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★ モーツァルト 交響曲第40番 ★
交響曲第40番ト短調 K.550、このシンフォニーは、モーツァルトが残した傑作の中でも最も有名な曲の一つだ。
モーツァルトにとっても、ナンバーの付いたシンフォニーの中で2曲しかない短調のシンフォニーの一つで、特別なものだった筈なのだ。(もう一曲は、同じくト短調の25番)

〇 哀しみ?慰め? 〇
この曲は、調性のこともあってモーツァルトの「悲しみ」や「諦観」といったものを感じる、と聞くことがあるのだが、う~ん、確かにメロディが余りにも美しいので、そのような聞き方にもなるのだろうが、私には「苛立ち」や「焦燥感」「もやもや感」が根底にあるように思える。
あるいは、モーツァルトにとってちょっとした実験的な試みだったのかと考えたこともある。
例の僅か2~3ヶ月の間に作曲された3大シンフォニーの中で、この曲はト短調という調性も異例だが、曲の構造がとても不安定なものになっている。
ジュピターなどは、バッハ流のきっちりとした構築美をもっているのだが・・・。

〇 不安で始まる 第1楽章 〇
まずヴィオラによる短い序奏の後に、あのあまりにも有名な旋律「ラソソ、ラソソ、ラソソーミ(固定ド)」がヴァイオリンに出る。
ここでは序奏が効果的?に聞く者の不安を煽る。
この短い序奏と「ラソソ、ラソソ、ラソソーミ」で、全曲のイメージを語りきっている。
こういうある意味潔いとも言える語り口にモーツァルトの天才たる所以があるのだと思っている。
短いフレーズの中にあらゆる想いを封じ込めてしまう。
だから、それを紐解いて私たちに聞かせる演奏家という職業が成立するし、再生芸術を楽しむ私たちの「酒」や「珈琲」「会話」の味が変わるというものだ。
このメロディは「ため息の動機」とも言われるメロディで、これがこの楽章中同型で現れる。
展開部に入ると、この主題が嬰ヘ短調から順に短調を渡り歩く。
彷徨い歩くと言った方が妥当か。
深い森を宛てもなく彷徨う蝶のように・・・。

〇 何拍子なのだ?第2楽章 〇
この楽章は何とも落ち着かないリズムなのだ。
最初聞いた時には「うん?3拍子かな」と思ったのだが、例の32分音符の「チュラ、チュラ」とヴァイオリンが奏するあたりに来ると「あれ?2拍子だったのかな?」、本当にリズムが判りにくい楽章になっている。
実際にスコアを見ると、これは8分の6拍子。
しかし、2拍子と3拍子の組み合わせみたいな構成になっている。
モーツァルトは意図的に拍子を暈した音楽を作っている。
またまた、聞く者を不安に陥れるモーツァルトのトラップ。

〇 踊れないメヌエット 第3楽章 〇
無論、これは実際に踊るための音楽として作られたものでは無いと思うが、元来メヌエットは2小節又は4小節が一つの単位として作られる音楽だ。(2小節6拍とか、舞曲なのだから)
ところが、このメヌエットは 
(3小節、3小節)+(5小節、3小節) 又は (3小節、3小節)+(4小節、4小節)
という構造になっていて、ものすごく異常な形だ。
この曲では踊れない。
私たちがメロディやハーモニー、リズムを感じるのは、経験則によるスキーマを持っているからだが、このメヌエットではリズムのスキーマが見事に裏切られる。(しかも実に心地良く)
おお!ここにもモーツァルトによる不安トラップが。

〇 転調の嵐 第4楽章 〇
この終楽章は、何者かに突き動かされる様な第1主題で始まるソナタ形式。
展開部がまた異常だ。
提示部の最後から(変ロ長調か?)展開部に入るときにニ短調に動いて、ここから目まぐるしく4度での転調を繰り返してヘ短調まで急降下。
かと思っていると、今度は俄然思い直したように反対方向に転調を始めて、ハ短調、ロ短調、(ホップ・ステップ)嬰ハ短調(ジャンプ)と数十小節の間に変遷を繰り返す。
しかも、限りなく美しいメロディでこれをやられるのだ。
もう、聞いている者の心は千々に乱れる。

このように、このシンフォニーには聞く者の不安を煽るトラップが満載なのだ。

また、このシンフォニーのオーケストラ編成には、ティンパニとトランペットが使われていない。
第1楽章の木管が繋ぎの音楽を奏する陰に隠れて、再現部が忍びの者のように現れるといった趣向と併せて、モーツァルトが「こっそり」演出する数々のトラップに強い音の楽器は省いたのではないだろうか。


【モーツァルト 交響曲第41番『ジュピター』】
交響曲第41番『ジュピター』
【モーツァルト 交響曲第39番】
交響曲第39番
【モーツァルト ピアノ協奏曲第9番『ジュノーム』】
ピアノ協奏曲第9番『ジュノーム』



<今日の一枚>
さて、そのような40番、誰で聴こうか。
やはり愛聴盤に手が伸びる。
ブルーノ・ワルターだ。
ジュピターでは輸入盤を紹介したので、ここでは国内盤の一つを紹介しよう。
40番以外に、アイネクライネナハトムジークなどの魅力的な曲も収録されていてお得感がある。
■モーツァルト 交響曲40番、他
 ブルーノ・ワルター指揮 コロンビア交響楽団

【収録曲】
1. 交響曲第40番ト短調K.550
2. アイネ・クライネ・ナハトムジーク ト長調K.525
3. 歌劇「劇場支配人」序曲K.486
4. 歌劇「コシ・ファン・トゥッテ」序曲K.588
5. 歌劇「フィガロの結婚」序曲K.492
6. 歌劇「魔笛」序曲K.620
7. フリーメイソンの葬送音楽K.477

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<推薦盤1>
ワルター盤はとってもロマンティックなモーツァルトだが、もっと冷静に抑制的にこの美しいメロディ(美しいメロディはやはり徹底的に美しく)楽しみたい方にはベーム+ウィーンフィル盤をお奨めする。
ジュピターで紹介したベルリン・フィルも良いが、ウィーンの香りがするこの盤は美しい!
■モーツァルト 交響曲第40番ト短調K.550 、他
 カール・ベーム指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

【収録曲】
1. 交響曲第40番ト短調K.550
2. 交響曲第41番ハ長調K.551「ジュピター」
3. フリーメイソンのための葬送音楽ハ短調K.477(479a)

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<推薦盤2>
もう少し最近の録音では、ヴァント盤がいい!
すっきりと、喚かず、この曲の遷ろう心を端正に表現している。
録音も申し分ない。3大交響曲が収録されている。
■モーツァルト 交響曲第40番ト短調K.550 、他
 ギュンター・ヴァント指揮 北ドイツ放送交響楽団

【収録曲】
1. 交響曲 第39番 変ホ長調 K.543
2. 交響曲 第40番 ト短調 K.550
3. 交響曲 第41番 ハ長調 K.551 「ジュピター」
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2013.06.01 Sat l モーツァルト l コメント (0) トラックバック (1) l top

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photo from 写真AC皆さんこんばんは。以前(7年ほど前)、モーツァルトのポケットスコアを買ったことを書いたのですが(「ポケットスコア/モーツァルト『ハフナー』」、「ポケットスコア/モーツァルト『ジュピター』」)、実は『交響曲第40番』のポケットスコアも買ってい
2016.11.09 Wed l Coffee, Cigarettes & Music
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