★ マスカーニ 歌劇 『カヴァレリア・ルスティカーナ』 ★

急に春めいてきたので、心身ともにリラックスしてオペラでも観ようかと思った。
このピエトロ・マスカーニの代表作 『カヴァレリア・ルスティカーナ』 は、1888年のソンツォーニョ社の、1幕物のオペラ懸賞募集(第2回)に応募して、圧倒的な支持を得て1等になった作品だ。
ソンツォーニョはもともと文芸分野を得意としていたが、ヴェルディの版権を一手に握っていたリコルディ社に対抗する形で音楽分野に進出し、その中で新進気鋭のオペラ作家を獲得すべくこの懸賞が実施された。
従って、応募条件にはイタリア国籍を有する新人というものが含まれていた。
マスカーニはこのオペラが完成した1889年には26歳と、正に将来を嘱望されるイタリアの若者だった。
(このオペラの初演はソンツォーニョ側の審査が延期されたこともあって、1890年にローマのコンスタンツィ劇場で行われている)

マスカーニは、成人する前からオペラ以外にもシンフォニーや教会音楽などを書いており、この 『カヴァレリア・ルスティカーナ』 で大きな成功を収めたが、あまりの大成功ゆえか、それ以降これを超える作品を生み出すことが出来なかった。
現在ではカヴァレリア以外では、3幕物の長閑なオペラ 『友人フリッツ』 が取り上げられるくらいになってしまっている。

〇 あらすじ 〇
カヴァレリア・ルスティカーナは良く 「田舎の騎士道」 と訳されているが、なるほど騎士道というと内容を如実に表している。
このオペラは、所謂ヴェリズモ・オペラの先駆け的オペラで、ルッジェーロ・レオンカヴァッロの 『道化師』 と並んで、もっとも上演機会の多い作品になる。(この2作は同時上演されることもある)

超あらすじはこんな感じだ。

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・時と場所
 19世紀後半復活祭の頃 シチリア
・あらすじ(1幕物の悲劇)
トゥリッドゥは許嫁のローラを残して兵役に行くが、何とローラはトゥリッドゥの留守の間に馬車屋のアルフィオと結婚してしまう。
さぁ、これが悲劇を生み出すことになるのだが、簡単に言うとこのオペラはトゥリッドゥ、アルフィオ、ローラの三角関係にもう一人の女性サントゥッツァが絡んで引き起こされる惨劇だ。

兵役を終えて帰郷したトゥリッドゥは、かつての恋人ローラが既にアルフィオと結婚していることを知ると、サントゥッツァに接近する。
この辺りも、良く言えば情熱的、有体に言えば節操がない。
(西洋のオペラは、ワーグナーのように神話を扱った人間離れした物語もあるが、決して高尚なストーリーでは無く結構下世話なお話が多い。メロドラマを大袈裟な身振り手振りを交えて大声で歌いまくる、と言えなくもない・・)
さらにローラは、アルフィオという夫がいるにもかかわらず、かつての恋人トゥリッドゥに色目を使う。
それを知ったサントゥッツァは、嫉妬からアルフィオに、あなたの奥さんがトゥリッドゥと浮気をしていると告げ口をしてしまう。
アルフィオは復讐を誓い、サントゥッツァは自分のしたことの重大さに慄く。

(間奏曲):ここで、あの有名な間奏曲が入る

怒り狂ったアルフィオはトゥリッドゥに迫り、事情を察したトゥリッドゥはアルフィオの耳を噛んで決闘を申し込む。

(シチリアでは昔から、ハグの際に耳を噛んで決闘を申し込むという風習があるそうだ。現在でもなくなった訳では無いと言うからちょっと怖い。さすがマフィア発祥の地ということか・・・。そう言えば、ボクサーやサッカーの選手が相手の耳を噛むと言う事件があったことを思い出すが、恐らく関係はないのだろう・・。)

トゥリッドゥは決闘でアルフィオに殺されてしまい、自分の軽率な行動が恋人を死なせてしまったことを後悔するサントゥッツァの絶望で幕を閉じる。
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〇 聴き所 〇
・前奏曲、トゥリッドゥによるシチリアーノ(セレナード)
静かに始まる前奏曲は、マスカーニらしい美しい劇中のメロディから出来ており、トゥリッドゥがローラを想って歌うシチリアーノを導く。

・サントゥッツァのアリア 「ママも知る通り」
このアリアは良く知られる全編中でも、最も有名なアリアであり、オペラ歌手の演奏会でもよく取り上げられる。

・間奏曲
恐らくこのオペラで一番お馴染みなのがこの間奏曲だ。
南イタリアの牧歌的な美しさを持った魅力的なメロディーが有名で、現在のオーケストラの演奏会でも頻繁に聞かれる曲だ。
ピアノや吹奏楽でも演奏機会があり、所謂ヒーリング音楽などにも登場する。

その他にも、抒情的な旋律が溢れ、情熱的なストーリー展開に引き込まれる傑作オペラだ。
1幕物ということもあり、上演時間は1時間強といったところで、オペラは長くて眠くなるという方にも飽きる暇がないくらいだ。


<今日の一枚>
今日はオペラということもあり、DVDで鑑賞した。
プレートルがミラノスカラ座管弦楽団を振り、トゥリッドゥをドミンゴがサントゥッツァをオブラスツォワが歌っている。
これは舞台のライブでは無く、フランコ・ゼッフィレッリが演出・監督を務めた映画仕立てのDVDだ。
舞台としての臨場感には欠けるが、実際にイタリアの農村や自然の中にロケーションをとった映像は、通常の舞台芸術とはまた違ったリアリティを物語に持たせることに成功している。

■マスカーニ:歌劇《カヴァレリア・ルスティカーナ》 [DVD] (& レオンカヴァッロの「道化師」)
[配役]
サントゥッツァ : エレーナ・オブラスツォワ
トゥリッドゥ : プラシド・ドミンゴ
ルチア : フェドーラ・バルビエリ
アルフィオ : レナート・ブルゾン
ローラ : アクセル・ガル
 ジョルジュ・プレートル指揮 ミラノ・スカラ座管弦楽団・合唱団
 監督 フランコ・ゼッフィレッリ

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<推薦盤1>
このオペラには、全盛期のデル・モナコとシミオナートによる名盤が存在する。
シミオナートは少し陰のあるメゾ・ソプラノで、サントゥッツァを嫉妬に狂う女というよりも、嫉妬心を内に秘めた悲しい女として演じることに成功していると思う。
「黄金のトランペット」と言われたデル・モナコの歌唱は圧倒的で、すごいテノールがいたのだなぁと感心してしまう。
セラフィンの指揮も、歌手・オーケストラ・合唱全てを掌握して余裕たっぷりの演奏を聴かせる。
録音も1960年と少し古いのだが、良好だ。
オペラにしてはコストパフォーマンスも良い。

■マスカーニ:カヴァレリア・ルスティカーナ 全曲
[配役]
サントゥッツァ : ジュリエッタ・シミオナート
トゥリッドゥ : マリオ・デル・モナコ
ルチア : アンナ・ディ・スタジオ
アルフィオ : コーネル・マックニール
ローラ : アナ・ラケル・サトレ
 トゥリオ・セラフィン指揮 ローマ聖チェチーリア音楽院管弦楽団・合唱団

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2015.04.27 Mon l マスカーニ l コメント (10) トラックバック (0) l top