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★ J.S.バッハ 無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ 第2番 ★

このところ、バッハを聴いている。
朝の通勤電車の中でも、バッハを聴くと心落ち着き、しかもこの「ソナタとパルティータ」は何度聴いても飽きるということがない。
底の知れないバッハ、聴き始めると私は引き込まれてしまう。


〇 『無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ BWV1001~6』 〇
この独奏ヴァイオリン為の楽曲は、3曲のソナタと3曲のパルティータが交互に配された、1番~3番までの全6曲からなっている。
この曲のバッハによる自筆浄書譜(所蔵:ベルリン国立図書館(プロイセン文化財団))には1720年と記されており、この所謂ケーテン時代のバッハは教会から解放されて、器楽作品を自由に書き上げた時期でもあり、また最愛の妻バルバラとの別れを迎えた時とも一致し、そうしたバッハを取り巻く環境の変化がこの作品に多大な影響を与えていたことは間違いないと思う。

バッハが実際に記した表題は
『Sei Solo. a Violino senza Basso accompagnato. Libro Primo.
da Joh: Seb: Bach. ao 1720.』


「通奏低音伴奏を伴わないヴァイオリンの為の6つの独奏曲。第1巻。1720年ヨハン・セバスチャン・バッハ。」
とでも訳せば良いだろうか。
おや?第1巻。まだあるのか?
そうだ、第2巻というのは、パブロ・カザルスの逸話でも有名な6曲からなる『無伴奏チェロ組曲』のことだ。

この「ソナタとパルティータ」、以下のような構成になっている。
1.ソナタ第1番ト短調 BWV1001
1.Adagio
2.Fuga. Allegro
3.Siciliano
4.Presto

2.パルティータ第1番ロ短調 BWV1002
1.Allemande (Double)
2.Courante (Double. Presto)
3.Sarabande (Double)
4.Tempo di Bourree (Double)

3.ソナタ第2番イ短調 BWV1003
1.Grave
2.Fuga
3.Andante
4.Allegro

4.パルティータ第2番ニ短調 BWV1004
1.Allemande
2.Courante
3.Sarabende
4.Gigue
5.Chaconne

5.ソナタ第3番ハ長調 BWV1005
1.Adagio
2.Fuga alla breve
3.Largo
4.Allegro assai

6.パルティータ第3番ホ長調 BWV1006
1.Preludio
2.Loure
3.Gavotte en Rondeau
4.Menuet I・II
5.Bourree
6.Gigue

全て、聴き応えのある曲集だが、今日は特にこの組曲中ある意味異色の取り扱いでもある、終曲にあの有名なシャコンヌを配する第2番を聴いた。

〇 ソナタ第2番イ短調 BWV1003 〇

1.Grave  イ短調 4/4拍子
2.Fuga イ短調 4/2拍子
3.Andante ハ長調 3/4拍子
4.Allegro  イ短調 2/2拍子


Adagioでは無く、Grave(重々しく・荘重に)から始まる。
第1番のソナタでも言える事だが、この出だしで背筋が伸びる。
装飾音も多く、跳躍的なパッセージもあって、陰鬱なメロディでありながら華々しい。
子供の頃に初めてこの冒頭(シェリングの演奏)を聴いたときには、何かすごいことが始まるような予感がしたものだ。
どこかでシャコンヌを聴いて、是非全曲が聴いてみたいと思って、家にあったシェリング盤を聴き始めたのだが、とにかく重音の迫力と開放弦まで駆使した和声、すごいな!とバッハに目を瞠った。

Fuga は長大だ。
前楽章からの余韻を引き、最初の2小節ほどの主題を300小節近い楽曲に仕立てている。
得意の対位法で積み上げられた音は、実に流麗にして荘厳だ。
息の長い音楽は、ひとたびも途切れることなく、最後まで長大なフーガを編み上げていく。

Andanteは平行調のハ長調で穏やかに書かれており、繰り返しを含む2部形式。
歌謡的なメロディと、まるで韻を踏むように繰り返されるオスティナートが、一挺のヴァイオリンによって織り成されていく。

