★ ドビュッシー ベルガマスク組曲 ★
フランスの作曲家クロード・ドビュッシー、大変有名な「月の光」を含むピアノ曲がベルガマスク組曲だ。
何かフランス的な音楽を聴こうと思って選んだドビュッシー、この作曲家のピアノ曲はピアニストを選ばないと情緒がない。

〇 ベルガマスク組曲 〇
この組曲は次の4曲からなる

1.前奏曲 (Prélude)
2.メヌエット (Menuet)
3.月の光 (Clair de Lune)
4.パスピエ (Passepied)

このうちの3曲目が、あの「月の光」である。
ほとんどピアニッシモで演奏されるので、オーディオの音量を絞っていると音が聞こえないほどだ。
この曲は、色々な日常シーン(CMやドラマ、映画など)でも使われているので、恐らく聞いたことがないという人はいないだろう。
前奏曲の少し即興的な入りの部分から、私はチェンバロ的な音の色を感じる。
メヌエットにしても、タイトルほどは古典的なイメージは無くて、舞曲としてもバッハやモーツァルトとは明らかに異なる。
そして、月の光。
冴えわたった空気の中で夜空に浮かんだ冬の「月」、というのが私のイメージだが、ドイツロマン派の標題音楽というアプローチとは異なって、もっと抽象的でポエムですね。
終曲のパスピエは17世紀頃のバロック舞曲で、いかにもの旋律だが、4曲を通じてドビュッシーは古い物と新しい物をとても面白く対比させていると思う。

ちなみに成田ハネダさんのロックバンドが「パスピエ」で、この名前はドビュッシーのこの曲から付けたらしい。
今、大変私も注目しているユニークなバンドである。


【ラヴェル 『マ・メール・ロア』】
『マ・メール・ロア』


<今日の一枚>
■ドビュッシー:ピアノ独奏曲全集(4CD) ポール・クロスリー(P)
特に「月の光」でみせる、冷たさを感じさせる音色の変化は秀逸だと思う。

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<推薦盤1>
ドビュッシーのピアノと言えば、ギーゼキングか。
このドイツのピアニストは20世紀を代表するピアニストの一人で、とりわけモーツァルトやラヴェル、そしてドビュッシーには素晴らしい解釈を見せた。
初見力に長け、明晰な曲解釈と欠点の無いテクニックなどから付いた渾名が「新即物主義」。
ベルガマスクも私は原点をギーゼキングに置いている。
■ドビュッシー:ベルガマスク組曲、他
 ワルター・ギーゼキング(P)

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<推薦盤2>
ギーゼキングは確かに素晴らしい。
でも、もうちょっと自由にピアニストの感性も前面に出してもいいんじゃない? 
という向きには、是非フランソワで。
このフランスのピアニストは洒落てる。
■ドビュッシー ピアノ集(3)
 サンソン・フランソワ(p)

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2013.03.31 Sun l ドビュッシー l コメント (0) トラックバック (0) l top
★ 鈴木祥子 ときめきは涙に負けない ★
突然、鈴木祥子さんと言ってもほとんどの方が知らないのではないか。
正直に言って、私も1993年に彼女のアルバム「ラジオジェニック」を買って以来、新譜を追うことはしていなかった。
その頃、彼女自身も突然声が出なくなったり、結婚しやがて離婚するというように色々と大変だったと覚えている。
私は、多分2枚目のアルバムである「水の冠」から「ラジオジェニック」辺りまでが大変好きで良く聞いていた。

〇 川村真澄さんの詩 〇
川村真澄さん(旧姓は田村だったかと)の詩に鈴木祥子さんが曲を付けるというパターンが多かったのだが、川村さんの詩の世界観に祥子さんの曲がマッチして、とてもミステリアスで心にしみる音楽だった。
また、彼女の声がいいのだ。
囁くような低域から抜けの良い高域まで、音域も広く魅力的な歌唱だった。
彼女は歌う時に、言葉尻を大切にして歌ってくれる。
いい加減に濁さないし、まるで最後まで聞き手を支えてくれるような歌い方なのだ。
今も元気に活動されているようなので、一度チャンスがあればコンサートに行きたいと思っている。

〇 ときめきは涙に負けない 〇
そんな祥子さんの歌、私が知っている中で今でも時々聞きたくなる歌が『ときめきは涙に負けない』。
曲の最初から、のんびりした雰囲気と遠くを見つめる心に宿る恋心が一杯だ。
「寝転んで 雲の形 似てるもの 見つけて遊んでいた 
  人知れず こんなふうに 変わっていくものに なれないかな・・・」

〇 ヴィーナスライン 〇
スピッツの「春の歌」で、信州蓼科高原(美ヶ原、霧ケ峰)のヴィーナスラインをひた走ったお話をしたが、そうそう、その途中で休憩した時に、な~んにもない草原に寝転がって愛用のウォークマンでこの歌を聞いたことを思い出した。
考えてみれば、それから何台かウォークマンも買い換えたが、ずっとこの曲は入れている。
原っぱで寝転がって流れていく雲を見るのが大好きで、この曲はその時の子分みたいなものなのだ。
(彼女の歌では小泉今日子さんの詩に彼女が曲を付けた「優しい雨」という大好きな歌もある。キョンキョンに提供した曲になるが、祥子さんがセルフカバーした歌が大好きだ。吉川忠英のアコースティックギターが泣けるんです。)

