★ ドビュッシー 弦楽四重奏曲 ト短調 ★
ドビュッシーの《弦楽四重奏曲 ト短調》作品10 は1893年に完成したドビュッシー31歳の若かりし頃の作品だ。
弦楽四重奏というと、私はハイドン、モーツァルトの「いかにも室内楽」といったアンサンブルや、ベートーヴェンに代表されるドイツ的な響きを思い起こすのだが、この曲はそうした典型的とも言える響きとは明らかに異なる風情を醸し出している。
〇 循環形式 〇
かのドビュッシーが敬愛したセザール・フランクによって提起された循環形式がこの曲全体を特徴付けている。
第1楽章冒頭の循環主題は、緩徐楽章を除くあらゆる箇所で顔を覗かせる。
この循環主題は、拡大され縮小され、そして終楽章ではかなり変形されて、曲全体に多様性を持たせながらも統一感を形成する源となっている。
極めて印象的で支配的なこの主題は、いかにもドビュッシーらしい旋律だ。
〇 旋法的で繊細な旋律 〇
この曲の魅力は殆どが第1楽章に凝縮されていると言ってもいいかもしれない。
旋法的な和声を使用したり、かと思うと第1楽章などはソナタ形式ともとれる形式美も垣間見せる。
ドビュッシーにとっては過渡的な作品とも言えるのだが、その旋律は美しく、なかなか解決しない和声に身を委ねていると、不思議な瞑想世界に浸ることが出来る。
〇 スケルツォ・ピチカート 〇
そんな全4楽章の中で、ちょっと眼を瞠るのが第2楽章かも知れない。
冒頭の力強いピチカートでチャイコフスキーの第4シンフォニーを想起させる。
チャイコフスキーのシンフォニー第4番第3楽章のあのスケルツォ・ピチカートだ。
実にユニークなあの弦楽器がピチカートに終始する楽章から、ドビュッシーは発想したのではないだろうか。
主題としては、主要主題のアレンジが効果的に随所に現れる。
私はこのドビュッシーらしい、繊細さと新奇性を持った、弦楽四重奏曲をかなり愛している。
<今日の一枚>
今日はイタリア弦楽四重奏団に登場願おうと思う。
この四重奏団の特徴であるベル・カント的カンタービレが、この曲の叙情性を程よく演出していてとても心地よい。
■ドビュッシー:弦楽四重奏曲 ト短調/ラヴェル:弦楽四重奏曲 へ長調 [Limited Edition]
イタリア弦楽四重奏団

<推薦盤1>
イタリア四重奏団の演奏は私のイチオシだが、フランス的な音に拘るならば、パルナン弦楽四重奏団がお勧めだ。
しかし、まともな値段で入手することが出来なくなっているようなので、ここはアルバン・ベルクを推しておく。
録音がイマイチだった盤がリマスタリングされて改善した。
■ラヴェル&ドビュッシー:弦楽四重奏曲集
アルバン・ベルク弦楽四重奏団

ドビュッシーの《弦楽四重奏曲 ト短調》作品10 は1893年に完成したドビュッシー31歳の若かりし頃の作品だ。
弦楽四重奏というと、私はハイドン、モーツァルトの「いかにも室内楽」といったアンサンブルや、ベートーヴェンに代表されるドイツ的な響きを思い起こすのだが、この曲はそうした典型的とも言える響きとは明らかに異なる風情を醸し出している。
〇 循環形式 〇
かのドビュッシーが敬愛したセザール・フランクによって提起された循環形式がこの曲全体を特徴付けている。
第1楽章冒頭の循環主題は、緩徐楽章を除くあらゆる箇所で顔を覗かせる。
この循環主題は、拡大され縮小され、そして終楽章ではかなり変形されて、曲全体に多様性を持たせながらも統一感を形成する源となっている。
極めて印象的で支配的なこの主題は、いかにもドビュッシーらしい旋律だ。
〇 旋法的で繊細な旋律 〇
この曲の魅力は殆どが第1楽章に凝縮されていると言ってもいいかもしれない。
旋法的な和声を使用したり、かと思うと第1楽章などはソナタ形式ともとれる形式美も垣間見せる。
ドビュッシーにとっては過渡的な作品とも言えるのだが、その旋律は美しく、なかなか解決しない和声に身を委ねていると、不思議な瞑想世界に浸ることが出来る。
〇 スケルツォ・ピチカート 〇
そんな全4楽章の中で、ちょっと眼を瞠るのが第2楽章かも知れない。
冒頭の力強いピチカートでチャイコフスキーの第4シンフォニーを想起させる。
チャイコフスキーのシンフォニー第4番第3楽章のあのスケルツォ・ピチカートだ。
実にユニークなあの弦楽器がピチカートに終始する楽章から、ドビュッシーは発想したのではないだろうか。
主題としては、主要主題のアレンジが効果的に随所に現れる。
私はこのドビュッシーらしい、繊細さと新奇性を持った、弦楽四重奏曲をかなり愛している。
<今日の一枚>
今日はイタリア弦楽四重奏団に登場願おうと思う。
この四重奏団の特徴であるベル・カント的カンタービレが、この曲の叙情性を程よく演出していてとても心地よい。
■ドビュッシー:弦楽四重奏曲 ト短調/ラヴェル:弦楽四重奏曲 へ長調 [Limited Edition]
イタリア弦楽四重奏団

<推薦盤1>
イタリア四重奏団の演奏は私のイチオシだが、フランス的な音に拘るならば、パルナン弦楽四重奏団がお勧めだ。
しかし、まともな値段で入手することが出来なくなっているようなので、ここはアルバン・ベルクを推しておく。
録音がイマイチだった盤がリマスタリングされて改善した。
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アルバン・ベルク弦楽四重奏団

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アルバン・ベルク弦楽四重奏団の演奏をYouTubeで聴きながら楽しみました。
第1楽章の冒頭を聴いた瞬間、古い言い回しですが超モダンな感じ!がしました。(^^)120年も前に聴いた人々は驚きだったでしょうね。
異次元の場所に引きずり込まれたような不思議な感覚を抱いたのではないでしょうか。
それに第1楽章は聴いていてちょっと快感を覚えますね。最後がまた良いですね。この「しまい方」でやっと中和、いや調和されたって感じが堪らないですね。
第2楽章の弦楽器のピチカート、これもGoodですね。(^^)
早速、図書館に貸出予約を入れました。アルバン・ベルク弦楽四重奏団のCDが無かったのでラサール弦楽四重奏団のを選びました。
いつもコメントありがとうございます。(^^)
アルバン・ベルクをお聞きになったのですね。
この四重奏団はドイツ物を一番得意にしていると思うのですが、
フランス物でも、その見事なアンサンブルは活きていますね。
「超モダンな感じ」ですか。(^^)
なるほど、そんな感じですよね。
モーツァルトやベートーヴェンなどとは違って、ドビュッシーなり
の和声と旋律線が、そんな印象を与えるんでしょうね。
最後の締めでは、たゆたうようなメロディが一つの解決をみるよう
で確かに快感を感じますね。
旋律は下降して上昇して、和音をポンポン、なかなか巧みですよね。(^^)
ラサールはアルバン・ベルク同様ドイツ系の楽団ですが、アルバン・ベルク
の師匠筋に当たるメンバーで構成されていた筈で、とても上手いと思います。(^^)