Allegroは主調に戻って、これまでとは一転して重音は影を潜め、軽快な分散和音のメロディが心地よい。
しかもこの楽章は珍しくバッハ自身によるダイナミクスやボウイングの明確な指示がスコア上に残されており、解釈についても揺れが少ないように私は感じている。
逆に言うと、他の数々の箇所では演奏者による独自の解釈が為されており、この曲集がヴァイオリニストの永遠の目標になり、その演奏を拝聴する側にもはっきりと好みが分かれる要因のひとつになっていると思う。


〇 パルティータ第2番ニ短調 BWV1004 〇
『たった一挺のヴァイオリンでバッハは宇宙を・・・』 良く使われるフレーズだが、私にはこの2番のソナタとパルティータが正にその頂点に思える。
中でも、このパルティータ中の終曲シャコンヌが最高峰に君臨する。

1.Allemande 4/4拍子
2.Courante 3/4拍子
3.Sarabende 3/4拍子
4.Gigue 12/8拍子
5.Chaconne 3/4拍子
(全てニ短調)

定石通りアルマンドから始まって、クーラントではアルマンドの旋律を引き継ぐように独特の付点付きリズムで語られ、サラバンド、ジーグと典型的バロック組曲配列から最後は何故かシャコンヌ。
スペインが起源と言われる、このシャコンヌ、イタリア、フランスとあっと言う間に流行した、歌付きの舞曲であったようだ。
それがドイツに伝わり、我がバッハの手に掛かるとかくも見事な楽曲に仕上がる。

〇 シャコンヌ 〇
Chaconne は形式的に見ると、バッソ・オスティナートを伴う変奏曲と捉えられる。
また、同主調であるニ長調に転調する中間部を持つ3部形式と見ることも出来ると思う。
この曲は全曲を通して3拍子の2拍目からフレーズが始まるのだが、冒頭の付点四分音符と八分音符、この曲調を決定する重要なフレーズの始まりだが、バッハの自筆浄書譜を見ると旋律は単音で書かれている。
しかも和声は2分音符で書かれているので、八分音符を和音で弾くか単音で弾くか解釈が分かれるところだ。
私の愛聴盤であるヘンリック・シェリングは和音で弾いているし、ナタン・ミルシテインなどは単音で弾いている。
また、重音を弾く際のボウイングについても高音から弾くか低音から弾くか、旋律はどこまで弾き切るのかなど、演奏者によって違いがあり、この辺りは重箱の隅では済まない影響を曲調に与えており、じっくり聴いていると面白い。
全てを書き切っていないバッハのスコアをどう読み取るのか、演奏家の矜持を賭けた解釈の部分だ。


<今日の一枚>
今日は子供の頃に初めて聴いて、以来長年の愛聴盤であるヘンリック・シェリングで聴きたい。
シェリングの演奏は、非常に折り目正しい演奏だと思う。
必要以上にアゴーギクやディナーミクを入れることも無く、私的感情に耽溺することもない。
それを少し面白くないと感じる向きもあるかと思うが、とても安定したリズムとピッチの正確さもあって私は大変愛聴している盤だ。
■ バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ(全曲)
 ヘンリック・シェリング(Vn.) 1967年録音盤

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<推薦盤1>
シェリングは素晴らしいと思っているが、ミルシテインの演奏には感動する。
ヴァイオリニストにとって重音奏法だとか早いパッセージの神業的な処理などのテクニックが何のためにあるのか、実感させられる演奏になっている。
曰く「テクニックは筋肉のコントロールであってはならず、あくまでも自分が望む演奏を実現するための手段でなければならない」
シェリングよりもロマンティックな演奏だと私は感じる。
■ バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ (全曲)
 ナタン・ミルシテイン(Vn.)