<YouTube>このYouTubeのイメージ画像は私の心象風景とは違う。私はあくまでも「原っぱ(草原)」が必須だ。
鈴木祥子 ときめきは涙に負けない


【ユーミン 春よ来い 】
春よ来い
【スピッツ 春の歌】
春の歌
【大貫妙子 春の手紙】
春の手紙



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2013.03.30 Sat l J-POP l コメント (4) トラックバック (0) l top
★ バッハ チェンバロコンチェルト ★
先月もバッハのチェンバロコンチェルトを紹介したが、今朝も満員電車の友はバッハのチェンバロコンチェルトを選んだ。

○ チェンバロコンチェルト ○
現在残っているバッハのチェンバロコンチェルトと言われる曲は次の通り
 1.チェンバロ協奏曲第1番 ニ短調 BWV1052
 2.チェンバロ協奏曲第2番 ホ長調 BWV1053
 3.チェンバロ協奏曲第3番 ニ長調 BWV1054
 4.チェンバロ協奏曲第4番 イ長調 BWV1055
 5.チェンバロ協奏曲第5番 ヘ短調 BWV1056
 6.チェンバロ協奏曲第6番 ヘ長調 BWV1057
 7.チェンバロ協奏曲第7番 ト短調 BWV1058
独奏チェンバロ1台用のコンチェルトは以上の7曲で、もう1曲第8番も知られているが、残されているのは断片のみということで、今朝私が聞いたシフのCDでも以上の7曲が収録されている。

○ 原曲というものがある ○
残されていたり、いなかったり・・、しかもややこしいのは、この7曲でさえ初めから独奏チェンバロの為に書かれたものはないようである。
全て、「原曲」というものがある。
例えば、
 1.第1番:原曲は消失した「ヴァイオリン協奏曲ニ短調」
 さらには、この消失した原曲もどうやらバッハ自身の作曲かどうか確証がないとか・・・。
他の曲も同様に、なんだかあやふやである。

第3番の原曲:ヴァイオリン協奏曲第2番 ホ長調 BWV1042
第6番の原曲:ブランデンブルク協奏曲第4番 ト長調 BWV1049
第7番の原曲:ヴァイオリン協奏曲第1番 イ短調 BWV1041
この3曲は原曲がちゃんとバッハの作品として認知され、演奏もされているから大丈夫だろう。
しかし、原曲の演奏機会の方がかなり多そうである。

○ チェンバロかピアノか ○
現在これらの曲を聞くときに、さらに問題(?)がある。
上記のコンチェルトが作曲されたのは、1729年~1742年頃(これも曖昧である)で、バッハがピアノを意識して書いたとは思えない。
(ものの本によると、1736年にバッハはピアノの原型に当たるハンマーフリューゲルを紹介されているようだが)
従って、バッハが原曲から編曲した際にターゲットにしていたのは恐らくチェンバロだろう。
しかし、現代ではチェンバロという楽器は日常的に触れられる楽器ではないし、この楽器は構造上の弱点を持っている。
ピアノはハンマーが弦を叩くのに対して、チェンバロは弦を弾く(ひっかく?)ような構造で、音の強弱がつけられない構造になっていた。
(楽器の話題は、元々のクラヴィコードはどうだったかとか、改良版がどうだとか色々と思い浮かぶことがあるが、頭がクラクラしてきたので今日は止める。この辺はチェンバロに限らず、ピリオド楽器で音楽を楽しむという、大きなテーマだろう。)

うだうだと書いてきたが(いささか疲れました・・)、要するにバッハのチェンバロコンチェルトを、バッハの想定したチェンバロで聞くか?、音楽の持つ可能性を広げて表情豊かにピアノで聞くか?であるが、私の結論はどっちでも良いである。(おいおい、結局それかい)
ただ、先にも触れたようにチェンバロという楽器は、どうしても平板な音になるので、朝の地下鉄で聞いているとあまりの心地よさにうっかりすると寝てしまうので、私はピアノで聞いている。


【バッハ ゴルトベルク変奏曲】
ゴルトベルク変奏曲
【バッハ ブランデンブルク協奏曲】
ブランデンブルク協奏曲
【バッハ フランス風序曲】
フランス風序曲



このCDは再登場で恐縮だが、本日のCDなので
<今日の一枚>
ちょっと黄昏た感じのアンドラーシュ・シフでどうぞ。

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<推薦盤1>
このチェンバロ協奏曲をチェンバロで聞くとしたら、まずはカール・リヒターを挙げたい。
1970年代の録音で音質も良好。
リヒターが手兵であるミュンヘン・バッハ管弦楽団を従えて、モダン・チェンバロを弾いた盤。
大変キリッとした厳格で輪郭のはっきりしたバッハが聞ける。
リヒターがバッハを弾けば、こうなる!、と納得のアルバム。
この全集は、第1集と第2集に分かれている。
第1集は、第1番~第4番まで、第2集は第5番~第7番までと2台のチェンバロのための協奏曲第1番、第2番 が収録されている。
■バッハ:チェンバロ協奏曲全集 第1集
 バッハ:チェンバロ協奏曲全集 第2集
 カール・リヒター(指揮、Cemb)ミュンヘン・バッハ管弦楽団

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こちらが第2集
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<推薦盤2>
もう一つ挙げるとしたら、オリジナル楽器からトレヴァー・ピノックを挙げたい。
リヒターと聞き比べると大変面白い。
厳格なリヒターに対して、ピノックのバッハはとても楽しい。
私は、これをあまり「軽い」と表現したくない。
バッハのチェンバロ音楽の「楽しさ」を私に教えてくれた盤だ。
「音楽」なのだから、「楽しさ」というファクターはとても大切だ!
■バッハ チェンバロ協奏曲全集
 トレバー・ピノック(指揮、Cemb) イングリッシュ・コンサート
こちらは3枚組で、チェンバロ協奏曲第1番~第7番、2台のチェンバロのための協奏曲第1番~第3番
3台のチェンバロのための協奏曲第1番、第2番、4台のチェンバロのための協奏曲
と全て揃っているのも魅力だ。

