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 ★ サン=サーンス 交響曲第3番『オルガン付き』 ★ 
今日はフランスの近代音楽の礎を作ったと言って良い、シャルル・カミーユ・サン=サーンスだ。
この作曲家は本当に多才で、作曲家でもありオルガニストでもありピアニストでもあり、いやいやそれどころか文学者・哲学者・天文学者でもあるのだ。
正に19世紀から20世紀を代表する、芸術家(学者)のスーパーヒーローなのだ。
残した作品も極めて多岐に渡っており、交響曲だけではなくオペラ・管弦楽曲・室内楽曲・オルガン曲・ピアノ曲・協奏曲・歌曲・バレエ音楽・・・どれも魅力的だ。

その中でも、私が一番好きな曲がこれだ、交響曲第3番『オルガン付き』。
この曲を私は中学生の頃からとても愛聴してきた。
これは単なるオーケストラによるシンフォニーでは無くて、オルガン曲でもあり、ピアノ協奏曲的側面も持ち、宗教曲的な色彩も持っている。
サン=サーンス自身が言っているように、彼はこの曲に己の全てを注ぎ込んだ。
ピアノの煌びやかな輝き、オルガンの荘厳な響き、オーケストラの重厚な和声、それらが極めて巧みなオーケストレーションによって奥行きのある音の宇宙を創造する。
正に音楽職人・サン=サーンスの全てがここにある。

〇 音楽の精神性? 〇
私はこの曲を聞くたびに思うことがある。
「ああ、この重厚な響きはなんだろう。ドイツの田舎者(失礼)ブラームスにはこの職人技はないなぁ。」
と。
ただ、私はこの曲に所謂精神性(音楽の精神性って何だ?)のようなものはあまり感じない。
ブラームスやベートーヴェンの音楽が内包する、人の「苦悩」や「喜び」、恋する者の「切ない想い」、言ってみれば人の煩悩のようなものはここには無いように思う。
ひたすらテクニシャンと断じては一面的過ぎるが、第9の合唱を聞いた時の、あの思わず歓喜を歌いだしたくなる感動は感じない。
しかし音楽として流麗であり迫力満点だ、しかも極めて上品。
これも大切。

〇 独特の2楽章構成 〇
このシンフォニーは、一般的な4楽章構成にはなっていない。
2楽章構成なのだが、それぞれが第1部・第2部と分かれており、実質的には4楽章構成に近い形になっている。
そして、曲全体は循環形式によって同一主題が変化・発展することによって統一感と堅牢な構築美を醸し出している。

〇 オルガン 〇
しかし、第1楽章第2部の冒頭からオルガンが主和音を奏で始めると、この腹に響く音に酔いしれる。
実にいいものではないか。
オルガンの主和音を背景に弦がまた美しい主題を朗々と奏でる。
サン=サンーンスの全てが注ぎ込まれた最も「美しい」瞬間だ。


【フランク 交響曲ニ短調】
交響曲ニ短調
【グリーグ ピアノ協奏曲イ短調】
ピアノ協奏曲イ短調


<今日の一枚>
さて、今日はフランスの音が聞きたくてこの曲を選んだのだから、ジャン・マルティノンだ。
この上品な曲を、さらに上品に聞かせてくれるこの盤はとても聴きやすく、美しい。
■サン=サーンス:交響曲第3番(オルガン付き)  フランク:交響曲ニ短調
 ジャン・マルティノン指揮 フランス国立放送管弦楽団 アラン(マリー=クレール)(オルガン)
このCDは廉価版で大変お得だ!

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【SACDを再生できる方にはハイブリッドの高音質盤もある】
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<推薦盤1>
マルティノンの音楽は極めてフランス的だと言えるが、すごいCDもある。
このチョン・ミョンフンという韓国の指揮者がフランスのオーケストラを率いて、こんなに骨太にしかもエレガントに尚且つ意外な事にフランス的な音を引き出すとは。
これには、正直驚いた。
■サン=サーンス:交響曲第3番「オルガン付」、他 (メシアン「昇天」)
 チョン・ミョンフン指揮 パリ・バスティーユ管弦楽団, マッテス(マイケル)(オルガン)

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2013.05.29 Wed l サンサーンス l コメント (0) トラックバック (0) l top
★ バッハ ゴルトベルク変奏曲 BWV988 ★
今日はバッハだ。
このゴルトベルク変奏曲は、バッハのクラヴィーア練習曲集の第4巻にあたるもので、名前の通り32小節からなるアリアに挟まれた30曲の変奏曲のことで、全部で32曲からなっている。

〇 本当に第4巻か?? 〇
第4巻に当たると言っておきながら何だが、バッハはこの変奏曲集に第4巻とは名づけていない。

クラヴィーア練習曲集とは
第1巻・・第1番~第6番の「パルティータ」。1段鍵盤式チェンバロの為6つの組曲
第2巻・・「イタリア協奏曲」、「フランス風序曲」 2段鍵盤式チェンバロの為の曲
第3巻・・オルガン用練習曲 近年ではピアノやチェンバロで演奏されることが多い「4つのデュエット」を含む


とここまではちゃんとバッハ自身が書き記した標題に番号が入っているのだが、この曲集にはそれが無い。

バッハが記した標題は
『Clavier Ubung bestehend in einer ARIA mit verschiedenen Veraenderungen vors Clavicimbal mit 2 Manualen』
2段鍵盤式クラヴィチェンバロの為のアリアと様々な変奏曲 とでも言えばいいか。

一説には、出版社が変ったことによる出版社側の意向ではないか、とも言われているが、この頑固一徹のバッハが3巻までナンバリングしてきたものを、そんな事でハイハイと承諾するようには私には思えない。
書き忘れたのでは?などというのは論外だ。
この点はまだ謎のままだが(と言うか、あまり問題視しているのを聞いたこともないが)、3巻までとは何か異なる事情があってバッハの中では別物だったのではないかと私は考えている。