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実は素晴らしい演奏は他にも枚挙に暇が無いくらい存在するし、敬愛するバッハとなると、もっともっと挙げたいところだが、今日はこれくらいに絞った。
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2014.05.17 Sat l バッハ l コメント (6) トラックバック (0) l top
★ J.Sバッハ チェンバロ協奏曲第5番 ★

実はこのところショパンばかり聞いていた。
バラード、ポロネーズ、スケルツォ、ワルツ、エチュード・・。
そして、今朝はバッハだ。
チェンバロ協奏曲第5番ヘ短調BWV1056。

チェンバロ協奏曲は以前にもこのブログで記事を書かせて頂いたのだが、私の場合、敬愛するバッハは何度でも登場することをご容赦頂きたい。
今朝はチェンバロで聞いたのだが、バッハの良い意味で古式蒼然とした落ち着きと郷愁まで感じさせる旋律美が真に素晴らしいと思う。

〇 威厳のある第1楽章 〇
4分の2拍子のリトルネッロ形式。
大変威厳を感じさせる全奏から始まる。
リトルネッロ主題では、チェンバロ(ピアノ)が弦楽に煌びやかな装飾を添えながら、独奏部では弦楽のサポート得て軽やかに主題を歌う。
形式美を守りながらも、旋律は自由に飛翔する。

〇 極めて美しい第2楽章 〇
このラルゴはとにかく美しい。
弦のピチカートに乗って、独奏チェンバロ(ピアノ)が有名な旋律を奏でる。
カンタータ第156番『わが片足すでに墓穴に入りぬ』のシンフォニア(所謂バッハのアリオーソ)に転用されている。
いかにも歌唱の似合う歌謡的なメロディだ。
このメロディは映画音楽に使われたり、チェロやギター、ピアノなどの様々な楽器用に編曲されている。

〇 小気味良い第3楽章 〇
主調に戻り、プレストで疾走する8分の3拍子の舞曲的な楽章だ。
切れ味の良いリトルネッロ主題と、バロック色溢れる独奏主題が絡み合って心地よいアンサンブルを演出する。


この『チェンバロ協奏曲第5番ヘ短調BWV1056』は10分ほどの作品だが、バッハの良さが凝縮した佳品と言ってよいと思う。


<今日の一枚>
今日は上述の通り、チェンバロだ。
ピノックの流麗なチェンバロが素晴らしい名盤を聴こう。
厳格にバッハを突き詰めるとリヒターのようなアプローチが必要になってくると思うのだが、バッハの楽しさを知るにはこの全集は最適だと言っていい。
居ずまいを正すばかりがバッハでは無いと、私は思う。
これはバッハのチェンバロ協奏曲の1台、2台、3台、4台のチェンバロ用の全てが楽しめる。
■バッハ:チェンバロ協奏曲全集
 トレバー・ピノック(指揮・チェンバロ) イングリッシュ・コンサート

【曲目】
1. チェンバロ協奏曲第1番ニ短調BWV1052
2. チェンバロ協奏曲第2番ホ長調BWV1053
3. チェンバロ協奏曲第3番ニ長調BWV1054
4. チェンバロ協奏曲第4番イ長調BWV1055
5. チェンバロ協奏曲第5番ヘ短調BWV1056
6. チェンバロ協奏曲第6番ヘ長調BWV1057~チェンバロと2本のブロックフレーテと弦のための
7. チェンバロ協奏曲第7番ト短調BWV1058
8. 2台のチェンバロのための協奏曲第1番ハ短調BWV1060
9. 2台のチェンバロのための協奏曲第2番ハ長調BWV1061
10. 2台のチェンバロのための協奏曲第3番ハ短調BWV1062
11. 3台のチェンバロのための協奏曲第1番ニ短調BWV1063
12. 3台のチェンバロのための協奏曲第2番ハ長調BWV1064
13. 4台のチェンバロのための協奏曲イ短調BWV1065
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<推薦盤>
推薦盤については繰り返しになるので前回の記事をご参照頂きたい。
【バッハ チェンバロコンチェルト】
チェンバロコンチェルト
2013.10.16 Wed l バッハ l コメント (2) トラックバック (0) l top
★ J.S.バッハ イタリア協奏曲 ヘ長調 ★
今日は、J.S.バッハの 「イタリア協奏曲ヘ長調BWV 971」 だ。
この曲は、先日ご紹介した 「フランス風序曲」 と共に『クラヴィーア練習曲集』第2巻 の中の一曲だ。