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2013.03.28 Thu l バッハ l コメント (0) トラックバック (0) l top
★ もう一つの春の歌 ★
先日、春を待ちながら大貫妙子さんの「春の手紙」をご紹介した。
この頃は、桜の便りも聞こえ始めて正に『春』真っ盛りになった。(朝晩はまだちょっと寒いが)
そこで、今日はスピッツの『春の歌』。

〇 スピッツ 〇
確か2005年の歌だから、もう8年前か、正宗君もまだ若かったなぁ~。
アクエリアスのCMソングに使われたんじゃないですか?
正宗君の良く通る声が、春の青空に届くような爽やかさのある歌でした。
『春の歌 愛も希望もつくりはじめる ・・』♪

〇 春の高原 〇
2006年春、私は長野県蓼科高原を訪れていた。
真っ青に晴れた春のその日、平日で車も少ないヴィーナスラインを颯爽とドライブした際に、スピッツをカーステレオでガンガンかけていた。
平和を愛する大人しい私だって、たまには弾けたい時があるのだ。
誰にも迷惑はかからないヴィーナスラインだったから。
『どうでもいいとか そんな言葉で汚れた心 今放て!』、ほんとにそんな心境だった。
この歌をエンドレスに設定して、ひたすら走って行った。
抜けるような青空に向かって・・・。


【ユーミン 春よ来い 】
春よ来い
【大貫妙子 春の手紙】
春の手紙
【鈴木祥子 ときめきは涙に負けない】
ときめきは涙に負けない



<今日の一枚>
スピッツ 「スーベニア」 (「春の歌」が収録されたアルバム)(「正夢」も入ってますよ)

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スピッツ「春の歌」


2013.03.27 Wed l J-POP l コメント (0) トラックバック (0) l top
★グリーグ ピアノ協奏曲イ短調 ★
今日は休日ということもあり、思い切りロマン派のピアノコンチェルトが聞きたくなった。
そこで気分は断然グリーグに。
エドヴァルド・グリーグというノルウェーの作曲家は、日本では特にこのコンチェルトと「ペールギュント」で知られているが、「抒情小曲集」等のピアノ曲や歌曲に素敵な曲も多い。

〇 とにかくかっこいい! 〇
下世話な表現をすれば、このコンチェルトは冒頭がとにかくかっこいい!
同じくロマン派のピアノコンチェルトを代表する、シューマンのコンチェルトと双璧を成すかっこ良さだ。
どちらもイ短調で、冒頭からピアノが活躍する。
シューマンはオーケストラのトゥッティからピアノ独奏へ、グリーグはティンパニの連打からピアノ独奏へ。
コンサートでも、この冒頭で会場のすべての人が(全てだ)息を飲む。
ショパンもチャイコフスキーも勿論いいが、この冒頭のかっこ良さでは、この2曲に及ぶものはない。

〇 グリーグの第1楽章 〇
クラシックをあまり聞かない人でも、グリーグを知らない人でも、この第1楽章を聞けばどこかで聞いた曲だと思い出す。
ドラマやお笑いなどでさえ、そうだなぁ、例えば「ショック!」とか「おえ~、大変」みたいなシーンで使われたりする。
バッハの「トッカータとフーガ」みたいに。

この楽章は、グリーグらしい温かな第2主題を含めて、比較的短い主題があちこちにちりばめられて労作を展開する。
長めのカデンツァでも、第1主題、第2主題が効果的に使われる。
そして、最後もピアノが冒頭のかっこいいフレーズを奏でて晴やかに終わる。

〇 美しく北欧らしい第2楽章 〇
ここは北欧のメロディーメーカー、グリーグの面目躍如。
ミュートした弦から始まって、とてもノスタルジックなメロディーが素敵だ。
ともするとカサカサになった私たちの心を静めてくれる。
実に幸せだ、この曲を選んで良かったと納得する瞬間。

〇 目覚める第3楽章 〇
瞑想するような第2楽章から一転して、覚醒する第3楽章。
今、丁度実際に我がオーディオセットが第3楽章を奏でているのだが、ピアノと管のやりとりがまるでメロディーの美しさを讃えあっているようだ。
ツィマーマンのピアノが良く歌う。


【サン・サーンス 交響曲第3番『オルガン付き』】
交響曲第3番『オルガン付き』
【フランク 交響曲ニ短調】
交響曲ニ短調




さてCDだが、カラヤンとベルリン・フィルがちょっとゴージャス過ぎるか・・。
でも、私はこの奥行きのある音場が好きだ。
ツィマーマンのピアノは繊細さと抒情性を持ったグリーグらしい好演奏だ。
<今日の一枚>
■グリーグ ピアノ協奏曲イ短調 作品16 シューマン ピアノ協奏曲イ調 作品54
 クリスティアン・ツィマーマン(P) 
 ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 
  ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1981、1982年 録音良好

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<もう一枚>
毅然とした演奏で、優雅さと緊張感を併せ持った好演、リパッティ。
■グリーグ ピアノ協奏曲イ短調 ショパン ピアノ協奏曲第1番ホ短調
 ディヌ・リパッティ(P)
 ガリエラ指揮 フィルハーモニア管弦楽団(グリーグ) 
 アッカーマン指揮チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団(ショパン)

