★ プッチーニ 歌劇 『ジャンニ・スキッキ』 ★

このところ仕事に追われながら、かろうじて生息してきた。
(それでも、お気に入りのブロガーさんのブログを訪問する楽しみだけは、仕事中でも決して放棄しなかったが・・。)
本日は事情があって休暇を取ったため、久し振りにオペラを観る時間を手にした。

この『ジャンニ・スキッキ』は、ジャコモ・プッチーニの唯一の喜劇であり、所謂「Il trittico(三部作)」の一幕物のオペラの第3作ということになる。
三部作とは『外套』『修道女アンジェリカ』そしてこの『ジャンニ・スキッキ』の3つのオペラを言うが、暗澹としたリアリズム漂う『外套』や宗教的な『アンジェリカ』よりも軽妙で機知に溢れた『ジャンニ・スキッキ』が恐らく上演機会も多く、私も3作中のみならずプッチーニの全作品の中でも最もよく聴く(観る)オペラの一つだ。

この3作はダンテの神曲の「地獄篇」「煉獄篇」「天国篇」から発想を得たとも言われており、地獄篇の中には確かに「ジャンニ・スキッキ」という人物のエピソードがチラッと出てくるようだが、このオペラは非常に世俗的な欲を扱った台本になっている。
それから、この後プッチーニは『トゥーランドット』を書くのだが、これは終幕途中で絶筆となっているため、この『ジャンニ・スキッキ』が彼が完成させた最後のオペラということになる。


〇 あらすじ 〇
さて例によって、超あらすじだ。

---
・時と場所
 1299年フィレンツェ ブオーゾ・ドナーティ家の寝室
・あらすじ(1幕物の喜劇)
 大金持ちのブオーゾ老人が亡くなった朝、寝室に集まった親戚が嘆いている。
 しかし、専らの関心事は老人が残した遺産、どこかにもありそうなお話だが、それを
 大袈裟に赤裸々に描いて始まる。
 親戚一同が遺言状を探し始め、ブオーゾの従妹ツィータの甥リヌッチョが発見する。
 ここで財産よりも恋人ラウレッタ(スキッキの娘)との結婚を望んでいるリヌッチョ
 は、結婚を認めてくれたら渡すと、条件を付ける。(この辺は重要な布石で、若い二
 人は愛に生きているのだ(^^))
 事が上手く運んだらと、これも条件付で結婚を認められたリヌッチョは遺言状を
 ツィータに渡すが、内容は噂通りで莫大な財産は全て修道院に寄贈するというもの
 だった。
 さぁて、どうしたものかと一同で悩んでいると、リヌッチョが知恵者のスキッキに
 相談したらどうかと言い始める。
 呼ばれてやってきたスキッキは最初は「やなこった」と言っているのだが、娘の
 ラウレッタの有名なアリア「私のお父さん」でほだされて協力することになる。
 死んだブオーゾに成り代わってスキッキが新しい遺言状を作る作戦が遂行されるの
 だが、最後にどんでん返しが待っている・・。

---

〇 聴き所 〇
このオペラでは各所でライトモティーフが現れるのだが、そのモティーフを巧みに使用して劇の世界に誘う、短い序奏から始まる。
スキッキに相談しようと提案する際には、リヌッチョがアリア「フィレンツェは花かおる木のようなもの」で、芸術と美の都フィレンツェでは、嫌がらせをやめて新しい仲間スキッキを迎えようと歌う。

そして、協力を嫌がるスキッキを説得する場面では、娘のラウレッタがあの名曲「私のお父さん」を歌い、愛するリヌッチョと結婚するにはお父さんの協力が必要なの、とおねだりする。

歌詞はこんな感じ、変イ長調の3/4拍子。

 ♪ ああ私の愛するお父さん
私は彼を愛してます、とても素敵なひとなの
ポルタ・ロッサへ行って指輪を買いたいの
そう、行ってみたいの

もし私の恋が叶わないのなら
私はポンテ・ヴェッキオに行って
アルノ川に身を投げるわ
私はとても苦しいの
神様、私は死んでしまいます

お父さま、お願い
お父さま、お願い ♪


私のお父さん

と、お父さんに半分脅しながらおねだりする歌だ。

2分ほどのとても短い歌なのだが、恋する娘の心情を何とも美しいメロディに乗せて切々と歌う私も大好きなアリアだ。

このシーン、このオペラではとても大切な場面なのだが、今日観たグラインドボーン歌劇場の演出ではなかなか面白かった。
アリアを聴いている内に段々ほだされていくスキッキが、ラウレッタの振り向く視線をタイミング良く避ける仕草や、最後にラウレッタがリヌッチョに手で合図を送って遺言状を受け取り、さっとスキッキに手渡すシーンなど、芝居としてもとても面白い演出で、歌手もなかなかの役者揃いだった。