原題は、ドイツ語で「Concerto nach Italienischem Gusto」となっており、「イタリア趣味に則った協奏曲」とでも言えば良いのだろうか。

この曲の譜面には、珍しいことに「f(フォルテ)」「p(ピアノ)」の記号が記入されており、これはヴィヴァルディに代表されるイタリア式の合奏協奏曲(コンチェルト・グロッソ)でのトゥッティとソロの対比を表しており、2段鍵盤式チェンバロでの鍵盤の切替指示と考えて良いのだと思う。
バッハは若い頃から研究してきたイタリア様式のコンチェルト・グロッソを2段鍵盤のチェンバロで表現しようとしたのだ。

〇 明朗快活なメロディ 〇
曲は3楽章構成で、特に両端の楽章は青く澄んだイタリアの空の如く、軽快で明るい曲調だ。
「明朗快活」などと言うと、出来の悪い履歴書の自己アピールのようで恐縮だが、正にそのような形容がぴったりな明るい曲だ。
これに、演奏家を得ると「高貴」というファクターが加わるから堪らない。
バロック音楽にはバッハを頂点として、明るく聴き心地の良い音楽が数多くあるが、人をして感動せしむる楽曲を書いたのは、アルビノーニの数曲を除けば、バッハ一人だと思っている。

〇 活力溢れる 第1楽章 〇
速度の指定などは無いのだが、アレグロと考えていいと思う。
そういうメロディであり、軽快さが命だ。
この楽章はリトルネッロ形式とはいいながら、最初と最後のリトルネッロ主題以外ははっきりしない。
譜面で言えば、「f」指定がリトルネッロで、「p」指定がエピソードに当たるのだろうが、良く聞いていると一概にそうでもないように思える。
しかし、そうした揺らぎをもちながら、イタリア様式でとてつもなく楽しい曲を、バッハは私たちに遺してくれた。
私は、この曲を聴くととても元気になるのだ。

〇 しっとり美しい 第2楽章 〇
この楽章こそ、最もバッハらしいと私は思う。
アンダンテの指定で、曲はゆったりと流れる。
歩むようなバッソ・オスティナートに乗って、極めて美しい旋律が装飾的に詠われる。
両端楽章との対比が見事であり、このドイツ的な形式美も持ったアンダンテ楽章があるからこそのイタリア様式になっているところが、バッハだ。

〇 軽快の極み 第3楽章 〇
この楽章は、プレスト指定で軽快さの極みだ。
トゥッティとソロのニュアンスを、曲の陰影に心地よく投影しながら突き進む。
各声部の音の重ね方は、バッハ得意の対位法を駆使しており、リトルネッロ主題の展開などはとても面白いし、モーツァルト以降のピアノソナタへの道を示していると感じる。


<今日の一枚>
今日は軽快なピアノで聞きたい気分だ。
シフで行きたい。
まあ、とにかく心地よい演奏なのだ。
これは単に軽快なだけではない、音の粒立ちが良く、しかも滑らかだ。
両端楽章はそのように、春の草原を舞う蝶のように軽やかなバッハで、中間楽章は十分に脱力が出来ている。
このアンダンテは力みがあっては、心のつかえになってしまう。
■イタリア協奏曲/シフ・プレイズ・バッハ
 アンドラーシュ・シフ(Pf)

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<推薦盤1>
元気になりたい時や爽やかな朝にイタリア協奏曲を聞くには、断然シフがお勧めだが、深夜に読書の友にしたり雨の昼下がりに聞くならブレンデルがいい。
軽みと共にブレンデル特有の温もりが母のように優しく包んでくれるバッハだ。
■バッハ:イタリア協奏曲、他
 アルフレッド・ブレンデル(Pf)

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<推薦盤2>
チェンバロから選ぶなら、レオンハルトが総合的にいいと思う。
少しゆったりめのテンポで丁寧に音を紡いでいく、いつものレオンハルトだ。
こちらは2枚組みで、レオンハルトのバッハを堪能できる。
■バッハ:イタリア協奏曲
 グスタフ・レオンハルト(Cmeb.)

