを刻む弦の上で、管が奏でる多少感傷的なメロディ。
中間部はニ長調に転じて、慰めるような優しい旋律が包んでくれる。
「イタリア」は明るい曲だと言われているし、私もそれを否定しないが、意外と短調のメロディが多く、メランコリックな部分も併せ持つ、陰陽の対比が特徴的な曲だ。
〇 優雅な第3楽章 〇
主調に戻って3部形式。
この楽章はメヌエットなのだろうが、多少スケルツォ的な香りもする。
トリオでの牧歌的なホルンがとても印象的だ。
〇 終曲はサンタレロ 〇
終曲は激しく活発な舞曲に終始する。
サンタレロというのは当時イタリアで流行っていた舞曲なのだそうだ。
中間でタランテラという舞曲も出てくるのだが、私は子供の頃にこの舞曲について、タランチュラという毒蜘蛛に関連した説明を聞いたのが忘れられずにトラウマ的に心に残っている。
曰く:タランチュラという猛毒を持つ蜘蛛に噛まれると、その毒を抜く為にこの激しいダンスを踊り続けなければなら無い・・。
幼い私:「ほんとかぁぁ??」「激しい運動なんかすると、却って毒が回ってしまうんじゃないのかなぁ??」
<今日の一枚>
今日は、カラヤンで聴いてみようと思う。
カラヤン&ベルリン・フィルの完璧な演奏が聴ける。
そのアンサンブルといい、リズム感も抜群でメンデルスゾーンの良い意味での軽さが音楽に溢れている。
ゴージャス過ぎるなどの批判を受けがちなカラヤンだが、このぐらい上手いと私は何もいえない。
■メンデルスゾーン:交響曲第3番「スコットランド」&4番「イタリア」
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

<推薦盤1>
クラウディオ・アバドの盤は、イタリア的な水彩画のようなメンデルスゾーンになっていると思う。
実にナチュラルで本来的な「イタリア」のシンフォニーとしての魅力を引き出している。
■メンデルスゾーン:交響曲第4番「イタリア」&第5番「宗教改革」
クラウディオ・アバド指揮 ロンドン交響楽団

今日はシューマンのラインと同様に、私が小学生の頃からとても親しんだ軽快なシンフォニー、メンデルスゾーンの『イタリア』でいこう。
交響曲第4番イ長調『イタリア』作品90 は出版順にナンバリングされたメンデルスゾーンの交響曲の中で、実際には3番目に作曲されたものだ。
全部で5曲遺されたNo.付きシンフォニーの中で、第3番『スコットランド』と並んで人気の高い交響曲だが、私は父が大変好んで聴いていたこともあって、世間での演奏頻度を遥かに越えた度合いで聞いていたことを思い出す。
反動からか、大人になってからはあまり聴く機会がなかった。
今日改めて聴いてみると、冒頭から物凄くユニークなシンフォニーなのだが、うーん、やっぱり一分の隙も無いメンデルスゾーンの構築美を再認識した。
〇 イタリア 〇
この「イタリア」はメンデルスゾーンが21歳の頃にイタリアに旅行し、その時のイタリアの印象や民族音楽などから着想し、24歳のときに完成したものだ。
青年作曲家が目の当たりにした、輝く太陽、抜けるような青い空、快活な人々などが、このシンフォニーの曲調に豊かに反映されている訳だ。
〇 特に秀逸な第1楽章 〇
ソナタ形式で書かれた第1楽章、第1主題がとても印象的だ。
この冒頭は一度聞いたら忘れられない。
木管中心のイ長調の和音に乗って、ヴァイオリンが奏でる弾むようなメロディ、軽快だ!
第1主題がまず展開されて、やがて第2主題は属調であるホ長調で木管に現れる。
展開部では、似通った2つの主題とは異なる(第3)の主題を呈示してくる。
この辺が天才たる所以なのだろう、この新しい主題に第1主題を巧みに絡ませて対位法的な展開を行う。
実に分かり易い旋律とシンプルなオーケストレーションで、爽やかな音楽を作り上げていく。
シューマンが重厚且つ混沌のシンフォニーならば、メンデルスゾーンは有機的に洗練されたシンフォニーだと言えるだろう。
〇 歩むような第2楽章 〇
ニ短調の3部形式。
主部は重くは無いのだが、一定のリズムを刻む弦の上で、管が奏でる多少感傷的なメロディ。
中間部はニ長調に転じて、慰めるような優しい旋律が包んでくれる。
「イタリア」は明るい曲だと言われているし、私もそれを否定しないが、意外と短調のメロディが多く、メランコリックな部分も併せ持つ、陰陽の対比が特徴的な曲だ。
〇 優雅な第3楽章 〇
主調に戻って3部形式。
この楽章はメヌエットなのだろうが、多少スケルツォ的な香りもする。
トリオでの牧歌的なホルンがとても印象的だ。
〇 終曲はサンタレロ 〇
終曲は激しく活発な舞曲に終始する。
サンタレロというのは当時イタリアで流行っていた舞曲なのだそうだ。
中間でタランテラという舞曲も出てくるのだが、私は子供の頃にこの舞曲について、タランチュラという毒蜘蛛に関連した説明を聞いたのが忘れられずにトラウマ的に心に残っている。
曰く:タランチュラという猛毒を持つ蜘蛛に噛まれると、その毒を抜く為にこの激しいダンスを踊り続けなければなら無い・・。
幼い私:「ほんとかぁぁ??」「激しい運動なんかすると、却って毒が回ってしまうんじゃないのかなぁ??」
<今日の一枚>
今日は、カラヤンで聴いてみようと思う。
カラヤン&ベルリン・フィルの完璧な演奏が聴ける。
そのアンサンブルといい、リズム感も抜群でメンデルスゾーンの良い意味での軽さが音楽に溢れている。
ゴージャス過ぎるなどの批判を受けがちなカラヤンだが、このぐらい上手いと私は何もいえない。
■メンデルスゾーン:交響曲第3番「スコットランド」&4番「イタリア」
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

