★ メンデルスゾーン 『夏の夜の夢』 ★
このところの暑さに、少々参り気味の私は、メンデルスゾーンを思い出した。
『夏の夜の夢』だ。
この曲は、以前は『真夏の夜の夢』と呼んでいたが、シェークスピアの戯曲の原題である「A Midsummer Night's Dream」の誤訳である為に、最近では『夏の夜の夢』と呼ばれるようになってきている。

〇 序曲から始まった 〇
序曲から始まった、って当たり前だろと言われそうだが、そうではなくて現在演奏される劇付随音楽『夏の夜の夢』の中で、メンデルスゾーンが17歳の時に書いたのは「序曲 作品21」だけで、しかも愛する姉とのピアノ連弾用に書いたものだった。
玉座のロマン主義者と揶揄されたプロイセン王のフリードリヒ・ヴィルヘルム4世がこの序曲をお気に召して、その命によって、序曲を基にシェイクスピアの劇付随音楽「夏の夜の夢 作品61」を完成させることになったという訳だ。(34歳頃)
今では演奏会でもCD録音でも、「作品21」と「作品61」はセットで演奏されることが多い。

〇 『夏の夜の夢』 〇
この曲は、全曲となると以下の様に、序曲を含めて13曲になる。

1. 序曲 作品21
2. 第1番 スケルツォ (以下 作品61)
3. 第2番 メロドラマ<山を飛び、谷を飛び>
4. 第3番<さあ、輪になって踊りなさい> 合唱つきの歌<夜鶯の子守歌>
5. 第4番 メロドラマ<目覚めた瞬間、最初に見た者>
6. 第5番 間奏曲
7. 第7番 夜想曲
8. 第8番 メロドラマ<戻れよ、戻れ、元の妃に>
9. 第9番 結婚行進曲
10. 葬送行進曲
11. 第11番 ベルガモ風道化踊り
12. 第12番 アレグロ・ヴィヴァーチェ
13. フィナーレ<死んでまどろむ暖炉の火で>

演奏会やCD録音では、この中から抜粋したものを組曲的に構成するケースが多い。
演奏会でも、全曲を演奏しようとすると、合唱やソプラノ・メゾソプラノなどが入るため、それなりの用意が必要になる。
抜粋する例としては

1. 序曲 作品21
2. 第1番 スケルツォ (以下 作品61)
6. 第5番 間奏曲
7. 第7番 夜想曲
9. 第9番 結婚行進曲
11. 第11番 ベルガモ風道化踊り

あるいは、以前の巨匠達の録音で多かったのは、上記抜粋例の内、結婚行進曲までの5曲というものも目立ったように思う。


〇 結婚行進曲 〇
作品61-9結婚行進曲はあの有名な「パパパパーン、パパパパーン」だ。
ご自身の結婚式で、ワーグナーのローエングリンからの結婚行進曲とどちらを選択するか迷われた方もいるだろう。
日本では、メンデルスゾーンを選ぶ方が多いと聞いたことがある。
出だしがファンファーレ的で晴れがましいことと、曲調が明るくていかにもメンデルスゾーンだからなのだろう。

〇 「序曲」 〇
まず、序曲で思うことがある。
17歳の青年の作曲した曲とはとても思えない完成度、正にモーツァルトに匹敵する天才振り。
この曲は、そうは聞こえないかも知れないが、かなりきっちりとソナタ形式だ。
メンデルスゾーンという作曲家は、ロマン派の時代に相当異色な古典主義の作曲家だと思う。
ロマン派的な香りに満ちたメロディを書きながら、先鋭的な姿勢や古典主義の音楽の破壊を嫌った、極めてお行儀のよい作曲家と言える。
それは、多分メンデルスゾーンが裕福な銀行家の家柄に生まれたこと、ユダヤ人であったことと無縁ではないだろう。
小さいころから謂れなき差別を受けた、失うべきものを所有した出自。
メンデルスゾーンの音楽は、そうしたある意味で不安定だった環境とバランスをとるかのように、安定した全音階的な明るい音楽になった・・・。
そして、世界大戦までのヨーロッパでは絶大な人気を誇る作曲家になったのだろう。