但し、こちらは1947年の録音の為、全奏では音が歪む。
グリーグはまだ聞けるが、ショパンのコンチェルトの音は極度に悪い。



<変化球の一枚>
■グリーグ ピアノ協奏曲イ短調 ショパンピアノ協奏曲第1番ホ短調
 オリ・ムストネン(P)
 ヘルベルト・ブロムシュテット指揮 サンフランシスコ交響楽団

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こちらは、個性派で知られるムストネンのピアノだ。
緊張感溢れる演奏で、歯切れの良いグリーグが聞ける。


2013.03.23 Sat l グリーグ l コメント (2) トラックバック (0) l top
★ ショパンのワルツ集 ★
永らく(恐らく1年くらい)ちゃんと聞いていなかったショパンを取り出した。
フレデリック・フランソワ・ショパン、ポーランドが生んだ偉大にして華麗な「ピアノの詩人」ですね。
生涯においてピアノ曲の創作と演奏に特化した、ある意味ちょっと珍しい作曲家だ。
フランス人の父とポーランド人の母の間に生まれた。
この父親がフランス人ということはショパンがパリで活躍する事に良い影響を与えたようだ。
ジョルジュ・サンドとの恋物語など、色々と思い浮かぶことがあるが、ここは久し振りなのだから何を聞くかに思考を集中しよう。(そんな大袈裟なものではないが・・)

〇 ワルツ集 〇
優雅にワルツ集と決定!
さて、ショパンのワルツは全部で19曲残されている。
その内4曲が所謂遺作と呼ばれるもので、ショパンが存命中に出版を認めていなかった曲だ。
ショパンはそういった未承認の物は全て破棄するように望んでいたというが、残念ながら(我々には幸運にも)後の研究者等によって世に出ることとなった。
(少しややこしいが、ショパン存命中に実際に出版されたワルツは8曲だったと思う。残りの6曲は出版予定だったかどうかは調べていない。悪しからず。)
CDなどを見ると、「ワルツ集」と「ワルツ全集」の2種類あることに疑問を持っておられた方もあるかも知れないが、遺作4曲を含む19曲全て収録されたものが「ワルツ全集」で、14曲のものが「ワルツ集」という訳だ。

〇 『華麗なる大円舞曲』 〇
ショパンのワルツ第1番は、その名も『華麗なる大円舞曲』だ。
実はこの「華麗なる~」と題されたワルツは4曲もある。

第1番変ホ長調 作品18 『華麗なる大円舞曲』
第2番変イ長調 作品34の1 『華麗なる円舞曲』
第3番イ短調  作品34の2 『華麗なる円舞曲』
第4番ヘ長調  作品34の3 『華麗なる円舞曲』

〇 『華麗なる大円舞曲』 の聴き比べ 〇
それでは、この有名なワルツを私が所有しているCDで聴き比べてみようと思う。
CDラックを眺めて、チョイスしてみた。

1.ワルツ全集   ヴラディーミル・アシュケナージ 1970~1985年 DECCA
2.ショパン名曲集 アダム・ハラシェヴィチ 1965年 PHILIPS
3.ワルツ全集   ゾルターン・コチシュ 1982年 PHILIPS デジタル ヘンレ版
4.ショパン名曲集 サンソン・フランソワ 1963年 EMI
5.ワルツ集    ディヌ・リパッティ 1950年 EMI


上記のCDで次々と変ホ長調のワルツを聞いていくと、やはりアシュケナージのタッチは一番ソフトだ。
無難というか、あまり好き嫌いが出にくい演奏に思える。
ハラシェヴィチは、あまり逸らず、かと言って言うべきことは言うぞ、みたいな演奏だ。
上手いのだが、しかしCDを通しで聞くと各曲のニュアンスがあまり出切らず、何か一本調子の印象を受ける。 
ハラシェヴィチと言えば、思い出すのはショパンコンクールだ。
第5回ショパンコンクールでアシュケナージやフー・ツォンを向こうに回して、みごとに優勝した。

 <第5回ショパン・コンクール(余談)>
余談だが、この第5回は波乱があった。
優勝がハラシェヴィチ、第2位がアシュケナージ、第3位がフー・ツォン、そして第10位に日本の田中希代子が入ったのだが、そもそも上位10人は大混戦。
審査委員だったミケランジェリは、なんとハラシェヴィチの優勝に猛反対。
アシュケナージの優勝となんとなんと田中希代子の準優勝を主張して椅子を蹴った。
あくまでも私見だが、私はこのミケランジェリの慧眼に敬服している。
 <余談 終り>

おっと、また逸れてしまったぞ。
リパッティはとても良い、高貴な香りのする奇をてらわない演奏だ。
とても上品、だが古い録音なので仕方がないのだが、音が悪い。
フランソワは洒落ている。
ときおり見せるニュアンスは気が利いていて、とても優雅だ。

さあて、どのCDを聞きたいかと問われたとしたらだが、トータルではフランソワだ。
自由奔放の演奏の中に、フランス人特有の洒脱と気軽さみたいなものが滲み出ていて心地よい。
多少BGM的に全集を聞くのにはアシュケナージが最適だ。
ヘッドホンでは音の歪等が気になってだめなのだが、(超高級でない)スピーカーからの音で(神経質にならずに)聴くならリパッティの高貴で秀逸な演奏を選びたい。
あれ?コチシュの話が無いぞ。
コチシュのCDは音がいい。ちょっと珍しいかも知れない、ヘンレ版です。(あまり聞きこめていないので、また今度)


