★ ヴェルディ 歌劇 『椿姫』 ★
今年はイタリアオペラの巨匠ジュゼッペ・ヴェルディの生誕200年にあたる年だ。
また、ドイツオペラ界の重鎮リヒャルト・ワーグナーの生誕200年でもある。
日本国内でも様々なイベントが開催される。

ヴェルディのオペラで調べてみると、
■ミラノ・スカラ座
ハーディングの指揮で「ファルスタッフ」、ドゥダメルの指揮で「リゴレット」を上演。
◆ヴェルディ:「ファルスタッフ」
9/4(水)・6(金)・8(日)・12(木)・14(土) 東京文化会館
◆ヴェルディ:「リゴレット」
9/9(月)・11(水)・13(金)・15(日) NHKホール
◆特別演奏会
9/5(木) 東京文化会館

これは出来ることなら、是非観に行きたい!!
やっぱり想像通りのお値段、S席62,000円 A席55,000円・・・。

■ハンガリー国立歌劇場 ヴェルディの「椿姫」を上演。
6/15(土) 神奈川県民ホール 大ホール
6/16(日) 川口総合文化センター リリア メインホール
6/20(木) 府中の森芸術劇場 どりーむホール
6/21(金)~23(日) 東京文化会館 大ホール
6/24(月) アクトシティ浜松 大ホール
6/26(水) 愛知県芸術劇場 大ホール
6/28(金) 三重県文化会館 大ホール
6/29(土) フェスティバルホール
6/30(日) 神戸文化ホール 大ホール
7/2(火) iichiko グランシアタ
7/3(水) アクロス福岡 福岡シンフォニーホール

こちらはうっかりしている内にSOLD OUT。
本日は、このハンガリー国立歌劇場の演目だったヴェルディの『椿姫』を聞く。

〇 ヴェルディ 〇
19世紀のイタリアオペラを代表する作曲家、ジュゼッペ・フォルトゥニーノ・フランチェスコ・ヴェルディ。
ヴェルディという作曲家は、ワーグナーやプッチーニ同様に、その作品の殆どがオペラだ。
しかし、二人に比して作曲技法は地味で、派手な音響効果を狙ったり、独自の音楽語法を展開するというタイプの作曲家ではなかった。
経済的にも苦しい時代が続いて、作曲依頼に応え続けた結果オペラ作家としてはかなりの多作家となった。
(ワーグナーやプッチーニが10余りなのに対して、ヴェルディは生涯で26のオペラを作曲している。)
その性格は真面目で堅実、数々の不幸に苛まれながらも己のスタイルを失うことは無かった。

〇 ヴェルディの音作り 〇
作曲技法が「地味」というのは私の個人的偏見に近いかも知れないので、言い直すと、シンプル(簡潔)なのだと思う。
劇の進行と、登場人物の心情に密接な音造りであり、和声であって、無用な音をいたずらに重ねるようなことはしなかった。
この『椿姫』の前奏曲にしても、もの哀しい弦の啜り泣きに、私などはいきなり号泣してしまいそうだ、これ以上の音は要らない。

〇 ヴェルディ オペラの主人公 〇
さらに、その主人公達が特徴的だと思う。
ヴィオレッタは娼婦(椿姫)、リゴレットはせむしの道化(リゴレット)、ザモーロはスペインに弾圧されるインディオの酋長(アルツィーラ)、エルナーニは山賊の頭目(エルナーニ)・・など等。
ワーグナーが自身のスタイルから神話や伝説に題材をとったのに対して、ヴェルディは社会の弱者やはぐれ者がどうしようもない「運命の力」(そんなオペラもあった)に翻弄されながらも、己の愛を全うする、といった人間劇を綴った。
そうしたことも、その当時の聴衆の心を掴んだのだろう、ヴェルディは押しも押されもしないイタリアオペラのマエストロとなった。

〇 『椿姫』 〇
これはヴェルディの中期を飾る傑作オペラだ。
直前の作である『イル・トロバトーレ』は復讐劇であったが、こちらの『椿姫』はアレクサンドル・デュマ・フィスの原作に基づく悲恋物語。
台本はフランチェスコ・マリア・ピアーヴェが書いている。
原題は「La traviata(ラ・トラヴィアータ)」、直訳(堕ちた女)すると変だが、娼婦のことを言っているのだと思う。
小デュマが書いた自叙伝的原作は「La Dame aux camelias」、こちらは「椿姫」と言っていいのだろう。

主人公のヴィオレッタはパリの社交界の華、所謂高級娼婦。
そのヴィオレッタが青年貴族アルフレードとの純粋な愛と現実との狭間で翻弄され、最後には肺結核の為に亡くなってしまうという悲恋物語だ。

