★ シューマン 交響曲第3番変ホ長調 『ライン』 ★
交響曲第3番変ホ長調作品97「ライン」は、作曲年代からするとシューマンの最後の交響曲だ。
私は小学生の頃にこのシンフォニーを初めて聴いて、独特の音色に結構惹かれたことを覚えている。
ロベルト・シューマンという作曲家は、同時代に生きたブラームスやメンデルスゾーンとは対極的な作曲家で、非常に完成度の高い作品を作り出した彼らとは異なり、もっと何か詩的な啓示によって作曲を行った人のように感じている。
この第3番のシンフォニーは、クララの強い勧めもありシューマンが1850年にデュッセルドルフに職を請けて(当地の市立管弦楽団と合唱団の指揮者)、ライン川の河畔をそぞろ歩きながら構想を練ったようである。
〇 『ライン』 〇
この『ライン』はシューマンの交響曲では唯一の5楽章構成の交響曲だ。(他は全て4楽章)
だが、演奏時間は大体30分~35分とそれ程長大なものではなく、親しみやすいメロディもあって日本でも人気が高い曲の一つだ。
第1楽章:Lebhaft(生き生きと)
第2楽章:Scherzo Sehr mäßig(とても穏やかに)
第3楽章:Nicht schnell(速くなく)
第4楽章:Feierlich(荘重に)
第5楽章:Lebhaft(生き生きと)
シューマンによる各楽章の指示は、上記の通りイタリア語ではなくドイツ語で書かれている。
〇 第1楽章冒頭 〇
「ライン」と言えば、まずこの第1楽章冒頭のメロディが口をついて出てくる。
3/4拍子なのだが、やや変則的に3/2拍子との組み合わせのようになっており独特のリズム感だ。
以前のNHKの番組で、N響アワー?のテーマメロディになっていた。
私はこの明るく雄大な曲想の旋律が大好きだ。
この楽章はソナタ形式で書かれている。
〇 スケルツォ? 〇
ハ長調の3/4拍子の舞曲風のメロディから始まる。
だが、あまりスケルツォ的ではなくて、低弦が中心になる落ち着いた楽章だ。
シューマンの指定もSehr mäßig(とても穏やかに)。
終盤ではホルンが大活躍だ。
〇 穏やかな第3楽章 〇
この楽章は木管で始まり、弦とのやりとりで穏やかに進行する。
大変美しい楽章に仕上がっている。
〇 ケルンの大聖堂 〇
コラール風の金管で始まる第4楽章は、ケルンの枢機卿就任式での感銘を表現していると言われているが、なるほどだ。
変ホ長調4/4拍子で書かれているが、和声的には短調に聞こえる。
壮麗なこの楽章はやはりトロンボーンの活躍が目立つ。
〇 堂々とした終曲 〇
前楽章から一転して、明るい祝祭的な旋律がこの楽章を支配している。
シンコペーションを巧みに入れながら、盛り上がっていく。
ファンファーレ的な金管の使い方が印象的なクライマックスだ。
<今日の一枚>
若い頃レヴァインの意欲的なシューマンを聞こう。
シューマンの場合よくオーケストレーションについて云々されることが多いし、実際に名演と言われる演奏も多くがマーラーの編曲版か、それをベースとした改訂版で演奏されている。
しかし、この盤でレヴァインは敢えてスコアに手を加えずに、シューマンが書いたそのままで演奏を行っている。
確かに、シューマンのシンフォニーはトゥッティを多用しがちで、ともすると旋律線が消えてしまうような難点があるように私も感じるのだが(音が濁るとも言われている)、レヴァインはオーケストラのバランスをたくみに操って、輝かしいシンフォニーに仕立て上げている。
また、第2ヴァイオリンの旋律線を浮き立たせる為に、ミキシングによって対向配置的な効果を出している。
これはレヴァインのシューマン交響曲全集だ。
■シューマン:交響曲全集
ジェームズ・レヴァイン指揮 フィラデルフィア管弦楽団

<推薦盤1>
クナッパーツブッシュやシューリヒトの演奏もなかなか良かったような記憶があるが、録音が古いので・・。
マーラー版がベースとなっていると思われるジョージ・セルは音質も良好。
シューマンのオーケストレーションに違和感を覚える方でも、この盤ならば非常にすっきりしたオーケストラの音を聴くことが出来る。