【ショパン ピアノ協奏曲第1番】
ピアノ協奏曲第1番


<今日の一枚>
■ショパン ワルツ全集 ヴラディーミル・アシュケナージ
 この人の名前は、以前はウラディミールと言っていたような気がするが、気のせいか・・。
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2013.03.20 Wed l ショパン l コメント (0) トラックバック (0) l top
★ 高橋大輔選手 『道化師』 ★
昨日夜、カナダで開催されているフィギュアスケート世界選手権男子の放送があった。
現地では既に結果が出て、私もその結果を知ったうえで放送を観た。
日本の若きヒーロー羽生結弦選手は足の怪我に負けずに、現状出来る最善の演技をし切った。
又、日本のエース高橋大輔選手はジャンプの不調に悩まされつつも、頑張った。
結果、羽生選手が4位、高橋選手は6位だった。
とにかくソチの日本選手枠の3つを取ってくれた。
良く頑張った!
無良崇人選手もベストの演技で8位に入った。
素晴らしい。心から日本の3選手の健闘を讃えたい。

〇 高橋大輔 フリーの使用曲 〇
さて、今シーズン高橋選手がフリーで使用しているのが、ルッジェーロ・レオンカヴァッロ作曲のオペラ「道化師」(I Pagliacci)からの音楽だ。
このパリアッチは所謂ヴェリズモ・オペラの傑作で、同じくヴェリズモの傑作と言われるマスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」と並んで、今日でも良く上演される有名なオペラだ。
味もソッケも無い言い方をすれば、旅回り一座の座長カニオが奥さんの不貞に怒り、舞台の上で女房とその情夫を刺殺してしまうという悲劇だ。

〇 映画「アンタッチャブル」 〇
パリアッチと言うと、何故かすぐに思い出してしまうのが、大分前の映画になるが「アンタッチャブル」という映画だ。
エリオット・ネスのケビン・コスナーと、ベテラン刑事を演じたショーン・コネリー、いい味出してましたねー。
この映画の中で、ギャングの親玉アル・カポネが暗殺指令(だったかな?)を出し、その報告をオペラ観劇中に受けるのだが、その時のオペラがこのパリアッチ。
その1幕目の最後でカニオ(道化師役)が歌うのが「衣装を着けろ」で、カポネはこのアリアで涙を拭きながら血生臭い報告を聞くというシーンがとても印象的だった。
劇中劇の幕を開けなければならない座長が『笑え!パリアッチョ』と自嘲気味に叫んで号泣するシーンだ。
この劇的効果の高い音楽が映画にもバッチリ嵌っていた。

〇 高橋大輔の表現力 〇
セムシのトニオがプロローグで、「舞台では道化師は笑っているけど、役者だって人間。血もあれば肉もある。それを理解している作曲者はこのオペラを涙を流しながら作曲したのです。」みたいの口上を述べる。
冷酷非情なカポネも涙した、このパリアッチョの思いを高橋選手は表現しているのだろうか、と考えながら演技を観ていた。
特に見せ場であるラインステップ辺りからの高橋選手の表現力は群を抜いている。
結果の順位よりも、実に感動的な演技だと思った次第である。


【ヴェルディ 『椿姫』】
『椿姫』
【ロッシーニ 『泥棒かささぎ』】
『泥棒かささぎ』


<今日の一枚>
■レオンカヴァッロ 歌劇『道化師』全曲
 カニオ・・・・マリオ・デル・モナコ
 ネッダ・・・・ガブリエラ・トゥッチ
 トニオ・・・・コーネル・マックニール
 ローマ聖チェチーリア音楽院合唱団、管弦楽団
 指揮・・・フランチェスコ・モリナーリ・プラデルリ

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これは正に歴史的名盤だ。
「黄金のトラッペット」と言われた名テノール、デル・モナコのカニオがとにかく素晴らしい。
イタリアオペラの歴史上でも、並ぶもののないドラマティックテノールだ。
カニオ以外でも、ラダメス、カヴァラドッシ、アンドレア・シェニエやこの4月に大阪フェルティバルホールで上演されるオテロ役などをやらせたら右に出るものはなかった。
モリナーリ・プラデルリの率いるサンタチェチーリアも安定した演奏をみせている。


2013.03.17 Sun l フィギュアスケート l コメント (0) トラックバック (0) l top
★ モーツァルト ピアノソナタ第2番 ★
このところハスキルを聞いていたので、彼女の残したモーツァルトの中で私が特にお気に入りのCDを取り出した。
実はハスキルはモーツァルトのピアノコンチェルトの録音は比較的多く残されているが、ピアノソナタは私の知る限り2番と10番の2曲しかない。
特に2番がいい。
ハスキルのモーツァルトは全般的に速めの演奏が多いが、10番のソナタは私には少し速過ぎるように感じる。
だが、2番の方は時折見せるテンポルバートも絶妙に嵌っている感がある。

○ 美しい第2楽章 ○
とりわけ、第2楽章の緩徐楽章ではハスキルの紡ぎ出す一音一音に説得力がある。
小節の最後の「声」には、モーツァルトとハスキルの「哀しみ」「癒し」が詰まっているようだ。
ここでもハスキルのテンポは速めで、たとえばリヒテルならば8分以上かかっていたこの楽章を大体半分の時間で弾き切っている。
ピレシュのテンポは標準的だと私は思っているが、やはりハスキルよりはかなり遅い。
そもそもモーツァルトの指定はアダージョだ。
しかし、このシチリア風(だったかな?)のメロディをハスキルが弾くと実に美しいのだ。
私はこのソナタのこの楽章がとりわけ好きで、巨匠と言われるピアニストの演奏は出来る限り聞いてきたが、ハスキルの美しさは次元が違う、いや驚異的と感じるのだ。
一つ一つの音に心が震える。
丁寧な語り口と各小節の最後のタメと余韻、これが素晴らしい。
これはハスキルが亡くなる年、1960年の録音でステレオだ。(あまり音場の広がりは感じないが)