〇 ゴルトベルクって何? 〇
それじゃ、何が特別な事情かと言えば、このネーミングにまつわる逸話がある。
曰く
「ザクセン選帝侯に仕えたカイザーリンク伯爵は、当時ヨハン・ゴットリープ・ゴルトベルク少年を伴ってライプツィッヒのバッハの元へ赴き音楽の手ほどきを受けさせていた。病気がちだった伯爵は不眠症で悩んでおり、眠れぬ夜の慰めにゴルトベルク少年に弾かせる穏やかで明るいクラヴィーア曲を作曲してくれと依頼した。」
というのである。
その依頼を受けて、バッハがこの変奏曲集を作曲したから、『ゴルトベルク変奏曲』だと。
なるほど、ありそうな話だ。

この逸話に登場するカイザーリンク伯爵もゴルトベルク少年も実在の人物のようであるが、しかし当時ゴルトベルク少年はまだ14歳。
しかも彼が残したものや彼に纏わるお話の中に、チェンバロの達人だったような証跡は何もない。
ゴルトベルク変奏曲を聞いて頂けば分かるが、これはかなりの演奏テクニックを要する難曲の部類だ。
とてもゴルトベルク少年が弾きこなしたとは思えないのである。

この逸話のような事実があれば、このクラヴィーア練習曲集が一連の第4巻ではなくて特別な(カイザーリンク伯爵の為の)変奏曲集だったのだ!! と言えるのだが・・残念ながらちょっと無理がある。
ま、しかし、そのようなネーミングが為される様な「特別な何か」はあったのだろう。

〇 全てがシンメトリックに構成されている 〇
いかにも「頑固な堅物」バッハらしい構成になっている。
この形容詞は勿論悪口ではない。
自分の考える「音楽」には全く妥協しない職人だったという尊称の積もりだ。

まず、全体構成だが、アリアから始まりアリアに終わることはもう言ったが、間の30曲ある変奏が前半と後半に分かれている。
第16変奏がフランス風序曲で書かれており、後半の始まりを告げる。
このように前半、後半16曲づつの2部構成。
最初と最後に置かれているアリアも全部で32小節の所謂サラバンドだが、前半後半できっちり16小節に分かれている。
そして、全部で32音ある低音主題がこの32小節に割り当てられている。
まことに律儀ではないか。
さらに、各曲も2部構成で前半・後半に分かれて繰り返される。

また、第3変奏から順に3の倍数に当たる変奏曲はカノンで書かれており、第3変奏が同度のカノンでそれから第27変奏の9度のカノンまで綺麗に並べられている。
そして、最後の第30変奏はカノンではなくクオドリベットが置かれている。
このクオドリベットというのは馴染みのないものだが、周知された複数の旋律を組み合わせた曲を指し、バッハは当時の良く歌われたらしい2つの民謡を対位法を使って組み合わせている。

ここまで徹底的に構築美に拘るバッハ。
ああ、いかにもバッハらしいではないですか?

〇 アリアが全てを決める 〇
上で書いたように、曲集の構造上も重要な意味を持つアリアだが、全体の曲想をもこのアリアが導き出しているように思える。
従って、良く知られた冒頭のアリアは演奏する上においてもとても大切だ。
CDを選ぶ際にも、アリアを聞けば大体その演奏者の方向性は分かると言ってもいいぐらいだ。
「全てを」などと言っては、もう暴言の類だが、そのくらい私はアリアを気合を入れて聞くし、楽しみにもしているという意味だ。

〇 ランドフスカとグレン・グールド 〇
さて、この曲が今日コンサートにかかるようになった背景には二人の重要なピアニスト(チェンバロ奏者)がいる。
なんとこの素晴らしい曲が19世紀には半分忘れられていたというのだから恐ろしい。
バッハの場合その手のお話は他にもある。
マタイ受難曲、平均律クラヴィーア、無伴奏チェロ組曲・・・。

ワンダ・ランドフスカはポーランド生まれのチェンバロ奏者(ピアニスト)だ。
彼女はチェンバロという楽器そのものを復活させた功労者と言って良い。
彼女がモダンチェンバロを使って録音した「ゴルトベルク変奏曲」「平均律クラヴィーア曲集」は私たちにチェンバロと言う楽器の持つ音の魅力と表現の可能性を教えてくれた。

そして、言わずと知れたカナダが生んだ天才ピアニスト グレン・グールドの登場だ。
独特の演奏スタイルと斬新な解釈、個性を貫く強靭な意志の持ち主だった。
1955年に録音されたデビューアルバムがこの「ゴルトベルク変奏曲」で、これがクラシックとしては異例のチャート1位に輝くなど全米を震撼させた。

従って、この曲を語るにはこの二人を無視することなど出来ない。


【バッハ フランス風序曲】
フランス風序曲
【バッハ ブランデンブルク協奏曲】
ブランデンブルク協奏曲
【バッハ チェンバロコンチェルト】
チェンバロコンチェルト



<今日の一枚>
だが、今日聞いたのはランドフスカでもグールドでもない。
レオンハルトでもリヒターでもなくて、アンドレイ・ガヴリーロフだ。
このロシアのピアニストは、ザルツブルク音楽祭でリヒテルの代役を務めた強者だ。
当時19歳。
■バッハ ゴルトベルク変奏曲
 アンドレイ・ガヴリーロフ(P)
ガヴリーロフのヴィルトゥオーソぶりが遺憾無く発揮されている。
2段鍵盤用の曲はピアノで演奏する際に左右の手が交錯したり、場合によっては同音を弾くことになったりと、処理が難しい筈なのだが、あっさりと弾きこなしている。
ある意味外連の塊のようなグールドを聞いていると、尚更このガヴリーロフは外連味の無い爽快さとスピード感溢れるバッハに感じる。
最近とてもお気に入りの盤だ。

