★ ベートーヴェン ピアノ協奏曲第4番 ★
さて、今日は大ベートーヴェンのピアノ協奏曲だ。
それも皇帝ではなく、第4番が聞きたい気分。
交響曲でもそうだが、ベートーヴェンという人は奇数番号と偶数番号で曲調に共通性があるように感じている。
奇数番号の曲はおしなべて豪快・豪華絢爛・偉大というイメージな曲が多いが、偶数番号になるとベートーヴェンのセンシティブな面が強調されている曲が多い。
この第4番のコンチェルトも、厳しく引き締まった中にも、ベートーヴェンの柔らかく繊細な部分が表出した高貴な曲になっていると思う。
出来ることなら、一人で部屋に籠り、しみじみ聞きたい音楽だ。

〇 出だしが重要 〇
どの曲でもそうだと毎回言っているような気がしないでもないが、いや、やっぱり第1楽章の出だしはとても重要だ。
この第4番の場合、形式上の顕著な特徴としても第1楽章の冒頭が独奏楽器から始まるという事が挙げられる。
あの印象的なピアノの同音連打(無論和声付き)で始まる冒頭、私はここがこの曲の中でも一番好きだし、CDを聞く際にも一番緊張し括目して聞く箇所だ。
かのドイツが生んだ名ピアニストであるヴィルヘルム・バックハウスもこの第4番を愛し、冒頭の箇所を何度も何度も練習したと述懐している。
しかも晩年残した言葉では、結局満足いく演奏は一度もできなかったとまで言っている。
単純であるが故に、至極困難な同音連打。
そうなのだ、ヴィルトオーソと言われる人ほどシンプルなメロディに慄く。
少ない音で、万感を表現し、人をして感動せしめる程難しいことはない。

独奏楽器が最初から活躍する例は、モーツァルトの記事でも触れた。
モーツァルト ピアノ協奏曲第9番『ジュノーム』 なのだが、曲の繊細さでも共通項があるように思っている。

ベートーヴェン、このおっかない顔の作曲家がこんなにも華奢な指で私たちの胸をノックする、冒頭の同音連打、心して聞きたい。

そして、このピアノの囁きにオーケストラが応えるのだが、ここがまたいい!
ト長調に対してロ長調に転調しているのだろうか、転調効果抜群である。
ここがこの曲のありようを語り尽くしている。
つまり、独奏ピアノとオーケストラが親密に内省的な会話を全曲に渡って繰り広げるのである。

〇 決然としかも繊細に 第2楽章 〇
ここは弦による決然とした始まりに背筋が伸びる。
それを受けて、ベートーヴェンとしては少し珍しいかもしれない程の繊細で瞑想的な応答をピアノが演じる。
ここはピアニストのロマン性が遺憾なく発揮される箇所だと思う。

 爽やかに 第3楽章 〇
宙を漂っていた魂が己の身体に戻ったかのように、明るいメロディに乗って爽やかな会話が始まる。
しかし、時に密やかに、時には晴やかに、メリハリのある展開でベートーヴェンやはり巧みだ。


【ベートーヴェン 交響曲第5番『運命』】
交響曲第5番『運命』
【ベートーヴェン 交響曲第3番『英雄』】
交響曲第3番『英雄』
【ベートーヴェン ヴァイオリンソナタ第5番『春』 】
ヴァイオリンソナタ第5番『春』




<今日の一枚>
今日はこの曲の美しさを教えてくれた名盤、フリードリッヒ・グルダがホルスト・シュタイン+ウィーン・フィルと組んだ盤を聞きたい。
全体に、グルダのピアノがとても詩情に溢れて素敵なのだが、私が一番お気に入りはやはり第1楽章冒頭の入りの部分。
バックハウスが到達しえなかったセンシティブなポエムにグルダが行き着いたのではないだろうか。
それから第2楽章がまた素晴らしい。
記事にも書いた、この曲の持つ精妙な感興を見事に表現していると思う。

■ベートーヴェン ピアノ協奏曲第4番ト長調 作品58
        ピアノ協奏曲第3番ハ短調 作品37
 フリードリッヒ・グルダ(P) ホルスト・シュタイン指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

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<推薦盤1>
グルダと同様、ピアノとオーケストラの絶妙な会話を高貴に歌い上げているのがバックハウスだ。
バックハウス本人が、この曲が一番好きだと言っているように、この曲に対する思い入れのすごさが冒頭に聞ける盤だ。
イッセルシュテットの指揮がまたウィーン・フィルの艶やかで美しい特性を良く引き出している。
抜群のハーモニーだ。

■ベートーヴェン ピアノ協奏曲第4番・第5番
 ヴィルヘルム・バックハウス(P)ハンス・シュミット=イッセルシュテット指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

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<推薦盤2>
卓越したテクニックと透徹感のあるピアノ、ポリーニのベートーヴェンも素晴らしい。
特にこのベームとの旧盤が私は好きだ。
時に冷たい様な印象も抱くのだが、厳しくリリックに歌う第4番、これは一聴の価値ありだ。
ポリーニが単なるショパン弾きではない証でもある盤。
■ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4&5番《皇帝》
 マウリツィオ・ポリーニ(P)カール・ベーム指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

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ポリーニが若い!

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2013.06.05 Wed l ベートーヴェン l コメント (0) トラックバック (0) l top

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