★ フォーレ 夜想曲集 ★
今日は、フォーレで行こう。
ガブリエル・フォーレ、オルガン奏者を経てサン=サーンスにピアノ・作曲を師事したフランスの作曲家だ。
ショパンがそうだったように、フォーレも大規模な作品よりも小品にこそその天才を発揮した作曲家であったと感じている。
世に言う3大レクイエムの一つがフォーレの『レクイエム』で、日本でも人気があるが、室内楽やピアノの小品『舟歌』『即興曲』などにも珠玉の名品が並ぶ。

〇 夜想曲 〇
この夜想曲というジャンルは、イギリスのフィールドに始まりショパンによって確立された分野と言っていいだろう。
ノクターン(nocturne)は英語だが、イタリア語ならばノットゥルノ(notturno)ドイツ語ならばノクチュルネ(nocturne)、そしてフランス語ならノクチュルヌ(nocturne)だろうか。

発音はどうでもいいが、ショパンのノクターンに比べるとフォーレのそれは、シンプルで瞑想的な衣を纏っているように思う。

フォーレのピアノ曲には、パターン的な書法が見られて、特に初期の作品に多いのだが、旋律はスタティックで伴奏は分散和音というシンプルな書法を、固定的に見てしまうと魅力を発見できないかも知れない。

その為か、フォーレのピアノ小品を、まるで歌曲の伴奏だけを聞いているようで詰まらない、との評を聞いたことがあるのだが、私はそうは思わない。
同時代のドビュッシーやサン=サーンス、そしてワーグナーからも影響を受けつつ、独自の旋律(極めてロマン的であったり、無調の貌が覗いたり)と和声を保ち続けた稀有な存在で、ピアノ小品にもその特徴は遺憾なく発揮されていると思う。

〇 フォーレ:夜想曲集 〇
フォーレの夜想曲は全部で13曲残されている。
その作品群を大別すると、1番~8番と9番~13番に分けられると思う。
8番までは、瞑想的でありながら大変優美な旋律で書かれているが、9番からは構成もより簡素な佇まいでストイックな印象を受ける。
旋律も短いものの組み合わせが多くなる。
これはフォーレの聴力の衰えと関連しているのかもしれないが、作品の質が変化していることは間違いないと感じている。
後期作品は、不協和音も転調も苛烈な使い方になる。
さらに言うならば、前期の5番と6番には作曲時期が開いていることもあり、6番~8番を別の作品時期と考えても良い。

〇 第6番は傑作 〇
中でも第6番はフォーレの作品群の中でも傑作と言って良い逸品だ。
曲は大きく3部形式。
最初の主題では、変則的な構成のため、フォーレらしい瞑想的なノクターンが始まる。
3拍子なのだが、落ち着かない変則性が面白い。
不協和な音から解決する際にも、穏やかな移行を考えているのが印象的だ。
 
中間部の主題は、アルペジオによって導かれている。
こういう手法はフォーレのお得意と言っていいのだろう。

〇 バッハ的とも言える第13番 〇
フォーレ最後のピアノ曲でもある、夜想曲第13番は素晴らしい曲だ。
ここでは、聴覚の疾患が顕著になり始めた頃の鬱屈した曲調は超越している。
達観したような出だしからカノン風な組み立てでバッハを思わせる。
しかし、曲は自由に書かれており、しかも独特の和声を聞かせる。
最早、夜想曲というジャンルには縛られていないように感じる。
中間部は、嵐のように激しい想いを鍵盤にぶつけるようだ。
この曲は恐らくピアニストにとって陶酔の曲だ。
追想、諦観、焦燥、歓喜、安寧・・・。
間違いなく、フォーレの最高のピアノ曲だろう。


<今日の一枚>
フォーレの夜想曲の全曲となると、それほど選択肢は広くないが、今日は若き日のハイドシェックで聞こう。
フランスでよりも日本で大変ファンの多いピアニストの一人だが、若さ溢れるハイドシェックの情熱とロマンティシズムがフォーレでは説得力となっていると感じている、お気に入りの一枚。
一音一音、微妙に変化していく和声を丁寧に語っているところが、ハイドシェックの特徴か。
■フォーレ:夜想曲
 エリック・ハイドシェック(P)

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<推薦盤1>
ハイドシェックは私の推薦盤だが、さらに挙げるとしたら同じくフランス人であるジャン・ユボーだろう。
ハイドシェックはフランス人とはいえドイツ系の家系だが、ユボーは生粋のパリっ子だ。
流麗なタッチで、ピアニッシモが特に美しいと思う。2枚組みだ。
■フォーレ:ピアノ作品全集(1)
 ジャン・ユボー(P)


ディスク:1
1. 夜想曲(第1番~第9番)
ディスク:2
1. 夜想曲(第10番~第13番)
2. 主題と変奏 嬰ハ短調op.73
3. 即興曲(全曲)(第1番~第5番)
4. 3つの無言歌op.17

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2013.08.22 Thu l フォーレ l コメント (1) トラックバック (0) l top

コメント

こんにちは☆
エストリルのクリスマスローズsakiです。

”瞑想的な衣を纏っている”フォーレのノクターン
バッハ的とも言えるその第13番・・・
あぁ、
赤影さまのご案内大好きです。
いつもわくわくしながら拝見させて戴いています。
詩的で楽しくてしかも的確で・・。

此のたびは暖かなメッセージありがとうございます。
私は私事となると文章につい抑制を効かせてしまう質で(涙
ですが赤影さまが掬い取って下さった私の父への想いに接し
父にその想いが届けられたようで
涙が溢れてなりませんでした・・・。
こんなにも思い遣りのあられる赤影様
それは、こちらのブログの奥深さの秘密のひとつでありましょう
これからも記事を楽しみにしています☆
2013.08.22 Thu l saki. URL l 編集

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