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★ エリック・サティ 『ジムノペディ』 ★
エリック・サティ、この変わり者のフランスの作曲家は、多くの音楽家に影響を与えている。
同時代の作曲家である、ドビュッシーもラヴェルもその影響を公言して憚らなかったし、19世紀末から顕著になる西洋音楽の常識破壊に先鞭を付けた、しかも奇行の目立つ風変わりな作曲家だった。

教会旋法の採用や並進行の和声などで、一般的な調性の破壊を促し、拍子も統一的な把握から開放するなど、数々の当時のタブーを破った作曲家だと言える。
『家具の音楽』のように、音楽の聞き方(ただそこにある音楽)に一石を投じたり、『ヴェクサシオン』では52拍を840回の繰り返し指示を行ったり、誰もやらない事を平気でやりまくった。

曲のタイトルについても、何だこれ? と、思わず「聞きたくならない」タイトルが付けられたりしている。
例えば、
・「犬のための」ぶよぶよした前奏曲
・「犬のための」ぶよぶよした本当の前奏曲
・干からびた胎児
・でぶっちょ木製人形へのスケッチとからかい  
などなど・・。
「ぶよぶよ」は出版を拒否されたようで、「本当の」で再チャレンジしたようだ。
「干からびた」には ナマコの胎児 まで登場する始末で、確かに鑑賞意欲は湧かない。
タイトルで作品を評価することへの、サティらしい皮肉であろう。


〇 3つのジムノペディ 〇
このジムノペディはサティがまだ22歳の若い頃のピアノ曲だ。
パリ音楽院を中退し、軍隊に志願したのだがそこからも逃げ出し、酒場のピアノ弾きとして生計を立てていた頃の作品。
酒場にはトゥールーズ=ロートレックやヴェルレーヌらも顔を出し、サティは音楽家よりもそうした詩人や画家と交友を深めていたようだ。

そんな時期の作品「Trois Gymnopédies」はいずれも3分ほどの短い曲だが、次の3曲から成っている。

1.第1番 : Lent et douloureux(ゆっくり、痛々しげに)
2.第2番 : Lent et triste(ゆっくり、哀しげに)
3.第3番 : Lent et grave(ゆっくりと、荘重に)

〇 シンプルな音の巡り 〇
「低音の単音(弱音)」+ 「中音域の和音(強音)」という、1拍1拍歩むようなパターンの上で、緩やかなメロディーが流れる。
3曲とも同じような3拍子、2部形式の、無駄な音の一切無い実にシンプルな音楽。
これは、鑑賞する側からすると、自身の置かれる空間をイメージする為の音楽のように感じる。

私が、初めて聞いた時の空間イメージは、印象派の絵画が並んだ美術館を一人でゆっくり巡るようなイメージ。
ムソルグスキーの「展覧会の絵」のプロムナードに少し近いイメージだった。

何故か、私はサティが言う「痛々しい」「哀しい」というよりも、蕩うような安寧な歩みを感じた。
これからの季節、秋の夜長を彩る音楽にもなり得る。(曲が短かすぎるが・・)


<今日の一枚>
この曲の場合、ピアニストには何かを表現する、ということよりも、深く曲の中に沈潜して頂きたい。
そこで、パスカル・ロジェを引っ張り出した。
■3つのジムノペディ~サティ・ピアノ作品集
 パスカル・ロジェ(P)

1. ジムノペディ第1番
2. ジムノペディ第2番
3. ジムノペディ第3番
4. おまえが欲しい
5. 4つのしまりのない前奏曲(犬のための)
6. あやなす前奏曲
7. 4番目の夜想曲
8. 古い金貨と古い鎧
9. ひからびた胎児
10. グノシエンヌ第1番
11. グノシエンヌ第2番
12. グノシエンヌ第3番
13. グノシエンヌ第4番
14. グノシエンヌ第5番
15. グノシエンヌ第6番
16. 官僚的なソナチネ
17. ピカデリー
ジムノペディの他にも、グノシェンヌやジュ・トゥ・ヴー、ピカデリーなども収録されていて楽しいアルバムだ。
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<推薦盤1>
サティはあまり生真面目に弾き過ぎるよりも、洒落た大人の遊び然としたアプローチの方が楽しい。
サティ研究家でもあった、バルビエはチッコリーニともちょっと違う、サティの「ほんと」を教えてくれる。
しかし、CDの入手が困難になってきている・・。
■TWIN BEST エリック・サティ作品集
 ジャン=ジョエル・バルビエ(Pf)

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<推薦盤2>
サティを私たちに教えてくれた功労者とも言えるチッコリーニ。
敬意をもって接したい。
こちらは新しい録音になるが、1回目の録音時の方がもっとやんちゃだった。
こちらは少し大人になったチッコリーニが改めてサティを語ったという風情。
■ベスト・オブ・サティ
 アルド・チッコリーニ(Pf)

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2013.09.02 Mon l サティ l コメント (4) トラックバック (0) l top
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