○ ピアノソナタ第2番 ヘ長調 K.280 (189e) ○
先にハスキルで走ってしまったが、このソナタは所謂デュルニッツ男爵の依頼で作曲したと言われる6曲のソナタの内の2番目の作品だ。
従って、この6曲を俗に「デュルニッツ・ソナタ」と言う。
モーツァルトの作品で番号の若いものは幼少期と思いがちだが、ピアノソナタは違う。
このソナタも2番だが、モーツァルトが19歳で作曲したものだ。
モーツァルト、もうりっぱな大人、青年期の作品だ。

○ モーツァルトとピアノソナタ 謎? ○
3歳からチェンバロを弾き始め、天才の呼び声を欲しいままにしてきたモーツァルトが、何故その年齢までソナタを作曲しなかったのだろう?
恐らくモーツァルトにとって鍵盤楽器は最も日常的な楽器で、人前での演奏も含めて、「即興」で奏するものだったのだろう。
楽譜に残す需要が無かったのではないだろうか。
彼の曲は彼が演奏できれば良かったのだから。


【モーツァルト ピアノソナタ第11番『トルコ行進曲付き』】
ピアノソナタ第11番『トルコ行進曲付き』
【モーツァルト ピアノ協奏曲第20番】
ピアノ協奏曲第20番
【モーツァルト ピアノ協奏曲第9番『ジュノーム』】
ピアノ協奏曲第9番『ジュノーム』



<本日の一枚>
■モーツァルト:ピアノ協奏曲第19番ヘ長調K.459 /同第27番変ロ長調K.595
       ピアノ・ソナタ第2番ヘ長調K.280(189e)
 クララ・ハスキル(P)
 フェレンツ・フリッチャイ指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団, バイエルン国立管弦楽団

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2013.03.13 Wed l モーツァルト l コメント (0) トラックバック (0) l top
★ 大貫妙子 の『春の手紙』 ★
大貫妙子さん、あの不思議な歌唱はほんとに魅力的だ。
思い返せば、シュガー・ベイブのメンバーとして広く知られるようになってから、もう40年経つのですねぇ。

〇 シュガー・ベイブ 〇
シュガー・ベイブを知っている人も、山下達郎のバンドという認識はあるでしょうが、そこに大貫妙子が居たことを忘れている人が多そうだ。
ター坊の愛称で呼ばれていた彼女は、ヤマタツがバンド結成の折にコーラスとキーボード奏者として引き入れたようなことを聞いたことがある。
大貫妙子はキーボードが得意だった訳では無かった筈だが、その辺はヤマタツのコンセプトか。

〇 「家裁の人」主題歌 〇
正直言って、その後私は大貫の音楽を追いかけてきた訳ではないのだが、1993年にドラマ「家裁の人」のテーマソングを彼女が作詞作曲して、その独特の歌唱を聞かせてくれて、思い出した。
それが、この『春の手紙』だ。
一度聞けば忘れられない歌唱ですからねぇ。
独特の優しい世界観を、例えようもない柔らかい声で包むように見せてくれる。
こんなに急に暖かくなってくると、春の歌が欲しくなるのだ。
よーし、今日はこれで行こう!

【ユーミン 春よ来い 】
春よ来い
【スピッツ 春の歌】
春の歌
【鈴木祥子 ときめきは涙に負けない】
ときめきは涙に負けない



今日の一枚
■大貫妙子 『春の手紙』

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春の手紙



2013.03.10 Sun l J-POP l コメント (0) トラックバック (0) l top
★ モーツァルト ピアノ協奏曲第20番 ★
モーツァルトの全作品の中で、恐らく私が一番愛している曲がこれだ。

ピアノ協奏曲第20番ニ短調 K.466

モーツァルトは全部で27曲のピアノ協奏曲を書いているが、短調の曲はこれと第24番 ハ短調の2曲だけだ。
元々貴族のお楽しみ的な当時の「音楽」。
暗い曲調になりがちな短調の曲の需要はあまり無かった訳だ。

○ 冒頭から不気味に入る ○
不安で不気味ですらある低声部から入る。
どの曲でも導入部の奏し方が大切だが、この曲の場合特にこの入りが重要だ。
何か禍々しい物が降臨して来そうな始まりで、弦によるシンコペーションがとても印象的だ。
聞いているこちらも、このシンコペーションに気持ちを煽られる感がある。
第2主題(ヘ長調)は独奏ピアノから始まって、オーケストラとの掛け合い。

○ アマデウスで流れた第2楽章 ○
随分前の作品になるが映画「アマデウス」のエンディングで使われたのが、この第2楽章。
しっとりとした美しい旋律が胸を打つ。

○ 突如激しい第3楽章 ○
第2楽章が大変ゆったりした、モーツァルトの叙情歌なので第3楽章への入りは心の準備が必要だ。
ピアノの激しい独奏から始まり、何か毅然とした雰囲気になる。
演奏によるのだが、このニ短調のメロディーには、心の闇を含んだ焦燥みたいなものを私は感じる。


【モーツァルト ピアノソナタ第2番】
ピアノソナタ第2番
【モーツァルト ピアノ協奏曲第17番】
ピアノ協奏曲第17番
【モーツァルト ピアノ協奏曲第9番『ジュノーム』】
ピアノ協奏曲第9番『ジュノーム』



