★ クライスラー 『愛の喜び』『愛の悲しみ』『美しきロスマリン』 ★

今日は、ヴァイオリンの小品を楽しもう。
フリッツ・クライスラーだ。
クライスラーはオーストリア出身のユダヤ系のヴァイオリン奏者で、作曲家だ。
自身も名ヴァイオリン奏者だった訳だが、素敵なヴァイオリンの為の小品をいくつも残してくれた。

クライスラーはなかなか謙虚な人だったらしく、自身の演奏会で演奏者も作曲家も全て自分の名前になるのを心苦しく感じ、自分のオリジナル作品を他の高名な作曲家(クープラン、ヴィヴァルディ、バッハ、ディッタースドルフなど)の作品である、或いはその編曲であると偽って発表した時期があった。
実はこの辺の事情は、別の観方もあるようだが、他の作曲家の名前を借りていたことは事実だ。
例えば、『ルイ13世の歌とパヴァーヌ』はクープランの作だと発表されていたが、勿論クライスラーのオリジナル作品だった。

〇 ヴァイオリン小品 〇
当時、いや今でもそうかもしれないが、ピアノの小品というものは結構沢山存在し、有名どころだけでもショパン、ドビュッシー、シューマン、リストなど枚挙に暇がない程だ。
しかし、ヴァイオリンとなると練習用のものも含めてあまり存在しなかったというのが実情だ。
そこで、クライスラーは自分自身の演奏会では勿論のこと、アマチュアも含めて広く愛されるヴァイオリン小品を創作したいと願っていたようだ。

〇 クライスラーの三部作 〇
今日聞く『愛の喜び』『愛の悲しみ』『美しきロスマリン』は、クライスラーの「古いウィーンの舞踏歌」三部作などと呼ばれている。
これは 1910年に「古典的手稿」として出版された中に収録されている。
この曲集の第10曲、11曲、12曲目に当たる。
また「愛の三部作」などとも呼ばれたりもするし、他の組み合わせもあったりする・・。
まぁ、とにかく三部作なのだ。

〇 愛の喜び(Liebesfreud) 〇
ハ長調の明るく快活で、正に「愛の喜び」に胸躍らせる曲調になっている。
三部形式で3拍子の喜ばしいワルツだ。
冒頭から重音を駆使して、聞いている以上に演奏は難しい曲だ。
中間部は、愛の余韻に浸るような夢見るメロディが美しい。

〇 愛の悲しみ(Liebesleid) 〇
この曲が「愛の喜び」と対になるのは、曲名からして納得だ。
イ短調でかかれた、憂いを含んだメロディから始まる。
こちらも三部形式で書かれたワルツ。

〇 美しきロスマリン 〇
こちらはト長調のワルツ。
やはり分かり易い3部形式で書かれており、優雅で甘美な旋律から始まる。

私は、幼い頃からクライスラーやサラサーテのヴァイオリン曲が好きで良く聴いた。
それは父の影響からで、私の父は特にヴァイオリンの音色を好んで、休みの日にはよく一緒にヴァイオリン協奏曲やこういった小品を聞いたのを思い出す。
そう言えば、父の18番はメンデルスゾーンやチャイコフスキーのコンチェルトだった。(18番と言っても聴くだけだが)


<今日の一枚>
今日は、ただヴァイオリンの音色に浸りたい気分なので、高いテクニックと温もりのある音が特徴であるパールマンでいかせて貰いたい。
パールマンは、いつも素直で明るいヴァイオリンの音色を聞かせてくれる。
■クライスラー:ヴァイオリン名曲集
イツァーク・パールマン(Vn.), サミュエル・サンダース(Pf.)

[曲目]
1. ウィーン奇想曲 作品2
2. ジプシーの女
3. スラヴ舞曲 第3番 ト長調
4. 美しきロスマリン
5. 愛の喜び
6. スペイン舞曲 (歌劇≪はかなき人生≫より)
7. 愛の悲しみ
8. ベートーヴェンの主題によるロンディーノ
9. 中国の太鼓 作品3
10. 踊る人形
11. ロンドンデリー・エア
12. 無言歌 作品62-1 ≪5月のそよ風≫
13. クープランのスタイルによる才たけた貴婦人
14. フラスキータのセレナード
15. アンダンテ・カンタービレ
16. ハンガリア舞曲 ヘ短調
17. カプリース 第20番
18. 岸辺のモリー
19. 悪魔のトリル

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<参考盤>
クライスラーには自作自演のCDが存在する。
西洋音楽の場合、作曲者本人による録音というものは大変貴重で、この録音もその一つだ。
録音が古いのでマスターに起因するノイズは避けられない。
テクニック的にも時代もあるのだろう(1910年~20年録音)愛の悲しみなどでもポルタメントが気になったりする。
しかし、正にオリジナルの音楽は一聴に値する。
■クライスラー:自作自演集
 フリッツ・クライスラー(Vn.)、ジョージ・フォールケンシュタイン, カール・ラムソン(Pf.)

[曲目]
1. 愛の喜び
2. 愛の悲しみ
3. 中国の太鼓op.3
4. ウィーン奇想曲
5. クープランのスタイルによるルイ13世の歌とパヴァーヌ
6. コレルリの主題による変奏曲
7. ベートーヴェンの主題によるロンディーノ
8. 美しきロスマリン
9. オールド・リフレイン
10. マルティーニのスタイルによるアンダンティーノ
11. ロマンティックな子守歌op.9
12. クープランのスタイルによるプロヴァンスの朝の歌
13. 誰が伝えられよう?
14. おもちゃの兵隊の行進
15. オーカッサンとニコレット
16. 羊飼いのマドリガル
17. ジプシー奇想曲
18. 道化役者
19. クープランのスタイルによる才たけた貴婦人

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2013.09.28 Sat l クライスラー l コメント (12) トラックバック (0) l top