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<推薦盤1>
グレン・グールドには記事本文にも書いた、1955年のセンセーショナルな盤があるのだが、ここでは悟りの境地に達したかに見える1981年録音のグールドをお奨めしたい。
■バッハ:ゴールドベルク変奏曲(1981年録音)

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<推薦盤2>
お約束の盤をもう一枚ご紹介しよう。
こちらは記事本文でも紹介したランドフスカだ。
1936年の録音なので、音質についてはあまりお奨めできないが、ゴルトベルク変奏曲というこの曲を愛する人には絶対押さえて貰いたい、バッハの音楽への色付けの規範みたいなものがここにはある。

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2013.05.26 Sun l バッハ l コメント (0) トラックバック (0) l top
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★ ドヴォルザーク 交響曲第8番 ★
今日は気分を変えてチェコが生んだ偉大な作曲家ドヴォルザークでいこう。
ブラームスによってメジャーな作曲家への階段を上ったドヴォルザーク、メロディメーカーとしてはそのブラームスが羨ましがったほどの天才だ。
抒情的で美しいメロディを次々と生み出し、それを惜しげもなく1曲の中に投入して涼しい顔、ドヴォルザークの天才はチャイコフスキーに匹敵する。
この曲、以前は「イギリス」とか「ロンドン」と呼ばれたことがあるが、曲想には何の関係もない。
楽譜の出版社がらみの話で(ジム・ロック社と原稿料で揉めていた)、最終的にイギリスの出版社から出版されたからに過ぎない。
今ではあまりそのように呼ばなくなった。(それで宜しいかと)

〇 名前の話 〇
ドヴォルザークに限ったことではないが、その名前について日本語表記が時代とともに変遷している。
私が子供の頃は
「ドボルザーク」
だった。
まぁ、ベートーヴェンもベートーベンだった。
ところが、この表記には日本語としてはあまり意味はない。
実際に発音する場合には、ドヴォルもドボルも同じだ。
ヴェンとベンも同様。
「V」と「B」を区別しているのかも知れないが、個人的にはドボルザークでいいんじゃないかと思う。
それよりも、ドヴォジャークという表記も使われて、これには意味がある。
チェコ語の発音が正にドヴォジャークに近い。
Antonín Leopold Dvořák [ˈantɔɲiːn ˈlɛɔpɔlt ˈdvɔr̝aːk]
アントニン・レオポルト・ドヴォジャークとなる。
この辺り、ドヴォジャークまでいくと全くの別人扱いになりそうで、日本ではドヴォルザークでいきませんか?
(いずれにしても、ヨーロッパでドヴォルザークと言っても通じません)

〇 いきなり第1主題 〇
さて、名前の話はもう良いとして、この『第8交響曲ト長調 作品88』の第1楽章はドヴォルザーク得意の、一発で聞き手の心を掴む印象的な主題が序奏なしで提示される。
この抒情的な主題はト短調で提示され、フッと転調してト長調の第2主題がフルートに出る。
ああ、この辺りとてもドヴォルザーク。
ほんとに惜しげもなく美しいメロディを私達にプレゼントしてくれる。
経過句も非常にメロディアスで、ソナタ形式で書かれているはずのこの曲に一体いくつ主題があるのかと思わせるほどだ。
そして、第1主題に戻って再現部なのだと思うと、第2主題はあっさり流して、金管も投入されてどんどん盛り上がってコーダへ突入する。

〇 美しい弦 〇
第2楽章は、まずヴァイオリンを中心に弦が切ないメロディを奏でる。
ドヴォルザークの緩徐楽章は比類なく美しい。
とてもボヘミアンな音場が弦と木管によって構築されていく。
中間部で、突然ティンパニのドラムロールが入り瞑想が破られる。
う~ん、巧みなオーケストレーションだ。
思っていると、ヴァイオリンのソロが美音を鳴らし、全奏に移行。
そして、最後には静かにこの楽章を終える。

〇 メランコリックなワルツ 〇
第3楽章は、いきなりメランコリックなワルツで始まる。
ブラームスが羨む訳で、ブラームスには逆立ちしてもこのようなワルツは書けなかっただろう。
しかし、ドヴォルザークはどんなに足掻いてもブラームスのあの高みには到達できなかった。
ああ、だが美しいワルツだ、自然にメロディを追って身体が動いてしまいませんか?

〇 金管が大活躍・終楽章 〇
さぁ、ここまで我慢してきた金管がここで爆発するかのごとく終楽章では踊る。
いきなりトランペットのファンファーレ。
オペラのようだ。(例えば、ヴェルディのアイーダ)
シンプルなトランペットなのだが、一面少し下品でもある訳で、ブラームスの域に達し得なかったと私が思う一因。
とにかく、終楽章はオーケストラが躍動して音楽を聞く興奮を教えてくれる。


【ドヴォルザーク スラブ舞曲集】
スラブ舞曲集


<今日の一枚>
イシュトヴァン・ケルテスがロンドン・フィルを振った盤。
この才能溢れるハンガリー出身の指揮者は43歳の若さで遊泳中に高波にさらわれ亡くなってしまう。
これはまだ30代のバリバリ若手で嘱望されていたころの録音。
ケルテスがロンドン・フィルの美音を上手に引出し、ボヘミアンな郷愁を歌っている。
■ドヴォルザーク 交響曲第8番ト長調 作品88、第9番ホ短調 作品95(新世界より)
 イシュトヴァン・ケルテス指揮 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団