<今日の一枚>
今日はオペラということもあって、DVDで鑑賞だ。
指揮者はウラディーミル・ユロフスキ。
録画当時はまだ32歳の若手だったが、ヨーロッパで大変評価の高い指揮者だ。
2001年からはグラインドボーン音楽祭の音楽監督に就いているが、この『ジャンニ・スキッキ』は2004年の音楽祭の時の映像だ。
このDVDでは、まず何と言ってもベテランのアレッサンドロ・コルベッリの歌唱と芝居が秀逸だ。
ボエームのマルチェルロやセヴィリアの理髪師のバルトロなどを歌わせたら名人だが、この喜劇の主役スキッキも見事に演じきっている。
それから脇を固めるツィータ役のパーマーも、さすがに上手いなぁと思わされるが、若い二人の恋人リヌッチョ役のマッシモ・ジョルダーノ(イタリアいけ面)とラウレッタ役のサリー・マシューズ(イギリス美人)が爽やかで、このオペラの財産争奪戦に涼風を吹き込んでいる。

■プッチーニ:歌劇《ジャンニ・スキッキ》グラインドボーン音楽祭2004 [DVD]
配役:
 ジャンニ・スキッキ:アレッサンドロ・コルベッリ
 ツィータ:フェリシティー・パーマー
 ラ・チェスカ:マリー・マクロクリン
 リヌッチョ:マッシモ・ジョルダーノ
 ラウレッタ:サリー・マシューズ
 他
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
 指揮:ウラディーミル・ユロフスキ


4988001726012.jpg

こちらはブルーレイによる高画質盤だ。
これにはあまり知られていない、ラフマニノフの『けちな騎士』が併録されている。


<推薦盤1>
ジャンニ・スキッキの全曲録音で適正価格で入手可能なCDとなると、意外に少ない。
録音は1958年と古いのだが、ゴッビとロス・アンヘレスの名唱が聴けるサンティーニの録音を私はずっと聴いている。

■プッチーニ:ジャンニ・スキッキ
配役:
 ジャンニ・スキッキ:ティト・ゴッビ
 ラウレッタ:ヴィクトリア・デ・ロス・アンヘレス
ローマ国立歌劇場管弦楽団
指揮:ガブリエーレ・サンティーニ

51Q6GE4ZZ1L.jpg


スポンサーサイト
2014.03.07 Fri l プッチーニ l コメント (8) トラックバック (0) l top

コメント

こんにちは
訪問歴よりお伺いいたしました。
はじめまして、レディピアノと申します。
色々な場面で色々な方にピアノをお聴かせすることがあり、そのため、ピアノ曲だけでなく馴染の多い他の楽器のクラッシック曲を取り上げることも多いです。
その曲についてや背景、逸話などご説明したりもするので、こちらのブログはとても興味深く拝読いたしました。
またお伺いさせていただけましたら嬉しいです(^^♪
2014.03.09 Sun l レディピアノ. URL l 編集
Re: こんにちは
レディピアノ さま、はじめまして!

コメントありがとうございます。(^^)
レディピアノ さまのブログは何度か訪問させて頂いております。
素敵なピアニストさんのブログだなぁぁ、と訪問を楽しみにしている私です。
先日のリサイタルや何かの会の時に最後に演奏する、「明るくて、誰でも知っていて、ジャジャジャーンと終わる曲」?でしたっけ。
あのお話で盛り上がっていたときにも、「ああ、こんなのどうだろう」などと思ったのですが、お仲間との会話に割ってはいるのも無粋かと、ご遠慮申し上げました。(^^;)

私の小ブログにご訪問頂いて、コメントまで頂けましたこと、とても嬉しく思っております。
これを機会に、今後とも宜しくお願い致します。
2014.03.09 Sun l ★赤影★. URL l 編集
またまたお邪魔いたします
赤影さまの思いつかれた曲は何の曲だったのでしょう~^m^
コメントをくださった方はピアノジャンル以外の方もいらっしゃいますよ。
お仲間に是非(#^.^#)
鍵コメ、裏コメもありです(笑)
あの、1から4にもれなく当てはまるクラッシックピアノ曲ってなかなか思いつきませんでした。
クラッシックピアノ曲にあまり馴染のない方は、私たちが思うより案外知っている曲の範囲は狭いようです。
それで、お慶びの席と言うことも有り、純粋にピアノ曲とは言えないですけど、〇〇のワルツはどうかと思案しておりました。(後程ブログに書くつもりなので今日は〇〇にしておきますね(*^。^*)
赤影さまは、曲の形式にも触れて書いていらっしゃいますけどなにか楽器はされるのですか~?
2014.03.10 Mon l レディピアノ. URL l 編集
Re: またまたお邪魔いたします
おはようございます!