【メンデルスゾーン 無言歌集】
無言歌集
【メンデルスゾーン ピアノ協奏曲第1番】
ピアノ協奏曲第1番
【メンデルスゾーン ピアノ協奏曲第2番】
ピアノ協奏曲第2番



<今日の一枚>
この曲の場合、私は緊迫感のある管弦楽表現が好きだ。
特に、序曲とスケルツォが重要で、どんな演奏を聞かせてくれるか楽しみな部分だ。
あー、やっぱり今日はトスカニーニでいこう。
この緊張感と疾走感溢れるスケルツォはどうだ。
誰にも達成しえなかった高みがここにはある。
但し、致し方ないのだが、音源が古いので音質は宜しくない。
■メンデルスゾーン:真夏の夜の夢/他 [Limited Edition]
 アルトゥーロ・トスカニーニ指揮 NBC交響楽団

・メンデルスゾーン
1. 劇音楽「真夏の夜の夢」op.21&61~序曲
2. 劇音楽「真夏の夜の夢」op.21&61~間奏曲
3. 劇音楽「真夏の夜の夢」op.21&61~夜想曲
4. 劇音楽「真夏の夜の夢」op.21&61~スケルツォ
5. 劇音楽「真夏の夜の夢」op.21&61~結婚行進曲
6. 劇音楽「真夏の夜の夢」op.21&61~フィナーレ
・ケルビーニ
7. 交響曲ニ長調
・ウェーバー:
8. 歌劇「オイリアンテ」序曲

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<推薦盤1>
この曲の推薦盤を挙げるなら、まずはレヴァインだろう。
非常に統率のとれたバランスの良い演奏だ。
レヴァインという指揮者の素晴らしさを感じることができる、切れの良い弦と抜群のリズム感で闊達な表現に成功している。
録音状態も良好。
■メンデルスゾーン:真夏の夜の夢 [Limited Edition]
 ジェームズ・レヴァイン指揮 シカゴ交響楽団

1. 劇付随音楽≪真夏の夜の夢≫ 作品61から 序曲 作品21
2. 劇付随音楽≪真夏の夜の夢≫ 作品61から スケルツォ
3. 劇付随音楽≪真夏の夜の夢≫ 作品61から 妖精の合唱「舌先さけたまだら蛇」
4. 劇付随音楽≪真夏の夜の夢≫ 作品61から 間奏曲
5. 劇付随音楽≪真夏の夜の夢≫ 作品61から 夜想曲
6. 劇付随音楽≪真夏の夜の夢≫ 作品61から 結婚行進曲
7. 劇付随音楽≪真夏の夜の夢≫ 作品61から 終曲「ほのかな光」
8. 劇音楽≪ロザムンデ≫ D797から 序曲(≪魔法の竪琴≫D644より転用)
9. 劇音楽≪ロザムンデ≫ D797から 間奏曲 第3番
10. 劇音楽≪ロザムンデ≫ D797から バレエ音楽 第2番

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<推薦盤2>
さらに挙げるとしたら、セルだろう。
こちらも特に弦の繊細な音が素晴らしい。
妖精の姿にも豊かな生命力が与えられているように感じる。
「イタリア」とのカップリングもお得感ありだ。
■メンデルスゾーン : 交響曲第4番「イタリア」&劇音楽「夏の夜の夢」 他
 ジョージ・セル指揮 クリーヴランド管弦楽団

1. 交響曲第4番イ長調op.90「イタリア」
2. 劇音楽「真夏の夜の夢」op.61
3. 序曲「フィンガルの洞窟」op.26
(「真夏の夜の夢」は
1. 劇音楽「真夏の夜の夢」op.21&61~序曲
2. 劇音楽「真夏の夜の夢」op.21&61~間奏曲
3. 劇音楽「真夏の夜の夢」op.21&61~夜想曲
4. 劇音楽「真夏の夜の夢」op.21&61~スケルツォ
5. 劇音楽「真夏の夜の夢」op.21&61~結婚行進曲
の5曲)
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2013.07.13 Sat l メンデルスゾーン l コメント (0) トラックバック (0) l top

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