〇 初演は失敗 〇
初演は1853年にフェニーチェ劇場で行われた。(フェニーチェ歌劇場は今年4月に来日した記憶が新しい)
その初演の際は、主人公が娼婦であるということから当局から問題視されたり、準備期間が短かったため稽古不足であったり、ヴィオレッタ役がとても結核で苦しんでいるようには見えなかったりで、散々だったようだ。
無論今では世界中で上演される人気オペラだが、実は最後のヴィオレッタの元気すぎる件については、私も中学のときに生まれて初めてイタリアオペラを観た際に実感したことがある。
その際の第3幕の演出では、病気で痩せ細ったヴィオレッタをアルフレードが抱きかかえるというシーンがあったのだが、アルフレード役の相当な逞しい腕でも、あまりの重量にワナワナと震えていた。
笑えない違和感に、舞台の難しさみたいな感傷に浸ったものだ。

〇 美しい数々のアリア 〇
このオペラはヴェルディのオペラの中でも、優雅で華麗なアリアに満ちている。
前奏曲:もの哀しい弦のメロディにヴィオレッタの運命が暗示される。
第1幕:
華やかな社交場の場面では、アルフレードとヴィオレッタそれに合唱による有名な「乾杯の歌」が歌われる。
続いて、二人による「ワルツと二重唱」、美しいメロディが愛の歌を奏でる。

アルフレードの真実の愛にヴィオレッタの心は躍る。「ああ、そは彼の人か」(ヴィオレッタ)
いやいや自分は娼婦。「花から花へ」(ヴィオレッタ)
この辺りの歌唱はカラスの絶唱を聞くと鳥肌が立つ。

第2幕第1場:
ここはこのオペラ上、最も大切な転換点だ。
ポイントはアルフレードの父ジェルモンによる懸命な説得、アルフレードを愛するなら別れてくれと。
ジェルモンはヴィオレッタと話すうちに彼女の真実の愛に感動しつつも、心を鬼にして別れを迫る。
ヴィオレッタは自分の娼婦という身の上を考えて、次第に自分を抑える決心に傾いていく。
この辺りの二人のやりとりと、その揺れ動く心を音楽で表現するヴェルディの腕前は見事と言っていい。

そして、このヴィオレッタの自己犠牲とも言える決心は、第3幕の悲劇へと繋がっていく。
このオペラの悲劇性を増幅し、よりドラマティックで感動的な結末へと誘う最大の布石がここにある。

そして、この場の最後にはジェルモンによる有名なアリア「プロヴァンスの海と陸」が歌われる。
父親が息子に故郷の風景を思い出させようと、朗々と歌うのだ。
ここのヴェルディの音楽は、ふくよかで海のように深い。

第3幕:
結核の為に、死を迎えようとしているヴィオレッタのもとに父親から全てを聞かされたアルフレードが駆けつける。
しかし、ヴィオレッタの衰弱は激しくやがてアルフレードとの愛を確認しながら静かに息をひきとる・・。

有名なアリアは前半に集中しているが、全編に渡ってヴェルディの音楽は登場人物の心情を支えて、見事な音楽劇を作り上げている。


【レオンカヴァルロ 『道化師』】
『道化師』
【ロッシーニ 『泥棒かささぎ』】
『泥棒かささぎ』



<今日の一枚>
『椿姫』にはマリア・カラスの歴史的名盤があるのだが、いかんせん音が悪いので、今日はクライバーの躍動的で鮮烈な音と、歌手の感情移入にまで連動していく素晴らしいタクトで聞いてみたい。
長年聞き続けている一番のお気に入りだ。
■ヴェルディ 歌劇『椿姫』全曲
 カルロス・クライバー指揮 バイエルン国立歌劇場管弦楽団・合唱団
 配役:
 ヴィオレッタ:イレアーナ・コトルバシュ
 アルフレード:プラシド・ドミンゴ
 ジェルモン:シェリル・ミルンズ
 フローラステファニア・マラグー、他
 録音:1976&77年(ステレオ)

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<推薦盤1>
クライバー盤は勿論推薦盤だが、イタリアオペラの名指揮者セラフィンの『椿姫』も必聴ものだ。
■ヴェルディ:椿姫 全曲
 トゥリオ・セラフィン指揮 ミラノスカラ座管弦楽団・合唱団
 配役:
 ヴィオレッタ:アントニエッタ・ステルラ
 アルフレード:ジュゼッペ・ディ・ステファーノ
 ジェルモン:ティト・ゴッビ 、他

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<推薦DVD>
オペラは、やはり映像で楽しむのが一番だ。すごいDVDが出た。
2005年のザルツブルグ音楽祭目玉だった、アンナ・ネトレプコの椿姫を家庭で観られるのだ!
当日のプラチナ・チケットは、数十万円で取引されたとか・・。 
何と言ってもネトレプコ、そのエネルギィッシュな歌唱もさることながら、抜群の演技力と美しい容姿。
この椿姫は素晴らしい!
■ヴェルディ:歌劇《椿姫》 [DVD]
 カルロ・リッツィ指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 配役:
 ヴィオレッタ:アンナ・ネトレプコ
 アルフレード:ローランド・ビリャソン
 ジェルモン:トーマス・ハンプソン  、他

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この再販のDVDは安くてお買い得だ。(以前は7000円以上していた)
発売は6月19日で 今なら予約して入手できる。



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2013.06.11 Tue l ヴェルディ l コメント (0) トラックバック (0) l top

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