<推薦盤1>
クラウディオ・アバドの盤は、イタリア的な水彩画のようなメンデルスゾーンになっていると思う。
実にナチュラルで本来的な「イタリア」のシンフォニーとしての魅力を引き出している。
■メンデルスゾーン:交響曲第4番「イタリア」&第5番「宗教改革」
クラウディオ・アバド指揮 ロンドン交響楽団

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アバドのロンドン時代は良いものが多いと思っています。イタリアも気に入っていますよ。
私は最初のとっかかりで聴くか聴かないかを決めてしまう事が多いです
から、その点ではこの「イタリア」、満点ですね。(*^_^*)
でもメンデルスゾーンの交響曲では第3番のイ短調「スコットランド」が
好きなのです。私はどうも短調系が好みの様です。(^^)
お気に入りはクラウディオ・アバド指揮ロンドン交響楽団(1984年録音盤)
の演奏です。
コメントありがとうございます。(^^)
sankichi1689 さんも、アバド&ロンドン交響楽団をお気に入りなのですね。
アバドのロンドン時代というと、まだ50歳前と若く、楽団とも良好な関係が出来て
いましたからね。
sankichi1689 さんが先日ブルックナーを聞いていた、ドホナーニの「イタリア」も
躍動感溢れる演奏で良いなぁと思っています。
コメントありがとうございます!
そうですね、「スコットランド」もいいですよね。
実施的にメンデルスゾーン最後のシンフォニーですし、完成度も高い
曲だと思います。
なるほど、アバドですか。(^^)
はい!アバドは「スコットランド」でも良いタクトを振っていますね。
私は「スコットランド」はクレンペラー盤を聴くことが多いです。(^^)
ただこの交響曲で不思議なのは、第一楽章をあんなに陽気な長調で支配しているのに、終楽章は短調が支配しているのですよね。「タランティーラ」という舞曲なのですけど、何か聴き方によっては悲劇的に聴こえるのは自分だけなのかな・・・??
イタリアの第四楽章は、何か感じ方によってはチャイコの「悲愴」の第三楽章に通じるような気もするのですけど、いかがでしょうか・・・??
この曲は、ショルティーのシカゴ響という印象がすごく強いです。
私も「スコットランド」と同様に「イタリア」は子供の頃から好きな曲でした。
そうそう、何と言っても冒頭がユニークで心に残りますよね。
ところが、そうなんですよ。
記事本文でも少し触れましたが、この曲「思い切り明るい」と評されることが習慣ですが、
意外に短調の部分が多くて、私にとっては「底抜けに明るい」という印象ではなくて「影」
を感じる箇所がむしろ印象的な曲なんです。
ぬくぬく先生 さんも悲劇性を感じ取っておられるのですね。
なるほど、チャイコフスキーの「悲愴」の第3楽章と言えば、あの行進曲っぽいスケルツォ
主題は確かタランテラ主題などと言われていましたね。
チャイコフスキーも確かイタリアでこのタランテラ舞曲に触れたことからこの主題を発想
したようなお話を聴いたことがあります。
ぬくぬく先生のご指摘の通りですね。
メンデルスゾーンの交響曲は、やはり第三番「スコットランド」が一番好きですけど、イタリアも素晴らしい曲ですよね。この曲は第一楽章の出だし、弦楽器の「ポンッ」というあの弾ける響きが秀逸ですよね。第一楽章のメインメロディーは、ホントいかにも陽気な「イタリア野郎」みたいな雰囲気ですよね。
> ただこの交響曲で不思議なのは、第一楽章をあんなに陽気な長調で支配しているのに、終楽章は短調が支配しているのですよね。「タランティーラ」という舞曲なのですけど、何か聴き方によっては悲劇的に聴こえるのは自分だけなのかな・・・??
> イタリアの第四楽章は、何か感じ方によってはチャイコの「悲愴」の第三楽章に通じるような気もするのですけど、いかがでしょうか・・・??
> この曲は、ショルティーのシカゴ響という印象がすごく強いです。