★ ハイドン 交響曲第103番 『太鼓連打』 ★
本日はハイドンで行こう。
フランツ・ヨーゼフ・ハイドン、18世紀古典派を代表する作曲家だ。
バッハが「音楽の父」なら、ハイドンは「交響曲の父」「弦楽四重奏曲の父」などと呼ばれることがある。
確かに、ハイドンが残した104曲の交響曲(他にNo.の付いていない交響曲が4曲ある)と68曲の弦楽四重奏曲(正味の数)は、その数もさることながら、内容が大変独創的で素晴らしい。
ハイドンの77年の生涯全般に渡って創作されている、彼の主要な作曲ジャンルでもある。

〇 ザロモン交響曲 〇
ハイドンはロンドン在住だった音楽興行師であるヨハン・ペーター・ザーロモンの招聘で2回に渡って渡英している。
1度目は1791年から1792年にかけて、2度目は1794年から1795年にかけてで、この渡英の際に作曲した交響曲12曲をザーロモンの名に因んで、「ザロモン交響曲」と呼ばれている。(ザーロモンと伸ばすのが正しいのかも知れない)

2回の渡英に分けて下記のように第1期と第2期に分けて整理されている。
第1期 交響曲第93番~第98番
交響曲第93番ニ長調
交響曲第94番ト長調「驚愕」
交響曲第95番ハ短調
交響曲第96番ニ長調「奇蹟」
交響曲第97番ハ長調
交響曲第98番変ロ長調

第2期 交響曲第99番~第104番
交響曲第99番変ホ長調
交響曲第100番ト長調「軍隊」
交響曲第101番ニ長調「時計」
交響曲第102番変ロ長調
交響曲第103番変ホ長調「太鼓連打」
交響曲第104番ニ長調「ロンドン」

この12曲の「ザロモン交響曲」は、別名「ロンドン交響曲」とも言われている。(それも納得)

〇 ザロモンとジュピター 〇
モーツァルトの最後のシンフォニーは『ジュピター』と呼ばれているが、このネーミングはザロモンによるものだと言われている。
ハイドンはモーツァルトの晩年(と言っても若かったが)にモーツァルトと親交を深めているが、この時代の人間関係のようなものが伺えるエピソードだ。

〇 太鼓連打 〇
この第103番『太鼓連打』はザロモン交響曲(ロンドン交響曲)の最後から二つ目に当り、晩年のハイドンの充実振りが伺える、ハイドン独特の軽みの中にも独創性に富んだ曲で、初演から現在に至るまで人気のあるシンフォニーだ。

〇 何故?『太鼓連打』 〇
この「太鼓連打」というニックネームは、第1楽章の冒頭とコーダの始めに、Wティンパニによる「ドドドド」という正に太鼓の連打があるからだ。
第1楽章を聞けば、冒頭からティンパニで、それはそれで納得はいくのだが、ここでハイドンがやりたかったことが私には良く判らない。
生来のユーモア感覚の為せる業なのか、序奏の新機軸としての発想なのか・・・。
この後続く序奏のメロディは、良く聞くとソナタ形式の主部でも現れる。
ティンパニの連打と少し不気味な色彩を帯びる低弦が奏する序奏、何かを象徴しているのかもしれない。

〇 双子の主題 〇
この曲を聞いて印象に残るのは、各楽章の主題の類似性だ。
第1楽章はソナタ形式だが、その第1主題と第2主題は類似性があり、特に第2主題の後半は第1主題から取られているように思う。
第2楽章はAndanteで変奏曲になっているが、ここでの二つの主題がハ短調とハ長調でとても良く似た和音進行をする。

さらに、主題ではないが、第3楽章のメヌエットでも、トリオの部分が近親調ではなくメヌエットと同じ変ホ長調で、ここでも類似性を持たせた上で、曲調を変えることでメリハリをつけている。

このように、ハイドンはこのシンフォニーの中で、双子の音楽を如何にコントラストをつけて展開するか、というテーマに挑んでいるかのように感じられる。

〇 優雅な宮廷音楽 〇
これはザロモン交響曲全般に言えることだが、ハイドンの時代の音楽が貴族を中心とした富裕層のものであったことから、曲調はあくまで優雅で調性もあまり尖ったものは使われていない。
バロックから続くこの流れをハイドンは色濃く継ぎながらも、独特の感性と独創性のある音楽の構成でシンフォニーを一つの高みに持っていった作曲家だと感じる。


【ハイドン 交響曲第101番『時計』】
交響曲第101番『時計』


<今日の一枚>
私はハイドンのシンフォニーを聞く際に、まずこの全集を引っ張り出す。
殆ど聞く機会の無いハイドンの初期のシンフォニーを含めて、ハイドンの第1人者のアダム・フィッシャーが非常に丁寧に、流麗な音楽を聞かせてくれる。
ハイドンの語るには絶好の全集だと思う。
ちなみに、オーストリア・ハンガリー・ハイドン管弦楽団は1987年にアダム・フィッシャーによって組織されたオーケストラで、本拠地はハイドンゆかりのアイゼンシュタットのエステルハーツィ宮殿内のハイドンザールだ。
オーストリアからのメンバーとは即ちウィーン・フィルのメンバーということだ。

■ハイドン:交響曲全集(33枚組)/Joseph Haydn: Symphonies 1-104 [CD, Import]
 アダム・フィッシャー指揮 オーストリア・ハンガリー・ハイドン管弦楽団
 2001年録音で音質は良好。

51TzMvwV1PL__SL500_AA300_.jpg


<推薦盤1>
ハイドンはちょっと単調かな、と思っている方にはアーノンクールをお奨めする。
切れ味のあるハイドンが楽しく聞ける。
■ハイドン : 交響曲第101番「時計」,第102番,第103番「太鼓連打」,第104番「ロンドン」
 ニコラウス・アーノンクール指揮 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

412BS4GVKDL__SL500_AA300_.jpg



<推薦盤2>
古楽器からも良いCDを推薦したい。
クイケンだ。
このCDは小編成オーケストラの弦楽器などの音色のピュアさを堪能しつつ、しかもなかなかスケール感のある演奏を聞かせてくれるのだ。
ザロモン交響曲12曲全てが収録されている。
■ハイドン:ロンドン(ザロモン)交響曲集
 シギスヴァルト・クイケン指揮 ラ・プティット・バンド

51v+0QatwaL__SL500_AA300_.jpg

 
関連記事
スポンサーサイト
2013.06.14 Fri l ハイドン l コメント (0) トラックバック (0) l top

コメント

コメントの投稿












トラックバック

トラックバック URL
http://007mousike.blog.fc2.com/tb.php/52-346449eb
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)