★ ヘンデル 『水上の音楽』 ★
今日はバロックの雄、ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデルだ。
ヘンデルの生年1685年は、奇しくも大バッハとドメニコ・スカルラッティが生まれた年でもある。
バッハが「音楽の父」なら、ヘンデルは「音楽の母」とどこかで聞いた気がするが、この呼称はあまり一般的ではない。
ヘンデルとバッハ、この二人はニックネーム以外でも比較されることが多いが、ヘンデルがドイツ国内に活動場所を限定せずに、広くヨーロッパを旅し、後半生をイギリスで過ごしたのに対して、バッハは殆どドイツを出ることは無かった。
社交的なヘンデルと内弁慶なバッハ、生前はバッハよりもヘンデルの方が有名で成功した音楽家であったようだ。

音楽的にも、ヘンデルはオペラや劇場用の宗教音楽に重心があるのに対して、バッハは教会音楽や自己の音楽観を追求するような作品を多く残している。
その辺りの差が、後世の西洋音楽への影響度の差異になって現れていると思う。
ヘンデルは当時の富裕層が求める音楽を供給し、バッハはこつこつとポリフォニー音楽の礎を創り、「音楽の父」となったのだろう。

〇 水上の音楽 〇
この「水上の音楽」には、有名な逸話が残されている。

曰く:
当時(1710年から)ヘンデルはドイツのハノーファ選帝侯に仕えていたが、1712年から外遊した先のロンドンに居ついてしまい、母国からの再三の帰国命令を無視していた。
そのままならまだ良かったが、1714年にイギリスのアン王女が亡くなると、何とそのハノーファ選帝侯がジョージ一世としてイギリスに迎え入れられることになってしまった。
そこで一計を案じたヘンデルは、新王の舟遊びの為の音楽を作りご機嫌伺いをしようとした。
1715年のテームズ川での舟遊びの際に、この「水上の音楽」が演奏され、目出度く仲直りが出来た、と。

まことに良く出来たお話だが、最新の研究では1715年の舟遊びの際に、この曲が演奏された事実は無いということである。
しかし、1717年と1736年の舟遊びの際には演奏されたようであり、どうやら王の舟遊びの度に新しい曲が追加され、王族の楽しみに供されたようだ。

〇 構成 〇
この「水上の音楽」の管弦楽版には有名なもので3つある。
レートリッヒ版、クリュザンダー版、ハーティ版の3つで、現在の演奏ではレートリッヒ版(通称ハレ版)が採用されることが多い。

例えば以下のような構成だが、これは演奏する側の判断で第1組曲第3曲~第5曲を一つに扱ったり、色々ある。
CDでもトラックの切り方が様々なので、ある意味面白い点でもある。
第1組曲 ヘ長調
 第1曲:「序曲」 ラルゴ-アレグロ
 第2曲:アダージョ・エ・スタッカート
 第3曲:アレグロ
 第4曲:アンダンテ
 第5曲:アレグロ(ダ・カーポ)
 第6曲:「パスピエ」
 第7曲:「エア」
 第8曲:「メヌエット」
 第9曲:「ブーレ」
 第10曲:「ホーンパイプ」
 第11曲:アレグロ
第2組曲 ニ長調
 第1曲:(序曲)アレグロ
 第2曲:「アラ・ホーンパイプ」
 第3曲:「メヌエット」
 第4曲:「ラントマン」
 第5曲:「ブーレ」
第3組曲 ト長調
 第1曲:(メヌエット)
 第2曲:「リゴードン」
 第3曲:「メヌエット」
 第4曲:「ブーレ」

〇 典雅でスケールの大きい曲想 〇
第1組曲の序曲から、「あ!ヘンデル」だ。
本当にヘンデルの音楽は、小難しい学説のようなものを全て排除して楽しめるものだ。
序曲でヘンデルを堪能していると、すぐに第2曲に移る。(1曲1曲は2分~3分のものでとても短い)
このアダージョでは、木管の美しいメロディが心を癒す。
「あぁ・・、ヘンデル」だ。
第3曲では、金管が大活躍、ホルンの動きに大注目。
「おお!ヘンデル」だ。
第4曲では、木管から弦に流麗な音楽が行きつ戻りつする。
とても美しい。
第7曲のエアは、全曲中でも第2組曲の「アラ・ホーンパイプ」と並んで最も有名だろう。
堂々としたスケール感と優雅な曲想で、いかにも王侯貴族の音楽だ。
王宮を着飾った貴族が闊歩する姿が思い浮かべられるではないか。

この典雅な音楽を、是非あなたの自慢のオーディオか携帯音楽プレイヤーで聴いてほしい。
頭の中で鳴る、携帯プレイヤーで一人で楽しむのも私は好きだ。

<今日の一枚>
今日は、この『水上の音楽』を サー・ネビル・マリナーで聴くことにしよう。
ナイトの称号は伊達ではない。
このイギリスのマエストロは実に幅広いレパートリーを誇り、バロックにも造詣が深い。
■ヘンデル:王宮の花火の音楽 水上の音楽
 サー・ネビル・マリナー指揮 アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ

21PDN9E51PL__SL500_AA300_.jpg


<推薦盤1>
古楽での演奏ではこのCDが最もヘンデルらしく、典雅な王侯貴族の香りも漂い、細部に至るまで音楽的な気配りが行き届いていて大変素晴らしい。
■ヘンデル:水上の音楽/王宮の花火の音楽
 ジョン・エリオット・ガーディナー指揮 イギリス・バロック管弦楽団

51Fvx258CBL__SL500_AA300_.jpg


<推薦盤2>
ヘンデルの音楽を大編成のオーケストラで現代風にダイナミックに楽しむ。
そんな楽しみ方も勿論ありだ。
このセルの盤はハーティ版で、水上の音楽も美味しい処どりで、楽しいこと請け合いだ。
■ヘンデル:組曲「水上の音楽」 組曲「王宮の花火の音楽」(ハーティ編) 他
 ジョージ・セル指揮 ロンドン交響楽団

61ZSSeFTXcL__SL500_AA300_.jpg


スポンサーサイト
2013.06.15 Sat l ヘンデル l コメント (0) トラックバック (0) l top

コメント

コメントの投稿












トラックバック

トラックバック URL
http://007mousike.blog.fc2.com/tb.php/53-cf839bdd
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)