★ モーツァルト 交響曲第41番 ★
モーツァルトの最後の交響曲で、私個人としては人類最高峰の「音楽」と言って良いくらいに尊いシンフォニーである。
全楽章、美しい形式美に則ったモーツァルトらしい魅力的なメロディに満ちている。
39番、40番、41番と、天才モーツァルトは、このユニークで心躍る3つのシンフォニーを僅か3ヶ月程の間に完成させているのだ。
所謂、モーツァルトの3大シンフォニーは、1788年の夏に一気に書き上げられている。
研究では、39番が1788年6月26日、40番が7月25日、そして41番が8月10日に完成されたそうだ。
ブラームスの様に最初のシンフォニーに悩みに悩み、20年の歳月をかけて第1シンフォニーを誕生させる、慎重さ無骨さ、真摯さもあれば、200年以上経っても万人を魅了するシンフォニー3曲を、たった3ヶ月で完成させる離れ業もあるのである。
勿論、どちらが優れているか、などという不毛な議論は止めておこう。

〇 交響曲第41番 ハ長調 K.551『ジュピター』 〇
3大シンフォニーは言うまでも無く、どれも素晴らしいのだが、このシンフォニーはとても気高い。
凛とした顔を持ち、堂々とした風格に彩られているのだ。
故に、後世の人が付けた愛称が『ジュピター』。
ローマ神話の最高神の名前だ。
全くもって言い得て妙である。

〇 ジュピター音型 〇
第3楽章のトリオに顔を見せて、第4楽章で堂々と展開されるハ長調の「ドレファミ」のセットを「ジュピター音型」と呼んでいる。
このシンプルな音のセットをモーツァルトは、好んで使用したそうで、彼の最初の交響曲にも使われている。
かの大指揮者カール・ベームがわざわざ第1番のシンフォニーを演奏会にかけて(この幼年期の作品が演奏会向けではないことを百も承知で。)、モーツァルトの天才のベースはこのように7歳そこそこで確立されていたのだということを示したというような逸話を聞いたことがある。
第1シンフォニーに、ジュピター音型がちゃんと出てくるのだ。

モーツァルトの天才について語りだすと、どんな偉人でも大音楽家でも、私のようなただのおっちゃんでも、とにかく熱くなってしまうのだ。

〇 緻密な計算・終楽章 〇
この曲の第4楽章は、ポリフォニー音楽の粋ともいうべき構成であり、緻密に計算し尽されたフーガの技法が駆使されている。
システィーナ礼拝堂の門外不出の音楽を一回聞いただけで採譜したというモーツァルトでも、このフーガは丁寧に下書きをした形跡があるそうだ。
それほど、複雑な音の重なりになっている。
そして、全体の楽曲形式はホモフォニーのソナタ形式で書かれている訳で、正にポリフォニーとホモフォニーの融合という幸せな結果がモーツァルトによって高度に為された瞬間だ。
ああ、バッハがこの曲を聞いたら何と言っただろうか。

〇 ジュピターの特徴 〇
しかし、このシンフォニーをこれまで何度となく聞いてきて思うのだが、この曲にはモーツァルトのレベルで極論すると、特に目立った旋律的な「美」や、つい口に出るような人口に膾炙した旋律的・リズム的な新機軸はないと思う。
上述のジュピター音型にしてもモーツァルトとしても悪く言うと使い回しだし、当時他の作曲家にも使われたものだ。
にも関わらず、それでも私は誰が何と言おうと最高のシンフォニーだと確信しているだ。
それは何故なのだろう?
自分でも何度も考えてきたことなのだが、今言えることは、主題の組み合わせの妙と言えば良いだろうか、様々な主題が巧みにしかもスピード感を持って組み合わされ、展開されていく、ここにモーツァルトの音楽家としての集大成があるように思うのだ。
曲想一つをとっても、毅然とした顔を見せたかと思うと、物思いに沈み、高貴な天上のメロディーを刻んだかと思うと、とても俗っぽい開放的な一面も見せる。
それらが、次々ととてもスピード感溢れる展開を見せるのだ。
だから最高なのだと。
技術面も含めて、その典型が最終楽章なのだ。


【モーツァルト 交響曲第40番】
交響曲第40番
【モーツァルト 交響曲第39番】
交響曲第39番
【モーツァルト ピアノソナタ第11番『トルコ行進曲付き』】
ピアノソナタ第11番『トルコ行進曲付き』



<今日の一枚>
さて、この曲を1枚で纏めるようなことはとても出来ないと思うが、LPレコードの時代からずっと大切に聞いてきた一枚を今日も聞きたいので、紹介したい。
ワルターにはニューヨーク・フィルやウィーン・フィルとの演奏もあるが、この晩年の録音はとても風格のあるゆったりとした演奏だ。
ステレオ録音で、音質もとても良い。
■モーツァルト 交響曲第41番 ハ長調 K.551『ジュピター』
 ブルーノ・ワルター指揮 コロンビア交響楽団 1960年ステレオ録音 他、ワルターの名演を多数収録。

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これは輸入盤で6枚組、1枚分で6枚のCDが手に入る価格感。
輸入盤で良い方には大変お得だ。
私もCDはこちらで聞いている。



<推薦盤1>
さてさて、推薦できるCDも色々あって迷うところだ。
どなたにも推薦できる安心の推薦盤としては、クーベリックを挙げたい。
平凡などと仰るなかれ。
ワルターほどアゴーギクも使わないし、非常に水準の高いところで、安心してモーツァルトの美しい音に浸りたい時に私も聞く盤。
■ラファエル・クーベリック指揮 バイエルン放送交響楽団
 こちらは、41番と40盤のカップリングだ。


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<推薦盤2>
さあ、ワルターを挙げたらその弟子にも登場して貰わなければならない。
カール・ベームだ。
恐らく、この曲の厳しい表情や緻密な音の積み上げに関しては上記2枚よりも上ではないか。
■カール・ベーム指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1962年録音
 こちらは、モーツァルト:後期交響曲集 と銘打っているもので、35(ハフナー)・36(リンツ)・38(プラハ)・39・40・41(ジュピター)とモーツァルト最後の6曲のシンフォニーが揃った豪華盤。
6曲で考えたらお得な盤だ、ベームのモーツァルトに迫りたい方には最適!

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<推薦盤3>
こちらはちょっと入手が困難かも知れない。
記事本文でも触れたように、この曲の持つ特徴である素材(主題)の持つ様々な顔を鮮やかに浮き立たせるような解釈をしていると私が思う盤を紹介したい。
■サー・チャールズ・マッケラス指揮 プラハ室内管弦楽団 1986年録音
 こちらも40番とのカップリングだ。

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おお、入手困難かと思ったが、amazonで販売しているようだ。
但し、中古になるようだが。
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2013.05.14 Tue l モーツァルト l コメント (0) トラックバック (0) l top

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