★ ヴェルディ 歌劇 『アイーダ』 ★
今日はヴェルディの『アイーダ』を楽しもう!
このオペラは1870年~71年にかけてヴェルディが作曲した4幕物のオペラだ。
物語はエチオピア王の娘アイーダとエジプトの若き将軍ラダメスの悲恋を描いたもので、ヴェルディにとってこの時期の集大成的な大作オペラとなった。
苦労を重ねたヴェルディが、イタリアオペラの作曲家として成功し念願だった農場の経営も順調であり、生活面では安定してきた訳だが、ドイツの巨星ワーグナーの音楽を強く意識しつつ、自身のオペラにある意味で限界を感じていたヴェルディは、『アイーダ』の後長い音楽的沈黙に入ることになる。

〇 一大スペクタクル 〇
舞台は古代エジプトであり、壮麗で大掛かりな舞台設定を必要とし、有名な第2幕の凱旋の場では強力な独唱陣に加え、大勢の合唱やバレエまで登場し、舞台上にはエジプト(アイーダ)・トランペットと呼ばれる細長い独特の管を始め、軍楽隊も用意されて、あの有名な行進曲が奏でられる。
この行進曲はサッカーなどのスポーツイベントや中学・高校の吹奏楽などにもよく取り上げれて、非常に馴染み深い曲になっている。

〇 イタリアオペラの最高峰 〇
ヴェルディ自身、この『アイーダ』で当時の伝統的なイタリアオペラは極まったと感じていたのではないだろうか。
この後、約16年間ヴェルディはオペラから遠ざかっている。
この後の作品である、『オテロ』と『ファルスタッフ』は別次元のヴェルディ作品だと思う。
『アイーダ』にはまだNo.オペラの残り香があるし、数々の印象的で美しいアリアが散りばめられている。
内省的な歌唱を必要とする『オテロ』とは違い、イタリアオペラらしい輝かしい歌唱と旋律中心の音楽が展開する。
その中でも、ヴェルディは登場人物の感情の表出や場の情景までを極めて劇的な音楽で表現することに重点を置き、オペラとしての興奮と感動に満ちたグランド・オペラに仕上げて見せた。

〇 前奏曲 〇
まず、『椿姫』で見せたような、弦によるアイーダを表す旋律から始まる。
若干椿姫に似ている、この旋律がとても美しいのだ。
椿姫の場合よりも、極めて対位法に則って音を重ねている。
途中から司祭を表す旋律が加わって、アイーダの運命に強く関わっていくことを表しているかのようだ。
何か悲劇を暗示するかのように、この前奏曲は閉じられる。

〇 第1幕 〇
第1場ではラダメスがエチオピア軍の征討軍を率いる将軍に任命されて、愛するアイーダと結ばれることを望んで歌うアリア(ロマンツァ)「♪清きアイーダ」が聞きどころだ。
このアリア、登場していきなり高音(変ロ)まで伸ばす歌唱を求められる、テノールには腕の見せ処だ。
ここでヘロヘロしてはラダメス歌いとしては失格になる。
デル・モナコもステファーノも素晴らしかった。(聞いたことはないが、カルーソーもすごかったのだろう)

ラダメスをめぐって、アイーダとアムネリスの思いが交錯する2重唱、3重唱も素晴らしく、ラダメスを想うアムネリスの不安や祖国エチオピアとラダメスの軍が戦うことになることを恐れるアイーダの、それぞれの想いが心をかき乱すような旋律に乗って歌われる。

そして、将軍に指名されたラダメスを全員が合唱で勇気付ける。
この行進曲風の合唱もとても有名だ。
ただ、この勇壮な行進曲風の合唱中も一人アイーダだけは短調に聞こえるような歌唱で心情を吐露する。

この場の最後はアイーダの歌うアリア「♪勝ちて帰れ」で締めくくられるが、このアリアはアイーダの魅せどころだ。
自分の父親であるエチオピア王アモナズロと恋人であるラダメスが戦うことになり、どちらの無事も祈りたい板挟みの心を痛切に歌い上げる。

第2場のハープに乗って歌われる異国情緒溢れる歌唱はとても心に残る。
勇壮な場面の多いこのオペラで、ヴェルディが見せる緩急(強弱)の技だ。

〇 第2幕以降 〇
ここは上述の通り、凱旋の場である第2場が有名だ。
ラダメス率いるエジプト軍はアモナズロのエチオピア軍を破って凱旋してくる。
アイーダは、連行される捕虜の中に、父アモナズロの姿を発見する。(曲調も長調の明るいものに変化)
エジプト国王は、アモナズロを人質に残し後の捕虜の釈放に応じるが、この辺りの各人の心情に合わせた音楽作りは巧みで、調性が異なる音楽を慎重に組み合わせている。

第3幕には故郷を想うアイーダが歌うロマンツァ「♪おお我が故郷」がある。
オーボエの美しい牧歌的な旋律に乗って、アイーダが歌うこのロマンツァは、私がこのオペラで一番好きなロマンツァだ。
実に繊細で美しい旋律で、二度と訪れることのないであろう故郷を想ってアイーダが歌う。

第4幕では、上下2層に舞台が分けられ(上演会場の都合で色々な工夫も見られるが)、上層は神殿、下層は地下牢になっている。
ラダメスは地下牢の中に生き埋めの刑に処されることになったのだが、ところがそこには逃げたはずのアイーダが待っていた・・・。
最後の悲劇の場は是非実物の舞台や映像で観て頂きたい。


<本日の一枚>
今日はレヴァインのメトロポリタンで聞こう。
これは1990年録音の名盤で、独唱陣、合唱、オケ、超豪華な面々全てがレヴァインの統率の下に素晴らしい演奏を聞かせてくれる。
■ヴェルディ 歌劇『アイーダ』全曲
アイーダ:アプリーレ・ミッロ(ソプラノ)
ラダメス:プラシド・ドミンゴ(テノール)
アムネリス:ドローラ・ザジック(メゾ・ソプラノ)
アモナズロ:ジェイムズ・モリス(バリトン)
ランフィス:サミュエル・ラミー(バス)
エジプト国王:テリー・クック(バス)
ジェイムズ・レヴァイン指揮 メトロポリタン歌劇場管弦楽団・合唱団

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<推薦盤1>
カラヤンがテバルディ、シミオナート、ベルゴンツィ、コーネル・マックニールといった往年の名歌手を揃えて録音した名盤がある。
■ヴェルディ:歌劇「アイーダ」
アイーダ…レナータ・テバルディ
ラダメス…カルロ・ベルゴンツィ
アムネリス…ジュリエッタ・シミオナート
ランフィス…アーノルド・ヴァン・ミル
アモナスロ…コーネル・マックニール
エジプトの王…フェルナンド・コレナ
ウィーン楽友協会合唱団
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン
録音:1959年9月 ウィーン

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<推薦DVD>
オペラはやはり映像があると無いとでは、全然違う。
今は良いDVDがあって幸せだ。
演奏の質は当然として、入手の容易さや値段も考慮に入れて、メトロポリタンを選ぼう。
■ヴェルディ:歌劇《アイーダ》 [DVD]
アイーダ:アプリーレ・ミッロ(ソプラノ)
ラダメス:プラシド・ドミンゴ(テノール)
アムネリス:ドローラ・ザジック(メゾ・ソプラノ)
アモナズロ:シェリル・ミルンズ(バリトン)
ジェイムズ・レヴァイン指揮 メトロポリタン歌劇場管弦楽団・合唱団

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2013.07.21 Sun l ヴェルディ l コメント (0) トラックバック (0) l top

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