★ モーツァルト ピアノソナタ第2番 ★
このところハスキルを聞いていたので、彼女の残したモーツァルトの中で私が特にお気に入りのCDを取り出した。
実はハスキルはモーツァルトのピアノコンチェルトの録音は比較的多く残されているが、ピアノソナタは私の知る限り2番と10番の2曲しかない。
特に2番がいい。
ハスキルのモーツァルトは全般的に速めの演奏が多いが、10番のソナタは私には少し速過ぎるように感じる。
だが、2番の方は時折見せるテンポルバートも絶妙に嵌っている感がある。

○ 美しい第2楽章 ○
とりわけ、第2楽章の緩徐楽章ではハスキルの紡ぎ出す一音一音に説得力がある。
小節の最後の「声」には、モーツァルトとハスキルの「哀しみ」「癒し」が詰まっているようだ。
ここでもハスキルのテンポは速めで、たとえばリヒテルならば8分以上かかっていたこの楽章を大体半分の時間で弾き切っている。
ピレシュのテンポは標準的だと私は思っているが、やはりハスキルよりはかなり遅い。
そもそもモーツァルトの指定はアダージョだ。
しかし、このシチリア風(だったかな?)のメロディをハスキルが弾くと実に美しいのだ。
私はこのソナタのこの楽章がとりわけ好きで、巨匠と言われるピアニストの演奏は出来る限り聞いてきたが、ハスキルの美しさは次元が違う、いや驚異的と感じるのだ。
一つ一つの音に心が震える。
丁寧な語り口と各小節の最後のタメと余韻、これが素晴らしい。
これはハスキルが亡くなる年、1960年の録音でステレオだ。(あまり音場の広がりは感じないが)

○ ピアノソナタ第2番 ヘ長調 K.280 (189e) ○
先にハスキルで走ってしまったが、このソナタは所謂デュルニッツ男爵の依頼で作曲したと言われる6曲のソナタの内の2番目の作品だ。
従って、この6曲を俗に「デュルニッツ・ソナタ」と言う。
モーツァルトの作品で番号の若いものは幼少期と思いがちだが、ピアノソナタは違う。
このソナタも2番だが、モーツァルトが19歳で作曲したものだ。
モーツァルト、もうりっぱな大人、青年期の作品だ。

○ モーツァルトとピアノソナタ 謎? ○
3歳からチェンバロを弾き始め、天才の呼び声を欲しいままにしてきたモーツァルトが、何故その年齢までソナタを作曲しなかったのだろう?
恐らくモーツァルトにとって鍵盤楽器は最も日常的な楽器で、人前での演奏も含めて、「即興」で奏するものだったのだろう。
楽譜に残す需要が無かったのではないだろうか。
彼の曲は彼が演奏できれば良かったのだから。


【モーツァルト ピアノソナタ第11番『トルコ行進曲付き』】
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【モーツァルト ピアノ協奏曲第20番】
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【モーツァルト ピアノ協奏曲第9番『ジュノーム』】
ピアノ協奏曲第9番『ジュノーム』



<本日の一枚>
■モーツァルト:ピアノ協奏曲第19番ヘ長調K.459 /同第27番変ロ長調K.595
       ピアノ・ソナタ第2番ヘ長調K.280(189e)
 クララ・ハスキル(P)
 フェレンツ・フリッチャイ指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団, バイエルン国立管弦楽団

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2013.03.13 Wed l モーツァルト l コメント (0) トラックバック (0) l top

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