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2013.09.09 Mon l バッハ l コメント (6) トラックバック (0) l top
★ J.S.バッハ フランス風序曲 ★
J.S.バッハの フランス風序曲(Ouverture nach Französicher Art)ロ短調BWV 831 とは、バッハが編んだ『クラヴィーア練習曲集』第2巻の中の一曲だ。
そして、もう一曲が『イタリア協奏曲』ヘ長調BWV 971。
この『クラヴィーア練習曲集』第2巻の2曲は、まことにバッハらしい対比が為されていて、『イタリア協奏曲』の方は、合奏協奏曲を2段鍵盤に持ってきたものであり、『フランス風序曲』の方は、管弦楽組曲の様式をそのまま2段鍵盤に対応させたものだと言えると思う。
さらには、調性も長調と短調、しかもイ長調とロ短調は減5度の関係にあり最遠隔調、あの手この手でその当時の流行の中でイタリア様式とフランス様式を意図的に対比させようとしている。

〇 フランス風序曲 〇
『フランス風序曲』は以下の8曲から成っている。

1 序曲 Ouverture
2 クーラント Courante
3 ガヴォット Gavotte
4 パスピエ Passepied
5 サラバンド Sarabande
6 ブーレ Bourrée
7 ジーグ Gigue
8 エコー Echo

バッハのこのパルティータは名前の通り、フランス技法に則った序曲であり、ルイ・クープラン、ダングルベールといった17世紀のクラヴサン曲の影響がみられる。
しかし、かなりフランス的とは言いながらも、やはりバッハ、クープランらよりもかっちりと対位法によってドイツ風の味付けが感じられる。
特に、最初の序曲が私は素晴らしいと思う。
堂々としたこの序曲は、荘重なのだが、しかしあまり遅いテンポにならないように軽やかに弾ききって貰いたいというのがCDチョイスの前提になる。

序曲に続く、各舞曲はバッハにしてはちょっと珍しいくらい実際に踊れそうな原典に忠実な形式となっている。

【バッハ ゴルトベルク変奏曲】
ゴルトベルク変奏曲
【バッハ ブランデンブルク協奏曲】
ブランデンブルク協奏曲
【バッハ チェンバロコンチェルト】
チェンバロコンチェルト

<今日の一枚>
今日はこれをグールドのピアノで聞こう!
グールドの演奏がSA-CDハイブリッドで蘇った盤だ。
グールドは序曲をかなり遅く演奏するのだが、それでも引き込まれる魅力から逃れられない・・。
■バッハ:フランス組曲(全曲)&フランス風序曲
 グレン・グールド(P)

SA-CDハイブリッド 2ch音匠仕様レーベルコート CD2枚組
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<推薦盤1>
この曲は、やはり元々チェンバロの為の曲である訳なので、レオンハルトは王道を行っている。
■バッハ:フーガの技法&クラヴィーア練習曲集第2巻
 グスタフ・レオンハルト(Cemb)

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2013.07.14 Sun l バッハ l コメント (1) トラックバック (0) l top
★ バッハ ゴルトベルク変奏曲 BWV988 ★
今日はバッハだ。
このゴルトベルク変奏曲は、バッハのクラヴィーア練習曲集の第4巻にあたるもので、名前の通り32小節からなるアリアに挟まれた30曲の変奏曲のことで、全部で32曲からなっている。