■シューマン:交響曲第1&3番
ジョージ・セル指揮 クリーヴランド管弦楽団

交響曲第3番変ホ長調作品97「ライン」は、作曲年代からするとシューマンの最後の交響曲だ。
私は小学生の頃にこのシンフォニーを初めて聴いて、独特の音色に結構惹かれたことを覚えている。
ロベルト・シューマンという作曲家は、同時代に生きたブラームスやメンデルスゾーンとは対極的な作曲家で、非常に完成度の高い作品を作り出した彼らとは異なり、もっと何か詩的な啓示によって作曲を行った人のように感じている。
この第3番のシンフォニーは、クララの強い勧めもありシューマンが1850年にデュッセルドルフに職を請けて(当地の市立管弦楽団と合唱団の指揮者)、ライン川の河畔をそぞろ歩きながら構想を練ったようである。
〇 『ライン』 〇
この『ライン』はシューマンの交響曲では唯一の5楽章構成の交響曲だ。(他は全て4楽章)
だが、演奏時間は大体30分~35分とそれ程長大なものではなく、親しみやすいメロディもあって日本でも人気が高い曲の一つだ。
第1楽章:Lebhaft(生き生きと)
第2楽章:Scherzo Sehr mäßig(とても穏やかに)
第3楽章:Nicht schnell(速くなく)
第4楽章:Feierlich(荘重に)
第5楽章:Lebhaft(生き生きと)
シューマンによる各楽章の指示は、上記の通りイタリア語ではなくドイツ語で書かれている。
〇 第1楽章冒頭 〇
「ライン」と言えば、まずこの第1楽章冒頭のメロディが口をついて出てくる。
3/4拍子なのだが、やや変則的に3/2拍子との組み合わせのようになっており独特のリズム感だ。
以前のNHKの番組で、N響アワー?のテーマメロディになっていた。
私はこの明るく雄大な曲想の旋律が大好きだ。
この楽章はソナタ形式で書かれている。
〇 スケルツォ? 〇
ハ長調の3/4拍子の舞曲風のメロディから始まる。
だが、あまりスケルツォ的ではなくて、低弦が中心になる落ち着いた楽章だ。
シューマンの指定もSehr mäßig(とても穏やかに)。
終盤ではホルンが大活躍だ。
〇 穏やかな第3楽章 〇
この楽章は木管で始まり、弦とのやりとりで穏やかに進行する。
大変美しい楽章に仕上がっている。
〇 ケルンの大聖堂 〇
コラール風の金管で始まる第4楽章は、ケルンの枢機卿就任式での感銘を表現していると言われているが、なるほどだ。
変ホ長調4/4拍子で書かれているが、和声的には短調に聞こえる。
壮麗なこの楽章はやはりトロンボーンの活躍が目立つ。
〇 堂々とした終曲 〇
前楽章から一転して、明るい祝祭的な旋律がこの楽章を支配している。
シンコペーションを巧みに入れながら、盛り上がっていく。
ファンファーレ的な金管の使い方が印象的なクライマックスだ。
<今日の一枚>
若い頃レヴァインの意欲的なシューマンを聞こう。
シューマンの場合よくオーケストレーションについて云々されることが多いし、実際に名演と言われる演奏も多くがマーラーの編曲版か、それをベースとした改訂版で演奏されている。
しかし、この盤でレヴァインは敢えてスコアに手を加えずに、シューマンが書いたそのままで演奏を行っている。
確かに、シューマンのシンフォニーはトゥッティを多用しがちで、ともすると旋律線が消えてしまうような難点があるように私も感じるのだが(音が濁るとも言われている)、レヴァインはオーケストラのバランスをたくみに操って、輝かしいシンフォニーに仕立て上げている。
また、第2ヴァイオリンの旋律線を浮き立たせる為に、ミキシングによって対向配置的な効果を出している。
これはレヴァインのシューマン交響曲全集だ。
■シューマン:交響曲全集
ジェームズ・レヴァイン指揮 フィラデルフィア管弦楽団

<推薦盤1>
クナッパーツブッシュやシューリヒトの演奏もなかなか良かったような記憶があるが、録音が古いので・・。
マーラー版がベースとなっていると思われるジョージ・セルは音質も良好。