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<推薦盤>
やはり本家の音は聞かなければならない。
ヴァーツラフ・ノイマンがチョコ・フィルを振ったこの盤、もしかするとチョコ人にしか表現できないニュアンスがドヴォルザークの抒情性にアドオンされている。
私はドヴォの交響曲全集もノイマンで揃えているが、これはその中からチョイスされ 20ビット・リマスタリングされた盤。
音がいい!
■ドヴォルザーク 交響曲 第7番 ニ短調 作品70、交響曲 第8番 ト長調 作品88
ヴァーツラフ・ノイマン指揮 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
(高音質「ブルースペックCD」仕様 )

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この際ドヴォルザークの交響曲全部欲しい!という方はこちらで。(私もその口だった)
■ドヴォルザーク 交響曲全集(ノイマン2度目の全集でデジタル録音盤)
 ヴァーツラフ・ノイマン指揮 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

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2013.05.22 Wed l ドヴォルザーク l コメント (2) トラックバック (0) l top
★ ラヴェル マ・メール・ロワ ★
モーリス・ラヴェル、フランスのバスク地方に生まれた19世紀末から20世紀にかけて活躍した作曲家だ。
特にそのオーケストレーションの上手さには定評があり、「ボレロ」「ダフニスとクロエ」などのバレエ音楽や、ムソルグスキーの展覧会の絵のオーケスラバージョンなどが有名だ。

今日聞く『マ・メール・ロワ』は元々ピアノ連弾用の曲で、子供好きだったラヴェルが友人の子供のために「マザー・グース」題材に作曲したものだ。
『マ・メール・ロア(Ma Mère l'Oye)』とはマザー・グースのことだ。
本日手に取ったデュトワ+モントリオール交響楽団演奏のマ・メール・ロアはバレエ編曲版で、ピアノ連弾用のもの及び管弦楽版に前奏曲を付加して曲順を入れ替えたものだ。

1. マ・メール・ロワ 前奏曲
2. マ・メール・ロワ 第1場(紡ぎ車の踊りと情景)
3. マ・メール・ロワ 第2場(眠りの森の美女のパヴァーヌ)
4. マ・メール・ロワ 第3場(美女と野獣の対話)
5. マ・メール・ロワ 第4場(一寸法師)
6. マ・メール・ロワ 第5場(パゴダの女王レドロネット) 終曲(妖精の国)

(第5場と終曲は1トラックに収められている)

とても幻想的でどこか東洋的なテイストを持った曲で、ピアノ連弾よりもそうしたラヴェルの特徴がはっきりして、不思議な世界に旅たてるこのバレエバージョンを私は好んで聞いている。


【ドビュッシー 『ベルガマスク組曲』】
『ベルガマスク組曲』



<今日の一枚>
マ・メール・ロアはデュトワで良いと思っている。
それほど、この曲の優美で幻想的な特徴を聞かせて貰える盤だ。
■ラヴェル マ・メール・ロア(バレエ版全曲)
 シャルル・デュトワ指揮 モントリオール交響楽団

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2013.05.19 Sun l ラヴェル l コメント (0) トラックバック (0) l top
★ モーツァルト 交響曲第39番 ★
この交響曲第39番 変ホ長調 K.543は、モーツァルトの3大交響曲の最初を飾るシンフォニーだ。
シンプルで美しいメロディに満ち、完成されたソナタ形式、典型的な3部形式で書かれたモーツァルトの代表作だ。
そして、オーケストラ編成で目を引くのはオーボエがないことだ。
代わりに、クラリネットが活躍する。
数年前からモーツァルトはこのクラリネットという、当時新しかった楽器を上手に使うようになっていた。
後に、クラリネット協奏曲という傑作も生み出している。

〇 なぜ?クラリネット 〇
このシンフォニーでオーボエに替えて、クラリネットを選択したのには理由がある筈だ。
編成の小さい楽曲ではオーボエを外すことはあったように思うが、ある程度以上の規模のシンフォニーではあまりないことだろう。
以前何かの書物で読んだ、友人であるクラリネット奏者シュタートラーのことが頭にあったのか。
うん、この考え方は現実的だと思う。
しかし、私はここで敢えて曲想に注目したい。
子供の頃聞いた39番のLPジャケットに「明るい」曲だと評してあったのが、私はどうしても納得がいかなかった。
この曲の表面にある快活さやにこやかさの裏には、何かに耐える様な秘めた哀しみがあると思いませんか。
その微妙な裏面を持った柔和な表情を出すために、オーボエではなくクラリネットの温もりのある音を選択した。
私はそんな風に考えてこの曲を聞いている。

〇 印象的な第1楽章 冒頭 〇
この曲の第1楽章は、所謂序奏付きのソナタ形式で書かれている。
私は、この序奏がとても大切だと思っている。
CDを聞く場合でも、この序奏の部分の指揮者の処理が全てを決める!くらいの勢いで楽しみにして聞く。
オーケストラの強奏、ティンパニのリズミカルな連打、弦の流麗な下降音型、少し落ち着いたかと思うと管が入って、まだ下降音型は続く、それが低弦の上昇音型に変って突然不協和音が響き、その間ティンパニが効果的に付点リズムを刻む。
ここをどのような速さで管と弦のバランスをどう保ちながら、如何にオーケストラを歌わせるか、指揮者の技量が問われる最大のポイントだと思う。
そして、第1主題が提示されるのだが、私はここでの低弦による「ズン」という始まりが好きだ。
序奏の間、彷徨っていた思念がある決意をしたかのような「ズン」なのだ。
変ホ長調という穏やかな調性もあって、「明るい」というよりも「柔和」な印象を抱く。

〇 クラリネットが愛らしい 第3楽章 〇
第3楽章は3部形式のメヌエットだが、このトリオ部分のクラリネットが可愛らしい。
ここをシュタートラー兄弟が演奏することを想定していた、と考えるのは至極妥当に思えるのだ。
このフレーズの為だけにクラリネットを待機させても聴衆は納得するぐらいだ。
本当にこうしたノリの良い快活なメヌエットは、モーツァルトの独壇場だ。