〇 本当に第4巻か?? 〇
第4巻に当たると言っておきながら何だが、バッハはこの変奏曲集に第4巻とは名づけていない。

クラヴィーア練習曲集とは
第1巻・・第1番~第6番の「パルティータ」。1段鍵盤式チェンバロの為6つの組曲
第2巻・・「イタリア協奏曲」、「フランス風序曲」 2段鍵盤式チェンバロの為の曲
第3巻・・オルガン用練習曲 近年ではピアノやチェンバロで演奏されることが多い「4つのデュエット」を含む


とここまではちゃんとバッハ自身が書き記した標題に番号が入っているのだが、この曲集にはそれが無い。

バッハが記した標題は
『Clavier Ubung bestehend in einer ARIA mit verschiedenen Veraenderungen vors Clavicimbal mit 2 Manualen』
2段鍵盤式クラヴィチェンバロの為のアリアと様々な変奏曲 とでも言えばいいか。

一説には、出版社が変ったことによる出版社側の意向ではないか、とも言われているが、この頑固一徹のバッハが3巻までナンバリングしてきたものを、そんな事でハイハイと承諾するようには私には思えない。
書き忘れたのでは?などというのは論外だ。
この点はまだ謎のままだが(と言うか、あまり問題視しているのを聞いたこともないが)、3巻までとは何か異なる事情があってバッハの中では別物だったのではないかと私は考えている。

〇 ゴルトベルクって何? 〇
それじゃ、何が特別な事情かと言えば、このネーミングにまつわる逸話がある。
曰く
「ザクセン選帝侯に仕えたカイザーリンク伯爵は、当時ヨハン・ゴットリープ・ゴルトベルク少年を伴ってライプツィッヒのバッハの元へ赴き音楽の手ほどきを受けさせていた。病気がちだった伯爵は不眠症で悩んでおり、眠れぬ夜の慰めにゴルトベルク少年に弾かせる穏やかで明るいクラヴィーア曲を作曲してくれと依頼した。」
というのである。
その依頼を受けて、バッハがこの変奏曲集を作曲したから、『ゴルトベルク変奏曲』だと。
なるほど、ありそうな話だ。

この逸話に登場するカイザーリンク伯爵もゴルトベルク少年も実在の人物のようであるが、しかし当時ゴルトベルク少年はまだ14歳。
しかも彼が残したものや彼に纏わるお話の中に、チェンバロの達人だったような証跡は何もない。
ゴルトベルク変奏曲を聞いて頂けば分かるが、これはかなりの演奏テクニックを要する難曲の部類だ。
とてもゴルトベルク少年が弾きこなしたとは思えないのである。

この逸話のような事実があれば、このクラヴィーア練習曲集が一連の第4巻ではなくて特別な(カイザーリンク伯爵の為の)変奏曲集だったのだ!! と言えるのだが・・残念ながらちょっと無理がある。
ま、しかし、そのようなネーミングが為される様な「特別な何か」はあったのだろう。

〇 全てがシンメトリックに構成されている 〇
いかにも「頑固な堅物」バッハらしい構成になっている。
この形容詞は勿論悪口ではない。
自分の考える「音楽」には全く妥協しない職人だったという尊称の積もりだ。

まず、全体構成だが、アリアから始まりアリアに終わることはもう言ったが、間の30曲ある変奏が前半と後半に分かれている。
第16変奏がフランス風序曲で書かれており、後半の始まりを告げる。
このように前半、後半16曲づつの2部構成。
最初と最後に置かれているアリアも全部で32小節の所謂サラバンドだが、前半後半できっちり16小節に分かれている。
そして、全部で32音ある低音主題がこの32小節に割り当てられている。
まことに律儀ではないか。
さらに、各曲も2部構成で前半・後半に分かれて繰り返される。

また、第3変奏から順に3の倍数に当たる変奏曲はカノンで書かれており、第3変奏が同度のカノンでそれから第27変奏の9度のカノンまで綺麗に並べられている。
そして、最後の第30変奏はカノンではなくクオドリベットが置かれている。
このクオドリベットというのは馴染みのないものだが、周知された複数の旋律を組み合わせた曲を指し、バッハは当時の良く歌われたらしい2つの民謡を対位法を使って組み合わせている。

ここまで徹底的に構築美に拘るバッハ。
ああ、いかにもバッハらしいではないですか?