シューマンのオーケストレーションに違和感を覚える方でも、この盤ならば非常にすっきりしたオーケストラの音を聴くことが出来る。
■シューマン:交響曲第1&3番
ジョージ・セル指揮 クリーヴランド管弦楽団

- 関連記事
-
- シューマン 交響曲第3番 『ライン』 (2013/11/18)
- シューマンの幻想曲 (2013/05/01)
スポンサーサイト
私も先週から移動中にレヴァインのライン聴いていましたよ、。ベルリンフィル盤ですけど。
元気いっぱいの印象のレヴァイン。米音楽界の重鎮、70歳になりましたね。
コメントありがとうございます。(^^)
おお!奇遇ですね。
sankichi1689 さんもレヴァインのラインを聞いてたんですね。
なるほど、ベルリンフィルということは2度目の全集録音?の音源でしょうか。
そうですねぇ、いつの間にかレヴァインも長老になってしまいましたね。(^^)
この曲、生で聴くとわかるのですけど、トロンボーン奏者は第三楽章までお休みで、第四楽章から登場します。この間奏者も何か手持ちぶたさで暇そうな感じでした・・・
フィナーレのホルンのファンファーレみたいな雄叫びが格好いいですよね。
この曲、自分としては、少し古いかもしれませんが、クーペリック指揮のバイエルン放送響の演奏が非常に印象に残っています。やはり地元は強いのかな・・・?
そうですね、大変雄大で魅力的な交響曲ですよね。
私も小さい頃から特に親しんできた曲の一つです。
確かに内容的にも、第4楽章を終曲の序奏として捉えることも出来ますね。
そうそう、3本のトロンボーンは第4楽章に始めて登場しますね。
私も以前、東フィルだったと思うのですが、ラインを聴いたときに
トロンボーンの方が、ずっと瞑想しておられたのがとても気になったことがあります。(^^)
勿論、ちゃんと起きておられましたが。
ラファエル・クーベリックという指揮者は何を演奏してもきっちりと音を構築してくる、という印象です。
ラインでも王道を行く演奏だったと記憶しています。
シューマンのこの曲は有名なのに聞いた事がないのです(-_-;)。
早速、図書館で予約しました。パーヴォ・ヤルヴィ指揮、
ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン演奏の
CDがありました。遅ればせながら記事を読みながら
楽しみたいと思います。
そうですか、私はまだ聴いたことがないのですが、是非ヤルヴィさんの指揮によるシューマンを
お楽しみ下さいませ。
ホルンが大活躍する箇所もちゃんとありますから、akifuyu102 さんの熱い血が騒いで
くるかも知れません。(^^)
パーヴォ・ヤルヴィとドイツ・カンマーフィルハーモニーとの黄金コンビで
第1番「春」と第3番「ライン」を聴きました。終始スピード感をもった流麗な
演奏には本当にワクワクしました。特に弦楽器の分厚い響きには体中がしびれ
ました。
人生初めてのシューマンの交響曲でしたが非常に楽しめました。
シューマンの交響曲はホルン吹きにとっては超美味しい曲ですね。
特に「春」は本当に好きになっちゃいました。(^^)
追伸:11月23日から私のブログに★赤影★さんの「音楽レガシィ」をリンク
させて頂いておりますのでご了承の程、宜しくお願いします。
赤影さんの「★ メンデルスゾーン 交響曲第4番 『イタリア』 ★」の拍手
コメントにもその旨、書かせて頂きました。
いつもコメントありがとう御座います。
シューマンのシンフォニー、お気に召したようで良かったです。(^^)
そうでしょ?
シューマンはホルン吹きの方には、ご馳走ですよね。
そうそう、特に「春」は冒頭からホルンとペットのファンファーレから始まり
ますし、このモティーフは全曲で活きていますからね。(^^)
それに、あちこちにホルンの活躍する箇所があって心が躍りますよね?(^^)
それからお返事が遅くなって大変失礼致しましたが、リンクありがとうございました。
遅ればせながら、私からもakifuyu102のブログにリンクを張らせて頂きました。
これからも宜しくお願い致します。