【モーツァルト 交響曲第41番『ジュピター』】
交響曲第41番『ジュピター』
【モーツァルト 交響曲第40番】
交響曲第40番
【モーツァルト ピアノ協奏曲第20番】
ピアノ協奏曲第20番


<今日の一枚>
この曲の持つ「柔和な貌」と「秘めた悲しみ」、優雅にしてダラケない規律、それを如実に表現しているのはやはりベームではないか。
今日は、ベームが聞きたい。
41番(ジュピター)ではベルリン・フィルとの演奏を推薦したが、この曲ではより典雅で流麗な演奏が聴けるウィーン・フィルとの組み合わせでいこう!
■モーツァルト 交響曲第39番 変ホ長調 K.543
 カール・ベーム指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

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<推薦盤1>
今日の一枚のベームは推薦盤のトップクラスだが、ここでさらに挙げるとしたらワルターか。
ジュピターではコロンビア響との演奏を挙げたが、若い頃のワルターも良い。
ただ、致し方がないことだが音質という面ではやはり晩年の録音には及ばない。
39番、40番、41番(ジュピター)の最後期の3交響曲が収録されている。
これはモノラル録音だ。

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<注目盤>
古楽器から注目すべきCDが出ている。
序奏を本来の2拍子のマーチと捉える解釈だ。
私は初めて聞いたときにびっくりした、なるほど譜面通りならこうなるか。
名手ホープリチのクラリネットが聞ける。
■ジョス・ファン・インマゼール指揮 アニマ・エテルナ

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2013.05.18 Sat l モーツァルト l コメント (0) トラックバック (0) l top
★ モーツァルト 交響曲第41番 ★
モーツァルトの最後の交響曲で、私個人としては人類最高峰の「音楽」と言って良いくらいに尊いシンフォニーである。
全楽章、美しい形式美に則ったモーツァルトらしい魅力的なメロディに満ちている。
39番、40番、41番と、天才モーツァルトは、このユニークで心躍る3つのシンフォニーを僅か3ヶ月程の間に完成させているのだ。
所謂、モーツァルトの3大シンフォニーは、1788年の夏に一気に書き上げられている。
研究では、39番が1788年6月26日、40番が7月25日、そして41番が8月10日に完成されたそうだ。
ブラームスの様に最初のシンフォニーに悩みに悩み、20年の歳月をかけて第1シンフォニーを誕生させる、慎重さ無骨さ、真摯さもあれば、200年以上経っても万人を魅了するシンフォニー3曲を、たった3ヶ月で完成させる離れ業もあるのである。
勿論、どちらが優れているか、などという不毛な議論は止めておこう。

〇 交響曲第41番 ハ長調 K.551『ジュピター』 〇
3大シンフォニーは言うまでも無く、どれも素晴らしいのだが、このシンフォニーはとても気高い。
凛とした顔を持ち、堂々とした風格に彩られているのだ。
故に、後世の人が付けた愛称が『ジュピター』。
ローマ神話の最高神の名前だ。
全くもって言い得て妙である。

〇 ジュピター音型 〇
第3楽章のトリオに顔を見せて、第4楽章で堂々と展開されるハ長調の「ドレファミ」のセットを「ジュピター音型」と呼んでいる。
このシンプルな音のセットをモーツァルトは、好んで使用したそうで、彼の最初の交響曲にも使われている。
かの大指揮者カール・ベームがわざわざ第1番のシンフォニーを演奏会にかけて(この幼年期の作品が演奏会向けではないことを百も承知で。)、モーツァルトの天才のベースはこのように7歳そこそこで確立されていたのだということを示したというような逸話を聞いたことがある。
第1シンフォニーに、ジュピター音型がちゃんと出てくるのだ。

モーツァルトの天才について語りだすと、どんな偉人でも大音楽家でも、私のようなただのおっちゃんでも、とにかく熱くなってしまうのだ。

〇 緻密な計算・終楽章 〇
この曲の第4楽章は、ポリフォニー音楽の粋ともいうべき構成であり、緻密に計算し尽されたフーガの技法が駆使されている。
システィーナ礼拝堂の門外不出の音楽を一回聞いただけで採譜したというモーツァルトでも、このフーガは丁寧に下書きをした形跡があるそうだ。
それほど、複雑な音の重なりになっている。
そして、全体の楽曲形式はホモフォニーのソナタ形式で書かれている訳で、正にポリフォニーとホモフォニーの融合という幸せな結果がモーツァルトによって高度に為された瞬間だ。
ああ、バッハがこの曲を聞いたら何と言っただろうか。

〇 ジュピターの特徴 〇
しかし、このシンフォニーをこれまで何度となく聞いてきて思うのだが、この曲にはモーツァルトのレベルで極論すると、特に目立った旋律的な「美」や、つい口に出るような人口に膾炙した旋律的・リズム的な新機軸はないと思う。
上述のジュピター音型にしてもモーツァルトとしても悪く言うと使い回しだし、当時他の作曲家にも使われたものだ。
にも関わらず、それでも私は誰が何と言おうと最高のシンフォニーだと確信しているだ。
それは何故なのだろう?
自分でも何度も考えてきたことなのだが、今言えることは、主題の組み合わせの妙と言えば良いだろうか、様々な主題が巧みにしかもスピード感を持って組み合わされ、展開されていく、ここにモーツァルトの音楽家としての集大成があるように思うのだ。
曲想一つをとっても、毅然とした顔を見せたかと思うと、物思いに沈み、高貴な天上のメロディーを刻んだかと思うと、とても俗っぽい開放的な一面も見せる。
それらが、次々ととてもスピード感溢れる展開を見せるのだ。
だから最高なのだと。
技術面も含めて、その典型が最終楽章なのだ。