この名曲には多くの名演と言われる録音が残されているが、今日はこの一枚を選ぶ。
<今日の一枚>
■モーツァルト ピアノ協奏曲第20ニ短調 K.466 & 24番ハ短調 K.491
 クララ・ハスキル(P) イーゴリ・マルケヴィチ指揮 コンセール・ラムルー管弦楽団

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この曲の持つ絶望的な闇を、美しいピアノタッチで一本骨の通った演奏で描き出していると思う。
マルケヴィッチのサポートも出過ぎること無く、締めるところはきちんと押さえていて見事だ。
ちなみに、この録音が終わったときにオーケストラ全員がスタンディングオベーションでハスキルを称えたという。
当時65歳だったハスキル。
この後、グリュミオーとの演奏会の前日に、ブリュッセルの駅で転落して亡くなってしまう。
脊椎側彎症を患っていたハスキルに差し出された支えの手を断って転落したという。

このCDは1960年録音でステレオ録音だ。
ハスキルが残した録音の中では、音質は良い方だ。


2013.03.08 Fri l モーツァルト l コメント (2) トラックバック (0) l top
★ モーツァルト ピアノ協奏曲第9番 『ジュノーム』 ★
先日17番を聞いたからだろう、猛烈に9番が聞きたくなった。
この変ホ長調K.271のコンチェルトは、フランスの女流ピアニスト「ジュノーム譲」がザルツブルクを訪れた際に献呈されたということで名付けられたと言われている。
モーツァルト研究で名高いアインシュタインがそう呼び始めたと聞いたことがある。
ついでにネーミングの理由については何も言わなかったとか・・。

○ ジュノーム嬢とは誰か? ○
では、「ジュノーム嬢」とは誰か??
これは長い間謎とされてきたが、2004年に突如解明された。
ローレンツという研究者がウィーンで発見したそうで、パリの舞踏家ジャン・ジョルジュ・ノヴェールの娘さんで ヴィクトワール・ジュナミー(Victoire Jenamy)だというのだ。
9年前のことだし、NYTに掲載された記事を見た人もいるでしょう。
ジュナミー嬢のピアノの腕前は、確かにかなりなものだったそうだ。
これで、無事解決。
ジュノーム嬢とはジュナミーさんだったのだ。

○ ピアノ協奏曲第9番 音楽的魅力 ○
さて、ネーミングはそれで良いとして肝心の音楽だが、この9番は冒頭からちょっと斬新。
いきなりオーケストラと独奏ピアノが会話を始める。
この曲が作曲されたのは1777年だが、その当時としてもモーツァルト本人にとっても異例の試みだったのではないか。
ピアニストもゆっくりしてはいられない。
良くベートーベンの第4協奏曲への影響を言われますね。
あの曲は、いきなりピアノ独奏から始まる。
形式的に見ると、その他にも第3楽章のロンドの中にメヌエットが入れられているが、通常コンチェルトにはメヌエット楽章は無かったので、これも新機軸だろうか。
印象的なのは第2楽章の冒頭。
平行短調のハ短調で、弱音器を付けているらしい弦が少しクグモッた音で陰鬱な表情を見せる。
この楽章の存在が全体の音楽に変化と彩りを持たせていると思う。


【モーツァルト ピアノソナタ第11番『トルコ行進曲付き』】
ピアノソナタ第11番『トルコ行進曲付き』
【モーツァルト ピアノ協奏曲第20番】
ピアノ協奏曲第20番
【モーツァルト ピアノ協奏曲第17番】
ピアノ協奏曲第17番



<今日の一枚>
■モーツァルト:ピアノ協奏曲第9番変ホ長調 K.271≪ジュノム≫&第23番イ長調 K.488
 クララ・ハスキル(P) パウル・ザッハー(K271), ベルンハルト・パウムガルトナー(K488)指揮 ウィーン交響楽団
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2013.03.07 Thu l モーツァルト l コメント (0) トラックバック (0) l top
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★ モーツァルト ピアノ協奏曲第17番 ★
3月に入った。
昨日3月3日ひな祭りの日に、ザ・シンフォニーホールでマリア・ジョアン・ピレシュのピアノ独奏でモーツァルトのピアノコンチェルト17番が演奏された。
しかも、オーケストラはベルナルト・ハイティンク指揮のロンドン交響楽団だ。
と言っても私はチケットを入手出来なかったので、入手出来た幸運な知人から様子を聞いただけだ。
曰く、「久しぶりにやられたって感じ!」
そう、ピレシュの清澄なピアノとハイティンク率いるロンドン響の隙の無い音の構築に打ちのめされた、という意味だ。
しかも、後半はベートーベンの第7シンフォニー。
こちらは躍動感溢れるリズムの嵐と、弦と管の絶妙な掛け合い、迫力に圧倒されたということ。
う~ん、実に羨ましい・・。

○ マリア・ジョアン・ピレシュ ○
このポルトガルの至宝といわれる女流ピアニストは、作曲家の意図に真摯な姿勢で迫り、余分な装飾を入れたり恣意的にテンポや曲想をいじるようなことをしない。
しかも彼女の紡ぎ出す音は、透明感のある実に爽やかな音だ。
モーツァルトにはぴったりだと思う。
1944年生まれと言うから今年で69歳になる訳だ。
大の親日家としても知られる彼女は、1969年に初来日している。
ピレシュのモーツァルトを聞くと、ルーマニアが生んだモーツァルト弾きの先輩クララ・ハスキルを思い出す。

