★ ベートーヴェン 劇付随音楽 『エグモント』 ★
今日は、大変久しぶりにベートーヴェンの『エグモント』全曲を聞いた。
これは、大変高い見識と美しい文章・写真のブログを発信していらっしゃる「エストリルのクリスマスローズ」さんの記事に触発されてのことである。
「エストリルのクリスマスローズ」さん

〇 エグモント 〇
ベートーヴェンの劇付随音楽『エグモント』は、ゲーテの戯曲『エグモント』を基に1809年~1810年にかけて作曲されたものである。

エグモント伯ラモラールは実在の歴史上の人物で、スペイン王フェリペ2世による宗教弾圧の中でアルバ公の軍隊に対して果敢に抵抗した英雄だ。
しかし多勢に無勢、アルバ公に捕らえられたエグモント伯は死刑の宣告を受け、1568年6月にグラン・プラスで処刑された。
(「エストリルのクリスマスローズ」さん撮影の写真は、このグラン・プラスなのだと思うが、街の風景は往時の凄惨な事件とはかけ離れた美しさだ。)

ゲーテはこの史実に則って、エグモントを主人公にする戯曲を書き上げたのである。
ゲーテの戯曲では、16世紀のスペインの圧制からの独立運動の指導者としてエグモント伯は描かれていたと記憶する。(多少記憶が曖昧で、申し訳ありません。)


〇 劇付随音楽『エグモント』 〇
演奏会でも、CD等でも有名な序曲のみを取り上げることが多いが、ベートーヴェンが作曲したのはゲーテの戯曲に従って、序曲を含めて以下の10曲になる。

1. 序曲
2. 太鼓は響く(クレールヒェン)
3. 間奏曲1
4. 間奏曲2
5. 喜びに満ち、悲しみに満ち(クレールヒェン)
6. 間奏曲3
7. 間奏曲4
8. おゝ常に変らぬ忠実な眠りよ、年来の友よ(エグモントのモノローグ)クレールヒェンの死
9. すべては過ぎ去った。全巻の終りだ。(エグモントのモノローグ)メロドラマ 甘美な眠りよ、お前は純粋な幸福のように、快くやって来てくれる(エグモント)
10. 冠が消えた(エグモントのモノローグ)勝利の行進曲

ベートーヴェンが『エグモント』を作曲した時期は、丁度第5番のハ短調交響曲『運命』や第6番『田園』を書き上げた2年後くらいであり、非常に充実した創作活動を送っていた頃だ。
この曲も、第5番『運命』や第9番『合唱付き』のように、「苦悩や運命との戦い」から「歓喜」へと昇っていく。
(この曲の場合は、エグモントの死後の賞賛ということになるのだが)


〇 序曲 〇
演奏機会の多い「序曲」は、さすがに重厚でエグモントの悲劇を象徴するドラマティックな音楽になっている。
この序曲はソナタ形式で書かれており、第1主題は大変勇壮で動きの大きい音楽構成で、私はエグモントの「勇気」を暗示するように感じ、第2主題はそれに加えてエグモントの「慈愛」を感じる。

そして、一番印象に残るのは序奏の冒頭、ユニゾンで鳴る一音。
この音は何なのだろう・・。
昔から考えてきたのだが、合理的な結論には至っていない。
只ならぬ雰囲気を醸すことが狙いなのだとしても、何故ユニゾンなのか・・。
全く「濁らない音」が必要だったのか。

エグモント伯の決意を現す純粋な動機、或いは具体的な音(叫びや大砲)をイメージしているか。

〇 ゲートとの邂逅 〇
ベートーヴェンは予てから敬愛していたゲーテと1812年に邂逅している。
ゲーテ63歳、ベートーヴェン42歳の夏に、カールスバートで避暑中だったゲーテがベートーヴェンのもとを訪れるという形で実現したようである。
ゲーテは奥様に手紙でベートーヴェンの人物を伝えるに、「すこぶる強い集中力をもち、精力的且つ内面的な芸術家」という言葉を使っている。
正に、この2人の巨星の邂逅、 「想像するだけで指先が震えるような緊張」を覚えませんか。
(『エストリルのクリスマスローズ』さんから引用)


<今日の一枚>
今日は、この『エグモント(全曲)』を東ドイツ時代の名指揮者ボンガルツの盤で聞こう。
全曲を聞けるCDは稀少で、それだけで価値があるのだが、この演奏は非常に引き締まった、緊張感のあるエグモントだ。
■ベートーヴェン:付随音楽「エグモント」(全曲)
 ハインツ・ボルガンツ指揮 シュターツカペレ・ベルリン

51dSZFqNloL__SL500_AA300_.jpg

関連記事
スポンサーサイト
2013.07.25 Thu l ベートーヴェン l コメント (0) トラックバック (0) l top

コメント

コメントの投稿












トラックバック

トラックバック URL
http://007mousike.blog.fc2.com/tb.php/67-5db200c6
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)