いらっしゃいませ。ご訪問、嬉しいです。(^^)

そうでしょうねぇ、あの4つの条件の内では1が意外に難しいですね。
クラシックを聞く機会のあまりない方には、映画・TVドラマやCMなどで聞いた曲なんていうのが印象が濃いものですよね。

私の思いついた曲は、ほんとに思いつきなのですけど(^^)

ショパンですと、やっぱりワルツ辺りが良いですよね。
でも、レディピアノ さまが仰っている通り1、2、6、7番くらいがお馴染みで、捻りが足りませんか?
けれど、終わり方もジャンやジャジャジャジャーンだったりで3番目の条件にはぴったりなのですが。

リストの三つの夜想曲 第3番 「愛の夢」ですね。これも良いと思うのですが、終わり方が大人しい。

どなたかも挙げておられましたが、メンデルスゾーンの「春の歌」もいいですよね。
季節が合えばぴったりな曲調かと思いますし、短めの曲で扱いやすいかも。
でも終わり方が大人しい。

サティの「ジュ・トゥ・ヴー」。多少メランコリックな旋律が合えば良いかも知れません。
ちょっとお洒落な集まりならマッチするように思いますが、終わりが大人しい。
(最後の和音をジャンにしてしまえば良いかも)(^^)

ピアノ曲から外れると・・・
エルガー 「愛の挨拶」 喜びの席には良い 終わりが大人しい 元々はピアノ曲
レハール 「メリーウィドウのワルツ」 大団円の愛のオペラ ピアノ譜があるか 終わりはジャン  
ヨハン・シュトラウス 「春の声」 のりが良いワルツ ピアノ譜があるか 終わりはジャーンジャン
クライスラー 「愛の喜び」 明るく喜ばしい ヴァイオリン曲なのでピアノ譜が入手できるか 
        終わりもジャン!
       「美しきロスマリン」 ロマンティックなヴァイオリン曲 
        主役の方が美しい女性ならマッチ ピアノ譜があるか 終わりはチャン 
ラフマニノフ 「パガニーニの主題による狂詩曲(第18変奏曲)」
      ピアノだけの譜面があるか ロマンティックな女性中心の集まりならグッド
      終わりは大人しい

シュトラウスやレハールのウィンナ・ワルツはいいですよね。(^^)
あ、ワルトトイフェルの「女学生」なんかも、主役が女子学生さんならぴったりかも。

なんてことを考えていたのですが・・、アハハまとまりが無いですよね。
私が発想した曲ですと、どうやら終わり方が大人しい傾向があるようです・・・。
考えてみますと、ジャン!!で終わる曲って演奏会向けの曲が多いのかもしれませんね。

さあて、レディピアノ さまの選択はどんなワルツでしょうか。(^^)/
(かっこうワルツはないでしょうから、チャイコフスキーでしょうか。くるみ割り人形 花のワルツとか)
2014.03.11 Tue l ★赤影★. URL l 編集
思わず
ふふっとほころんで、思わず3度目のコメント入れたくなってしまいました!
さすが、赤影さま!
きっと当てるだろうな~と思っていたらやっぱり(^^♪。
馴染があり、演奏者主体でなく、高音の華やかさは嫌みのない軽さがあり、題名もお慶びの席には申し分ないですね。
さて、問題はピアノ譜です。
いろいろ集めました。
曲の出だし初っ端からカデンツァの部分など、あっさり終わるとラスト曲としては意図に合わないのですが、かなり華やかな出だしの楽譜もあり、終始続く3拍子の伴奏でも国内版より洋書版の方が和音の開きが大きくて深みがあり、いろいろ見比べているところです。
このことも写真入りで、あとで記事にしようとおもっています。
たぶんもっと後になると思うので(確定してから)、まだ内緒ですよ~(*^。^*)。
(公開コメントで内緒ってよくわかりませんが (笑)
他に良い曲を上げていただき興味深く拝読いたしました。
有難うございますe-343
2014.03.11 Tue l レディピアノ. URL l 編集
Re: 思わず
こんにちは!
何度コメント頂いても、大変嬉しいです。(^^)

なるほど、素敵な曲を選ばれたと思います。
あの曲でしたら、最後の終わり方もジャンジャンジャンジャン!ですものね。
お馴染み度についても、まず知らない人は居ないくらい日本人には親しみのある曲ですし。
ピアノ譜にもよるのでしょうが、あれだけの曲を弾きこなしてしまうとは、さすがですね!

レディピアノ さまのブログで全てが明かされるまで楽しみに待っております。(^^)
あはは、そうですね、公開コメントですが内緒ですね。
うふふ、「楽しい秘密」を共有できるのって何だかドキドキしますね。
ありがとうございます。(^^)
2014.03.12 Wed l ★赤影★. URL l 編集
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2014.03.12 Wed l . l 編集
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2014.03.21 Fri l . l 編集

コメントの投稿












トラックバック

トラックバック URL
http://007mousike.blog.fc2.com/tb.php/105-2bfd8df1
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)