【モーツァルト 交響曲第40番】
交響曲第40番
【モーツァルト 交響曲第39番】
交響曲第39番
【モーツァルト ピアノソナタ第11番『トルコ行進曲付き』】
ピアノソナタ第11番『トルコ行進曲付き』



<今日の一枚>
さて、この曲を1枚で纏めるようなことはとても出来ないと思うが、LPレコードの時代からずっと大切に聞いてきた一枚を今日も聞きたいので、紹介したい。
ワルターにはニューヨーク・フィルやウィーン・フィルとの演奏もあるが、この晩年の録音はとても風格のあるゆったりとした演奏だ。
ステレオ録音で、音質もとても良い。
■モーツァルト 交響曲第41番 ハ長調 K.551『ジュピター』
 ブルーノ・ワルター指揮 コロンビア交響楽団 1960年ステレオ録音 他、ワルターの名演を多数収録。

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これは輸入盤で6枚組、1枚分で6枚のCDが手に入る価格感。
輸入盤で良い方には大変お得だ。
私もCDはこちらで聞いている。



<推薦盤1>
さてさて、推薦できるCDも色々あって迷うところだ。
どなたにも推薦できる安心の推薦盤としては、クーベリックを挙げたい。
平凡などと仰るなかれ。
ワルターほどアゴーギクも使わないし、非常に水準の高いところで、安心してモーツァルトの美しい音に浸りたい時に私も聞く盤。
■ラファエル・クーベリック指揮 バイエルン放送交響楽団
 こちらは、41番と40盤のカップリングだ。


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<推薦盤2>
さあ、ワルターを挙げたらその弟子にも登場して貰わなければならない。
カール・ベームだ。
恐らく、この曲の厳しい表情や緻密な音の積み上げに関しては上記2枚よりも上ではないか。
■カール・ベーム指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1962年録音
 こちらは、モーツァルト:後期交響曲集 と銘打っているもので、35(ハフナー)・36(リンツ)・38(プラハ)・39・40・41(ジュピター)とモーツァルト最後の6曲のシンフォニーが揃った豪華盤。
6曲で考えたらお得な盤だ、ベームのモーツァルトに迫りたい方には最適!

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<推薦盤3>
こちらはちょっと入手が困難かも知れない。
記事本文でも触れたように、この曲の持つ特徴である素材(主題)の持つ様々な顔を鮮やかに浮き立たせるような解釈をしていると私が思う盤を紹介したい。
■サー・チャールズ・マッケラス指揮 プラハ室内管弦楽団 1986年録音
 こちらも40番とのカップリングだ。

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おお、入手困難かと思ったが、amazonで販売しているようだ。
但し、中古になるようだが。
2013.05.14 Tue l モーツァルト l コメント (0) トラックバック (0) l top
★ チャイコフスキー 交響曲第4番 ★
チャイコフスキーを続けよう。
今日は 交響曲第4番ヘ短調作品36 だ。
第5番より遡ること10年余で、チャイコフスキー未だ36歳頃の青年期の作品だ。

〇 メック夫人 〇
チャイコフスキーには大切なパトロンが居たことは有名だが、この交響曲を書いた時期からチャイコフスキーはフォン・メック夫人の多額の援助を受けて、何不自由することなく作品を生み出すことに没頭できた。
この交響曲は、そのメック夫人に献呈されている。

〇 第1楽章はホルン&ファゴット&ペット 〇
この曲も冒頭に印象的な主題が提示される。
ファゴットとホルンそれからトランペットによるファンファーレ風のテーマで、これはこの曲全体を覆っている。
9/8拍子のまるで切羽詰まったかのような第1主題が表れて、続いて管によって気怠い様な3/4拍子の第2主題が奏される。
この辺の3拍子系のリズムに乗ったメランコリックなテーマはさすがチャイコフスキー! というところだ。
一発で心に入り込んでくるメロディーとドラマティックなオーケストレーション、正に面目躍如。

〇 第2楽章はオーボエ 〇
チャイコフスキーのオーボエ使いはまことに巧みだ。
この楽章の冒頭は、オーボエ奏者の見せどころ。
切ないメロディーを、どれくらい哀切の情を持って演奏できるか、チャイコフスキーの中でも昔から大好きなフレーズだ。
しかし、何と素敵なメロディーメーカーなのだろう、チャイコフスキーは。

〇 第3楽章はピチカート 〇
このスケルツォ楽章は変わっている。
弦楽器は徹頭徹尾ピチカートで演奏する。
何かに追われるような、忙しない弦の動きから突然管楽器が曲調を変える。
木管による牧歌的なメロディが出るところは、まるで曇り空から唐突に太陽が顔を出したかのようだ。
金管はまた別の動きをして、弦のピチカートに戻り静かにこの楽章を終わる。
う~ん、実にユニークだ。

〇 第4楽章は爆発だ 〇
岡本太郎氏ではないが、第4楽章は爆発だ。
大変ユニークな楽章の後は、いきなりオーケストラが爆発する。
民謡風の第2主題を交えた後、晴やかな第3主題が奏される。
これらが変奏されながら、徐々に盛り上がっていくのだ。

このように、このシンフォニーはとてもユニークで聴きどころが満載だ。
第5番もそうだが、この曲もライブで聞くと特に興奮すること請け合いだ。


【チャイコフスキー 交響曲第5番】
交響曲第5番
【チャイコフスキー 『白鳥の湖』】
『白鳥の湖』



<今日の一枚>
これはちょっと珍しい盤だ。
バレンボイムがニューヨーク・フィルを振ったもので、もしかすると特異な演奏かもしれないなぁと危惧しつつ購入したのだが、いえいえなかなか正統派。
アメリカのオケを使って、思い切りメランコリックなチャイコフスキーを、尚且つ意外と爽やかに聞かせてくれる。
かなり良いと思うので愛聴しているものだ。
■チャイコフスキー 交響曲第4番ヘ短調作品36
 ダニエル・バレンボイム指揮 ニューヨーク・フィルハーモニック 1971年録音

