★ モーツァルト 交響曲第39番 ★
この交響曲第39番 変ホ長調 K.543は、モーツァルトの3大交響曲の最初を飾るシンフォニーだ。
シンプルで美しいメロディに満ち、完成されたソナタ形式、典型的な3部形式で書かれたモーツァルトの代表作だ。
そして、オーケストラ編成で目を引くのはオーボエがないことだ。
代わりに、クラリネットが活躍する。
数年前からモーツァルトはこのクラリネットという、当時新しかった楽器を上手に使うようになっていた。
後に、クラリネット協奏曲という傑作も生み出している。

〇 なぜ?クラリネット 〇
このシンフォニーでオーボエに替えて、クラリネットを選択したのには理由がある筈だ。
編成の小さい楽曲ではオーボエを外すことはあったように思うが、ある程度以上の規模のシンフォニーではあまりないことだろう。
以前何かの書物で読んだ、友人であるクラリネット奏者シュタートラーのことが頭にあったのか。
うん、この考え方は現実的だと思う。
しかし、私はここで敢えて曲想に注目したい。
子供の頃聞いた39番のLPジャケットに「明るい」曲だと評してあったのが、私はどうしても納得がいかなかった。
この曲の表面にある快活さやにこやかさの裏には、何かに耐える様な秘めた哀しみがあると思いませんか。
その微妙な裏面を持った柔和な表情を出すために、オーボエではなくクラリネットの温もりのある音を選択した。
私はそんな風に考えてこの曲を聞いている。

〇 印象的な第1楽章 冒頭 〇
この曲の第1楽章は、所謂序奏付きのソナタ形式で書かれている。
私は、この序奏がとても大切だと思っている。
CDを聞く場合でも、この序奏の部分の指揮者の処理が全てを決める!くらいの勢いで楽しみにして聞く。
オーケストラの強奏、ティンパニのリズミカルな連打、弦の流麗な下降音型、少し落ち着いたかと思うと管が入って、まだ下降音型は続く、それが低弦の上昇音型に変って突然不協和音が響き、その間ティンパニが効果的に付点リズムを刻む。
ここをどのような速さで管と弦のバランスをどう保ちながら、如何にオーケストラを歌わせるか、指揮者の技量が問われる最大のポイントだと思う。
そして、第1主題が提示されるのだが、私はここでの低弦による「ズン」という始まりが好きだ。
序奏の間、彷徨っていた思念がある決意をしたかのような「ズン」なのだ。
変ホ長調という穏やかな調性もあって、「明るい」というよりも「柔和」な印象を抱く。

〇 クラリネットが愛らしい 第3楽章 〇
第3楽章は3部形式のメヌエットだが、このトリオ部分のクラリネットが可愛らしい。
ここをシュタートラー兄弟が演奏することを想定していた、と考えるのは至極妥当に思えるのだ。
このフレーズの為だけにクラリネットを待機させても聴衆は納得するぐらいだ。
本当にこうしたノリの良い快活なメヌエットは、モーツァルトの独壇場だ。


【モーツァルト 交響曲第41番『ジュピター』】
交響曲第41番『ジュピター』
【モーツァルト 交響曲第40番】
交響曲第40番
【モーツァルト ピアノ協奏曲第20番】
ピアノ協奏曲第20番


<今日の一枚>
この曲の持つ「柔和な貌」と「秘めた悲しみ」、優雅にしてダラケない規律、それを如実に表現しているのはやはりベームではないか。
今日は、ベームが聞きたい。
41番(ジュピター)ではベルリン・フィルとの演奏を推薦したが、この曲ではより典雅で流麗な演奏が聴けるウィーン・フィルとの組み合わせでいこう!
■モーツァルト 交響曲第39番 変ホ長調 K.543
 カール・ベーム指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

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<推薦盤1>
今日の一枚のベームは推薦盤のトップクラスだが、ここでさらに挙げるとしたらワルターか。
ジュピターではコロンビア響との演奏を挙げたが、若い頃のワルターも良い。
ただ、致し方がないことだが音質という面ではやはり晩年の録音には及ばない。
39番、40番、41番(ジュピター)の最後期の3交響曲が収録されている。
これはモノラル録音だ。

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<注目盤>
古楽器から注目すべきCDが出ている。
序奏を本来の2拍子のマーチと捉える解釈だ。
私は初めて聞いたときにびっくりした、なるほど譜面通りならこうなるか。
名手ホープリチのクラリネットが聞ける。
■ジョス・ファン・インマゼール指揮 アニマ・エテルナ

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2013.05.18 Sat l モーツァルト l コメント (0) トラックバック (0) l top

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