〇 アリアが全てを決める 〇
上で書いたように、曲集の構造上も重要な意味を持つアリアだが、全体の曲想をもこのアリアが導き出しているように思える。
従って、良く知られた冒頭のアリアは演奏する上においてもとても大切だ。
CDを選ぶ際にも、アリアを聞けば大体その演奏者の方向性は分かると言ってもいいぐらいだ。
「全てを」などと言っては、もう暴言の類だが、そのくらい私はアリアを気合を入れて聞くし、楽しみにもしているという意味だ。

〇 ランドフスカとグレン・グールド 〇
さて、この曲が今日コンサートにかかるようになった背景には二人の重要なピアニスト(チェンバロ奏者)がいる。
なんとこの素晴らしい曲が19世紀には半分忘れられていたというのだから恐ろしい。
バッハの場合その手のお話は他にもある。
マタイ受難曲、平均律クラヴィーア、無伴奏チェロ組曲・・・。

ワンダ・ランドフスカはポーランド生まれのチェンバロ奏者(ピアニスト)だ。
彼女はチェンバロという楽器そのものを復活させた功労者と言って良い。
彼女がモダンチェンバロを使って録音した「ゴルトベルク変奏曲」「平均律クラヴィーア曲集」は私たちにチェンバロと言う楽器の持つ音の魅力と表現の可能性を教えてくれた。

そして、言わずと知れたカナダが生んだ天才ピアニスト グレン・グールドの登場だ。
独特の演奏スタイルと斬新な解釈、個性を貫く強靭な意志の持ち主だった。
1955年に録音されたデビューアルバムがこの「ゴルトベルク変奏曲」で、これがクラシックとしては異例のチャート1位に輝くなど全米を震撼させた。

従って、この曲を語るにはこの二人を無視することなど出来ない。


【バッハ フランス風序曲】
フランス風序曲
【バッハ ブランデンブルク協奏曲】
ブランデンブルク協奏曲
【バッハ チェンバロコンチェルト】
チェンバロコンチェルト



<今日の一枚>
だが、今日聞いたのはランドフスカでもグールドでもない。
レオンハルトでもリヒターでもなくて、アンドレイ・ガヴリーロフだ。
このロシアのピアニストは、ザルツブルク音楽祭でリヒテルの代役を務めた強者だ。
当時19歳。
■バッハ ゴルトベルク変奏曲
 アンドレイ・ガヴリーロフ(P)
ガヴリーロフのヴィルトゥオーソぶりが遺憾無く発揮されている。
2段鍵盤用の曲はピアノで演奏する際に左右の手が交錯したり、場合によっては同音を弾くことになったりと、処理が難しい筈なのだが、あっさりと弾きこなしている。
ある意味外連の塊のようなグールドを聞いていると、尚更このガヴリーロフは外連味の無い爽快さとスピード感溢れるバッハに感じる。
最近とてもお気に入りの盤だ。

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<推薦盤1>
グレン・グールドには記事本文にも書いた、1955年のセンセーショナルな盤があるのだが、ここでは悟りの境地に達したかに見える1981年録音のグールドをお奨めしたい。
■バッハ:ゴールドベルク変奏曲(1981年録音)

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<推薦盤2>
お約束の盤をもう一枚ご紹介しよう。
こちらは記事本文でも紹介したランドフスカだ。
1936年の録音なので、音質についてはあまりお奨めできないが、ゴルトベルク変奏曲というこの曲を愛する人には絶対押さえて貰いたい、バッハの音楽への色付けの規範みたいなものがここにはある。

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2013.05.26 Sun l バッハ l コメント (0) トラックバック (0) l top
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