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<推薦盤1>
正統派の推奨盤もご紹介しよう。
何と言ってもドラマティック=カラヤンだ。(勿論、そんな単純なものではないが。)
カラヤン+ベルリン・フィルには66年録音盤もあったが、私はこちらの71年録音盤をとる。
音がいいのだ、ダイナミックレンジも広い感がある。
カラヤン渾身の一枚。 
■ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団//1971録音//

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このCDにはSACD盤もあって、こちらの音の良さは驚異的です。
SACDを聞ける環境を持っている方は、是非こちらをどうぞ!



<推薦盤2>
もう一枚推薦するとしたら、【サー・ゲオルグ・ショルティ+シカゴ交響楽団】を挙げたい。
バレンボイムとはまた違う、もっとパワフルでアーバンなチャイコフスキーを聞ける。

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2013.05.10 Fri l チャイコフスキー l コメント (0) トラックバック (0) l top
★ チャイコフスキー 交響曲第5番 ★
ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー、ロシアが生んだ世界的大作曲家だ。
日本でもベートーヴェン同様、恐らく知らない人はいないと言っていいだろう。
ロシアの民族音楽要素と西洋音楽の幸せな合体とも言える、ロマン派を代表する作曲家でもある。
白鳥の湖等のバレエ音楽が特に世界中で有名で愛されているが、今日は交響曲で行こう。

〇 交響曲第5番ホ短調作品64 〇
チャイコフスキーは番号付き交響曲を全部で6曲残している。
最も有名なのは第6番『悲愴』だろう。
しかし、悲愴はあまりに痛切な悲しみを誘発する音楽で、心して聞かなければならない音楽だと思っているので、今日は華麗な第5番。

〇 運命の動機 〇
この曲の第1楽章冒頭のクラリネットが奏する、哀切の籠ったメロディは「運命の動機」と言われている。
この動機が、このシンフォニー全体を支配している。
だから、この冒頭のクラリネットは聞きどころだ。
この長~い序奏の後に、民族色の強い第1主題が管によって奏でられる。
この後が、正にチャイコフスキーの真骨頂、ドラマティックなオーケストレーションでどんどん盛り上がっていく。
旋律の優美さとドラマティックなオーケストレーションでは、私はチャイコフスキーとプッチーニが2代巨頭だと思っている。
う~ん、チャイコフスキーだって感じ。

〇 第2楽章の美しいホルン 〇
第2楽章は3部形式だが、ホルンによる長閑な主題が印象的だ。
その雰囲気をまるで打ち消すかのように「運命の動機」が使われている。
ひと時の平穏な生活にも、必然的に運命はのしかかってくる、というような語りに聞こえる。

〇 第3楽章はワルツ 〇
このシンフォニーの大きな特徴として挙げられるのが、通常置かれているスケルツォ楽章が無く、代わりにメランコリックなワルツが置かれていることだ。
いかにもチャイコフスキーらしい美しくも儚さを感じるワルツ。
この楽章の後半でも、「運命の動機」が顔を見せる。

〇 壮大でエネルギッシュな終曲 〇
第1楽章で提示されたホ短調の「運命の動機」が、第4楽章冒頭では長調に転調されて現れる。
辛く暗い「運命」を克服した人だけが、明るく力強い「運命」に到達する、と言っているかのように感じる。
終曲はそのように、自信に満ちたエネルギッシュな展開を繰り広げる。
壮大な音楽だ。


【チャイコフスキー 交響曲第4番】
交響曲第4番
【チャイコフスキー 『白鳥の湖』】
『白鳥の湖』



<今日の一枚>
バーンスタインと彼の手兵ニューヨーク・フィルハーモニックの演奏だ。
バーンスタインは作曲家としても一流であるからか、とかく主観的だとか大袈裟だとか言われるが、ことチャイコフスキーのような濃いめの音楽には良い嵌り方をするように思う。
お買い得な廉価版でもあったので購入した盤だ。結構気に入っている。 
■チャイコフスキー 交響曲第5番ホ短調作品64
レナード・バーンスタイン指揮 ニューヨーク・フィルハーモニック

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<お奨めのCD>
この曲にはカラヤンがいい!
こういうドラマティックな曲にかけてはカラヤンの右に出る者はいないと言ってもいい。



もう一枚選ぶとするなら、やはりロシアの本家からだろう。
ムラビンスキーとレニングラード・フィルによる名盤がある。
実に格調高く、少し変な表現だが真面目な演奏。
恐らくロシアの人はこれを選ぶだろうという歴史的名盤。
こちらは4番~6番までが収録されていて、お得!


2013.05.08 Wed l チャイコフスキー l コメント (2) トラックバック (0) l top
★ ラフマニノフ ヴォカリーズ ★
今朝は何故だかしっとりと始めたくなった。
ロシアが生んだ稀代の名ピアニストであり、大作曲家であるラフマニノフのロマンたっぷりな曲、ヴォカリーズ。

〇 元々は歌曲 〇
この曲は元々「14の歌曲集」作品34の14曲目であり、詰まり歌曲だ。
日本では主にラフマニノフ自身による管弦楽編曲版での演奏が多いかもしれない。
同年代のスクリャービンなどとは違い、殆ど全作品が調性音楽といっても良いラフマニノフの和声を重視したロマンティックな趣が生きた作品になっている。

