★ モーツァルト ヴァイオリン協奏曲第3番 ★
今日はモーツァルトだ。
モーツァルト自身はクラヴィーアのヴィルトゥオーソであった訳で、そのクラヴィーア曲は自分が演奏することを前提にしたものが殆どなのだと思う。
だが、ヴァイオリン教則本を執筆した父レオポルトの影響もあって、ヴァイオリン奏者としても一流であり、25歳くらいまでは所謂二足の草鞋状態だった。

このヴァイオリン協奏曲というジャンルは、モーツァルトにしては作品の数が少ない。
ヴァイオリンソナタが40曲以上残されているのに対して、コンチェルトは僅かに5曲である。
これは、ヴァイオリンコンチェルトというジャンルがモーツァルトにとっては自身の為というよりも、誰か他人を想定しての作曲ジャンルであった証左のように感じている。
尚、ヴァイオリン協奏曲には第6番、第7番も存在するが、これは現在では偽作である可能性が高いということだ。

〇 ヴァイオリン協奏曲第3番ト長調K.216 〇
モーツァルトは、第2番から第5番までのヴァイオリンコンチェルトを1775年の6月~12月の間に一気に書き上げている。
1番、2番ではまだ若干ヴィバルディを思わせる、ソロとトゥッティのやり取りになっており、バロック後期の香りがする。(それはそれで典雅で良いのだが)
ところがあまり時を経ずに作曲されたこの第3番ではかなりの進化を遂げている。
特にオーボエ、フルートといった管楽器の扱いについては、弦楽器とのバランスやその特性を活かして音楽の奥行きを作っているように感じる。

〇 オペラからの転用 〇
この曲の第1楽章第1主題はオペラ『IL RE PASTORE』K.208からの転用を指摘されている。
K.208を聞くと、確かにAmintaのアリアの出だしとそっくりな管弦楽のメロディだ。
モーツァルトの作品群で言うと、ディヴェルティメント風とも言える味付けのこの主題から入って、第2主題はオーボエとホルンに出てくる、そして独奏ヴァイオリンが後を引き受けて、きちんとソナタ形式。

〇 優雅な第2楽章 〇
この楽章はオーボエがフルートに代わって、ミュートしたオケのヴァイオリンと低弦のピチカートが印象的だ。
独奏ヴァイオリンは、その伴奏の上でひたすら甘美なメロディを歌う。
この音の構成、モーツァルトにとって、この後一つのパターンになっている。

オーケストラの編成が小さいため、オーボエがフルートに代わっただけで、音の印象がガラリと変わるのが面白い。

〇 変化の多いロンド形式 〇
第3楽章はロンド形式なのだが、軽快なロンド主題を持つABACADAといったロンド形式になるのだろう、このDに相当する部分が大変ユニークで、さすがモーツァルトである。
突然ト短調に変化して、曲調からして豹変する。

2番~5番のヴァイオリンコンチェルトは、良くギャラント様式だと言われるのだが、確かにバロック的な色彩は影を潜め、より洒脱なフランスの香りもするし繊細な主旋律を持ったホモフォニー音楽だ。
だが、私は上記の様にモーツァルトが第2番よりも楽器の特性を活かした音楽創りを目指し、オーケストラと独奏楽器の音響効果とバランスを考え始めたことに興味を覚える。
2番からの時間経過は、僅か2~3ヶ月のことなのだから・・・。
何があったのか・・、神のみぞ知る、なのか・・。

<今日の一枚>
アルテュール・グリュミオーによる名盤だ。
正に正統派と言えるグリュミオーのヴァイオリンは、叙情的でこの曲にぴったりである。
■モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第3&5番/協奏交響曲
 アルテュール・グリュミオー(Vn) サー・コリン・デイヴィス指揮 ロンドン交響楽団

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<推薦盤1>
カラヤン拘りの録音といえるだろう、ムターとの競演だ。
美音を追求するカラヤンらしい演奏で、まだあどけないムターが初々しい!
ムター14歳の時の録音だ。
この純粋な曲に無垢なムターの演奏とカラヤンという組み合わせはアリだ。
■モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第3&5番
 アンネ=ゾフィー・ムター(Vn) ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

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2013.07.28 Sun l モーツァルト l コメント (0) トラックバック (0) l top

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