○ クララ・ハスキル ○
「~~弾き」とレパートリーを限定するような形容詞は、恐らく演奏家に失礼だが、「天才的な弾き手」とか或いは単に「ハスキルのモーツァルトが好き!」という純粋な褒め言葉として使っている。
決してシューベルトがだめとかいう意味ではない。
ハスキルは1895年生まれで65歳で亡くなっている。
だから勿論残されている音源も、音は悪い。
私が愛して止まないモーツァルトのピアノソナタ2番、10番もモノラル録音でダイナミックレンジの狭い音だ。
しかし、それでも2番のソナタの第二楽章などは実に美しい。

○ モーツァルトへの秀逸なアプローチ ○
疾風怒涛、軽妙な音楽を展開する中で時折見せるモーツァルトの「哀しみ」。
これをスコアの中から丹念に、しかもそ~っと、タッチは明瞭に、濁らない音で引き出すことがモーツァルトの音楽への秀逸なアプローチだと私は思っている。(それは好みであって、正邪ではない)
ピレシュもハスキルもそれが出来る数少ないピアニストだと確信しているのだ。

○ ピアノ協奏曲第17番 ト長調 K.453 ○
このコンチェルトは1784年に次々と作曲された6曲のコンチェルトの内の一曲だ。
その頃モーツァルトはウィーンでの予約演奏会が好調で、会員数も170人?くらい(数字はちょっと怪しい)居たそうで、大忙しの中で書き上げたのだろう。
とにかく作曲期間の短いモーツァルトだが、この曲も質は高い。
モーツァルトらしい軽快さと可憐さが詰まっている。
とりわけ第2楽章が白眉だ!
アンダンテのゆっくりしたテンポで歌われる叙情的な歌は一度聞けば忘れられない。


【モーツァルト 交響曲第41番『ジュピター』 】
交響曲第41番『ジュピター』
【モーツァルト ピアノ協奏曲第20番】
ピアノ協奏曲第20番
【モーツァルト ピアノ協奏曲第9番『ジュノーム』】
ピアノ協奏曲第9番『ジュノーム』



<ピレシュがリリカルに聞かせてくれる一枚>
アバド指揮のヨーロッパ室内管弦楽団との息もぴったりです。
■モーツァルト 1. ピアノ協奏曲第17番ト長調K.453
          2. ピアノ協奏曲第21番ハ長調K.467
  マリア・ジョアン・ピレシュ(P)
  クラウディオ・アバド指揮 ヨーロッパ室内管弦楽団
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余談ですが、このマリア・ジョアン・ピレシュの「ピレシュ」はピリスと言ったりピリシュと言ったりします。
ポルトガル語表記では 『Maria João Pires』。
最近では、ポルトガル語の発音に一番近い「ピレシュ」に統一されてきているそうです。


2013.03.04 Mon l モーツァルト l コメント (0) トラックバック (0) l top
★ キース・ジャレット のピアノソロアルバム ★
今日土曜日は昼間モーツァルトのピアノコンチェルトを聞きながら、ちょっと仕事関係の調べものをしていた。
私にしては勤勉な土曜日。
従って、夜は静かに過ごしたいなぁと考えて、何を聞くか暫し考えた。
そうそう、モーツァルトと言えばキースジャレットのモーツァルトはいけてなかったな、などと考えたことがふと脳裏をかすめて、それじゃキースでイケテル音楽をという結論。
ジャズと言えばジャズなのだが、少し変わった?名演アルバムを選んだ。
『ザ・メロディ・アット・ナイト・ウィズ・ユー』(The Melody At Night,With you)
静かな夜に恋人とブランデーかカクテルでも飲みながら、お互いの瞳の奥の恋心を確かめる、なんてシーンに流れていたらきっと素敵だろう。
だが、勿論私にはそのようなロマンは有ろう筈も無く、ただ一人で部屋で読書の友になってくれるのみ。

〇 慢性疲労症候群 〇
キースは50歳過ぎでコンサート中に、極度の疲労感に襲われそのまま演奏不能に陥ってしまう。
その異常な疲労感は「慢性疲労症候群」というちょっと奇妙な病気が原因と診断される。
だが、症状は意外に重く、それから約2年間外出もままならない状態で自宅療養を余儀なくされる。
そして、その状況からようやく立ち直った頃に自宅のスタジオで録音したソロアルバムがこのアルバム。
再び音楽が出来る喜びを噛みしめながら、これまでの人生をじっくりと回顧するようなシンプルで穏やかな演奏。

〇 『ザ・メロディ・アット・ナイト・ウィズ・ユー』〇
1曲目の「I Loves You Porgy」、実に切々とピアノが歌う。
ジャズのピアノプレイに良くある、奇抜なアレンジやあざといテンポの変化などは一切ない。
ただ、シンプルにメロディーを歌う。
2曲目『I Got It Bad And That Ain't Good』では曲の半ばから右手が軽くジャズし始めるが、ここでもテクニックをひけらかす様なことはしない。
そのように、夜のための音楽は最後まで穏やかに奏でられる。
休日の朝に聞く場合は、外出予定の無いしとしとと雨の降る朝にでもお願いしたい。
このアルバムは献身的にキースを支え続けた奥様に献呈されている。
ちなみに、いつものグレン・グールドばりのキースの唸り声はこのアルバムでは殆ど聞かれない。(途中、僅かだが聞こえる箇所があるが)

■ キース・ジャレット 『ザ・メロディ・アット・ナイト・ウィズ・ユー』
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2013.03.03 Sun l ジャズ l コメント (0) トラックバック (0) l top