〇 有名なピアノ編曲版 〇
この曲のピアノ編曲版には、有名なものが3つある。
アール・ワイルド版、アラン・リチャードソン版、そしてゾルターン・コチシュ版の3つ。
私はこの中ではゾルターン・コチシュ版を良く聞く。
コチシュ版では中盤に急に装飾音の多い華やかな変奏部があり、これがなかなか洒落ていて私は好きだ。
この変奏部、歴史的には賛否両論あるようだが、確かに全体の曲調からすると突然感はあるものの、素敵なアクセントと捉えることもできると思う。
6分~7分の小曲だ。


【ラフマニノフ 前奏曲集】
前奏曲集



<今日の一枚>
そんな訳で、ゾルターン・コチシュによるピアノ編曲版を聞こう。
勿論、CDにはこの短い曲だけではなく、むしろ有名なピアノ協奏曲第2番・第3番のカップリング曲として入っている。
■ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番ハ短調 op.18
        ピアノ協奏曲第3番ニ短調 op.30
        ヴォカリーズ op.34-14(コチシュ編)
ゾルターン・コチシュ(P)、エド・デ・ワールト&サンフランシスコ交響楽団

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2013.05.04 Sat l ラフマニノフ l コメント (0) トラックバック (0) l top
★ Take Five -The Dave Brubeck Quartet- ★
今朝はジャズだ。
それもリズムを変えて5/4拍子で有名なTake Fiveだ。
この曲はDave Brubeck Quartetのアルトサックス奏者ポール・デスモンドによって作曲された。
ポール・デスモンドはブルーベックの長年のパートナーで、「Take Ten」なんてアンサーソングも作曲している。

〇 テイク・ファイブ 〇
この曲は子供のころから事あるごと(どんな事だ?)に聞いてきたお馴染みのジャズナンバー。
なんと言っても題名通りの5拍子に特徴がある。
この変拍子は聞いているととにかく癖になる。
ブルーベックのピアノをバックにデスモンドのサックスが奏でるメロディーと、ドラムやベースの通奏低音が奏でる5拍子のリズムが、演奏が終わっても永遠に身体の中で続くかのようだ。

〇 金曜ドラマ 〇
全然関係ないと言われるかもしれないが、TBSで金曜ドラマ『TAKE FIVE~俺たちは愛を盗めるか~』という番組が始まっているそうだ。
私はドラマはまず観ないのだが、先日堺正章さんの「チューボーですよ」でゲストの唐沢さんがこの番組の番宣をしていたのを思い出した。
おっちゃんでも楽しめる面白いドラマがあったら教えて欲しいです。

〇 ブルーベック 〇
そうそう、また突然思い出したが、デイブ・ブルーベックは昨年12月に永眠されましたね。
このウエストコーストを代表するピアニストは偉大でした。
ご冥福をお祈りします。

<ご本家を無料で>
これはサウンドのみだ。

YOUTUBE Take Five(無料動画)


2013.05.02 Thu l ジャズ l コメント (0) トラックバック (0) l top
★ シューマン 幻想曲 ハ長調 作品17 ★
今日はシューマンだ。
考えてみると、このブログではシューマンの曲は初めて紹介することになる。
シューマンと言う人は情熱的で、歌曲やピアノ曲に優れた作品を多く残している。
シンフォニーなどになると、良く言われる管弦楽法のまずさからヨーロッパでもあまり人気がないと言われるが、ラインなどは私は小中学生の頃から好んで聞いた。
この『幻想曲ハ長調 作品17』 は当初ピアノソナタとして構想されたそうで、3楽章からなっている、ちょっと異色の曲だ。

〇 青春の息吹 〇
この曲が作られた1835年~38年頃というと、シューマンがクララに猛烈なアタックをしていた時期だと思う。
しかしクララの父ヴィーク氏に猛反対されて、シューマンの心は千々に乱れていたことだろう。
だからこの曲は、若いシューマンのそんな青春の息吹がたっぷり吹き込まれた恋愛音楽といっていい。

〇 ベートーヴェンを讃える歌 〇
もう一方では、当時偉大なるベートヴェンの記念碑を建てる発起人の一人だったシューマンはこの曲の中でベートーヴェンの曲の一節を引用して、その偉業を讃えている。

〇 青春讃歌の第3楽章 〇
3楽章の中でも第3楽章が素晴らしい。
正に胸が張り裂けんばかりのクララへの想いが包み隠さず謳歌されている。
ロマンティックで情熱的なこの楽章が「幻想曲」たらしめているような気がしてならない。

<今日の一枚>
シューマンの幻想曲というと、ホロヴィッツやリヒテルの名演がある。
特にホロヴィッツのカーネギーホールでの復帰ライブの演奏は鬼気迫るものがあった。
しかし、今日は敢えて母なるラローチャでロマンを満喫したい。
この音源はDECCAの物だが、日本では販売されていないのかも知れない。
私は、輸入盤のPIANO MASTER WORKSで入手した。
■シューマン 幻想曲 ハ長調作品17
 アリシア・デ・ラローチャ(P)

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<推薦盤1>
推薦盤となると、やはりリヒテルは外せないか。
但し、1961年録音なのでステレオ録音とは言え、音質はお世辞にも良いとは言えない。
しかし、スケール感は群を抜いている。
こちらはベートーヴェンのテンペストとカップリングされている。
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<推薦盤2>
ホロヴィッツ、このピアニストは本当に困った人だ。
不世出にして、好不調の波の大きいピアニストとしても知られている。
特に初来日の演奏が物議を醸したことで有名だ。
評論家・吉田氏曰く「ひび割れた骨董品」・・・。
しかし、俗に「ヒストリック・リターン」と呼ばれている、この1965年カーネギーホールのライブ録音は必聴ものだ。
このCDにはバラキレフ「イスラメイ」が収録されており、この超絶技巧は悪魔的とまで言われている。
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2013.05.01 Wed l シューマン l コメント (0) トラックバック (0) l top
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