★ ヨハン・シュトラウス 喜歌劇 『こうもり』 ★

新年を迎えて、音楽も喜ばしいものが良い。
ヨハン・シュトラウスのオペレッタ『こうもり(Die Fledermaus) 』だ。
このヨハン・シュトラウスは勿論ワルツ王であるシュトラウス2世のことだ。
おやじさんである1世も数々のワルツやポルカ、ギャロップなどを遺している。
おやじさんの作で最も有名なのが、ウィーン・フィルのニューイヤーコンサートでもお馴染みの「ラデツキー行進曲」だ。

さて、『こうもり』だが、原作はロデリヒ・ベンディックスの喜劇『牢獄』から、アンリ・メイヤックとリュドヴィック・アレヴィが書いた『レヴェヨーン』という喜劇だ。
1874年の作曲なので、ヨハン・シュトラウス49歳頃の作品で、シュトラウスらしい楽しいワルツ満載の私の大好きなオペレッタだ。
私は小学生の頃に、『ラ・ボエーム』の第4幕最後のロドルフォの慟哭でオペラの涙を教えられ、『ワルキューレ』の圧倒的な迫力に打ちのめされ、そして『こうもり』で西洋人が愛する洒落たオペラの本当の楽しさを覚えた。
以来、年末からお正月にかけてどこかで必ずこの『こうもり』を楽しむことにしている。
ヨーロッパの歌劇場でも年末には『こうもり』を上演することが慣わしなっていたりする。

〇 あらすじ 〇
例によって、超あらすじをお伝えしよう。
---
・時と場所
 1874年ウィーン郊外
・あらすじ(3幕物のオペレッタ)
 富裕な銀行家アイゼンシュタイン氏は些細な罪から数日投獄されようとしている。
 それより数年前にファルケ博士とある仮装舞踏会に出掛けて酔っ払い、アイゼンシュタインは
 ファルケ博士を家まで送る筈だったのに公園?にホッタラかして先に帰ってしまう。
 こうもりの扮装のファルケ博士は翌朝目を覚まして、大勢の人に笑われて「こうもり博士」
 との異名をとってしまう。
 そう、この喜劇はアイゼンシュタインのお陰で大恥をかいたファルケ博士の「こうもりの復讐」
 なのだ。
 この復讐劇に、アイゼンシュタインの妻ロザリンデ、小間使いのアデーレ、アイゼンシュタイン
 が入る筈の刑務所の所長フランク、第2幕の中心人物の一人オルロフスキー公爵、
 ロザリンデの元カレであるアルフレードといった人が絡んで、喜劇を盛り上げる。
 そして、オペラの定石、惚れたハレタ、浮気がどうのこうのと男と女の本音と建前が交錯して、
 それでもこのオペレッタは最後は「シャンパンの泡」と全てを水に流す大団円。

---

〇 聴き所 〇
このオペレッタ、ワルツを中心に楽しい歌が溢れているのだが、まずは有名な「序曲」から胸が躍る。
「序曲」だけ独立して演奏されたり、ウィンナワルツのCD等に入れられたりするくらいシュトラウスの代表曲でもある。

冒頭、色男アルフレードの登場シーンで、「飛び去った小鳩よ」と歌う辺りでアルフレードのテノールが全開だ。
演出によるのだが、ここでアルフレードが別のオペラからの一節を歌いまくったりするのがまた楽しい。
このオペレッタはスコア上には台詞はあまり書かれていないため、アドリブ有りの演出で台詞もアリアも何が出てくるかお楽しみだ。
実際今日私が聴いた(観た)コヴェント・ガーデンのDVDでも、アルフレードが「椿姫」の乾杯の歌を歌ったり、アイゼンシュタインが「ヴァルキューレ」の第3幕の歌を歌ったりと何でもあり状態だ。

第2幕のオルロフスキー公爵の舞踏会(夜会)のシーンでも素晴らしい歌唱が聞かれる。
「各人各様」に楽しむのが僕の流儀、だと歌うオルロフスキー、ハンガリー人の伯爵夫人?に扮したロザリンデが「チャールダーシュ」を歌ったり、アイゼンシュタインが我が妻とは知らずに女持ちの時計を使ってロザリンデを口説く「時計の二重唱」、シャンパンで乾杯する際の合唱「シャンパンの歌」、など目白押しだ。

数々の舞台を経験してきた世界的な歌手が集められることの多いこのオペレッタの舞台はとにかく楽しいこと間違い無しだ。
洒落たお笑いの台詞や気のきいた寸劇は、舞台芸術のクールな魅力を教えてくれる。


<今日の一枚>
今日は名テノールであるプラシド・ドミンゴが指揮した、1983年の大晦日にコヴェント・ガーデン・ロイヤル・オペラで収録したDVDを観た。
この公演ではまず、ドミンゴがタクトを持って現れるところから大盛り上がりだ。
しかも、序曲でのドミンゴはもう全力投入で、序曲が終わって拍手に応えているドミンゴは既に汗まみれ。
観ていると、これで第3幕までもつのか??と余計な心配までしてしまうくらい力が入っている。
デニス・オニールが演じるアルフレードは人の良い色男で各所で聞き慣れたアリアを歌い始めて面白い。
第3幕では、アデーレの姉のイーダに引っ掛けて、酔っ払いの看守フロッシュがアイーダの「清きアイーダ」を歌い始めると、あまりの下手クソさに、指揮者のドミンゴが歌い始める一幕も。

第2幕では、例によってゲストが現れてのガラ・パフォーマンスがある。
ブラケットとヒンジ(コミック歌手)、シャルル・アズナヴール(シャンソン歌手・俳優)、メール・パークとウェイン・イーグリング(英国ロイヤル・パレエ)
バレエのシーンではシュトラウスのワルツ「春の声」が使われている。

また、イギリスでの公演ということもあって、台詞はドイツ語ではなく英語が多く使われている。

■J.シュトラウス 喜歌劇『こうもり』全曲
配役:
 アデーレ:ヒルデガルト・ハイヒェレ
 ロザリンデ:キリ・テ・カナワ
 アルフレード:デニス・オニール
 アイゼンシュタイン:ヘルマン・プライ
 他
コヴェント・ガーデン・ロイヤル・オペラ・ハウス管弦楽団・合唱団
指揮:プラシド・ドミンゴ


images.jpg
スポンサーサイト
2014.01.05 Sun l ヨハン・シュトラウス l コメント (2) トラックバック (0) l top