★ ドボルザーク スラブ舞曲集 ★
このドボルザークのスラブ舞曲集は、ブラームスハンガリー舞曲集が売れたことで大変気をよくしたジムロック社からのオファーでドボルザークが書いている。
第1集(8曲)と第2集(8曲)から成り、全部で16曲の舞曲なのだが、当初はハンガリー舞曲同様4手の為のピアノ連弾曲集として書かれたものだ。
そして、これまたハンガリー舞曲同様、管弦楽曲に編曲されている。
ハンガリー舞曲と大きく異なる点は、全てドボルザークオリジナルのメロディであり、オーケストレーションもドボルザークが自身で行っていることだ。

【弊ブログご参照】
→ブラームス ハンガリー舞曲集

〇 スラブ舞曲 〇
このスラブ舞曲集に現れる民族舞踊には、次のようなチェコ出身の作曲家らしい独特なものがある。

フリアント:ボヘミヤの民族舞踊で2拍子と3拍子が交互に入れ替わる、なかなか熱いダンス
ドゥムカ:元々はウクライナの民族音楽だが、ボヘミヤ地方でも愛された
ポルカ:ポルカは日本でも親しまれている音楽だが、これも元々はボヘミヤ起源の民族舞踊。
ソウセツカー:メヌエットのように3拍子の曲に乗って踊るボヘミヤの民族舞踊
スコチナー:こちらは2拍子のボヘミヤ民族舞踊

ブラームスはハンガリー出身ではなかったので、ハンガリー舞曲は採譜したものが中心になったが、さすがドボルザークは自分の故郷の民族舞踊であるので、特徴を熟知した上で新たにメロディーを作っている。
そして、ブラームスも羨んだメロディメーカーであるドボルザークは、極めて民族色豊かで尚且つ普遍性を持った魅力的な舞曲集に仕上げた。

〇 中でも有名な、第2集第2番 〇
全16曲の中で、日本でも一番愛されているのは何と言っても第2集の2番目(通し番号で第10番と言われることもある)の曲だろう。

第2番 アレグレット・グラツィオーソ ホ短調
我々日本人の大好きな(勿論私も)、短調の哀愁に満ちた美しいメロディが印象的だ。
日本でもテレビのドキュメンタリー番組や映画のバックで使われたりしている。
♪スラブ舞曲第10番

〇 アンコールピース 〇
この愛すべき小品集(全て3分~7分程度)は、アンコール・ピースによく使われる。
先日の大阪フェスティバルホールでのモスクワ・フィル(ユーリ・シモノフ指揮)での演奏会でも、アンコールにスラブ舞曲が演奏された。(第1集第8番と第2集第2番だったかと思う)
ロシアも東スラブ族に含まれる訳で、やはり本場と言っていいのだろう。
演奏している楽団員も活き活きと楽しそうに演奏していたのが印象的だ。
指揮者のシモノフさんも、有名な第10番の指揮の際には、夢見るような表情で、優雅に舞うように指揮していた。


【ドボルザーク 交響曲第8番】
交響曲第8番


<今日の一枚>
ここはやはり本場も本場、チェコ出身のクーベリックで聞きたい。
クーベリックは同郷のドボルザークの舞曲を、耳当たりの良い管弦楽曲にする積もりは毛頭無く、熱く誇りを持ってスラブ舞曲を語っているように聞こえる。
とてもスリリングで、細部まで手を抜かない本物を聞かせてくれる。
■ドヴォルザーク:スラヴ舞曲集(全16曲)
 ラファエル・クーベリック指揮 バイエルン放送交響楽団
 
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<推薦盤1>
こちらは同じくチェコ出身のノイマンだ。
そして、オーケストラもチェコ・フィルハーモニーと純正スラブ音楽だ。
ノイマンは手兵チェコ・フィルの美音を活かして、とても余裕を持って祖国の音楽を楽しんでいるように思う。
しかもこの盤はデジタル録音で音質が極めて良い。
■ドヴォルザーク:スラヴ舞曲集(全曲) [HQCD]
 ヴァーツラフ・ノイマン指揮 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 1985年[PCM デジタル録音]

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2013.07.05 Fri l ドヴォルザーク l コメント (2) トラックバック (0) l top
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★ ドヴォルザーク 交響曲第8番 ★
今日は気分を変えてチェコが生んだ偉大な作曲家ドヴォルザークでいこう。
ブラームスによってメジャーな作曲家への階段を上ったドヴォルザーク、メロディメーカーとしてはそのブラームスが羨ましがったほどの天才だ。
抒情的で美しいメロディを次々と生み出し、それを惜しげもなく1曲の中に投入して涼しい顔、ドヴォルザークの天才はチャイコフスキーに匹敵する。
この曲、以前は「イギリス」とか「ロンドン」と呼ばれたことがあるが、曲想には何の関係もない。
楽譜の出版社がらみの話で(ジム・ロック社と原稿料で揉めていた)、最終的にイギリスの出版社から出版されたからに過ぎない。
今ではあまりそのように呼ばなくなった。(それで宜しいかと)

〇 名前の話 〇
ドヴォルザークに限ったことではないが、その名前について日本語表記が時代とともに変遷している。
私が子供の頃は
「ドボルザーク」
だった。
まぁ、ベートーヴェンもベートーベンだった。
ところが、この表記には日本語としてはあまり意味はない。
実際に発音する場合には、ドヴォルもドボルも同じだ。
ヴェンとベンも同様。
「V」と「B」を区別しているのかも知れないが、個人的にはドボルザークでいいんじゃないかと思う。
それよりも、ドヴォジャークという表記も使われて、これには意味がある。
チェコ語の発音が正にドヴォジャークに近い。
Antonín Leopold Dvořák [ˈantɔɲiːn ˈlɛɔpɔlt ˈdvɔr̝aːk]
アントニン・レオポルト・ドヴォジャークとなる。
この辺り、ドヴォジャークまでいくと全くの別人扱いになりそうで、日本ではドヴォルザークでいきませんか?
(いずれにしても、ヨーロッパでドヴォルザークと言っても通じません)

〇 いきなり第1主題 〇
さて、名前の話はもう良いとして、この『第8交響曲ト長調 作品88』の第1楽章はドヴォルザーク得意の、一発で聞き手の心を掴む印象的な主題が序奏なしで提示される。
この抒情的な主題はト短調で提示され、フッと転調してト長調の第2主題がフルートに出る。
ああ、この辺りとてもドヴォルザーク。
ほんとに惜しげもなく美しいメロディを私達にプレゼントしてくれる。
経過句も非常にメロディアスで、ソナタ形式で書かれているはずのこの曲に一体いくつ主題があるのかと思わせるほどだ。
そして、第1主題に戻って再現部なのだと思うと、第2主題はあっさり流して、金管も投入されてどんどん盛り上がってコーダへ突入する。

〇 美しい弦 〇
第2楽章は、まずヴァイオリンを中心に弦が切ないメロディを奏でる。
ドヴォルザークの緩徐楽章は比類なく美しい。
とてもボヘミアンな音場が弦と木管によって構築されていく。
中間部で、突然ティンパニのドラムロールが入り瞑想が破られる。
う~ん、巧みなオーケストレーションだ。
思っていると、ヴァイオリンのソロが美音を鳴らし、全奏に移行。
そして、最後には静かにこの楽章を終える。

〇 メランコリックなワルツ 〇
第3楽章は、いきなりメランコリックなワルツで始まる。
ブラームスが羨む訳で、ブラームスには逆立ちしてもこのようなワルツは書けなかっただろう。
しかし、ドヴォルザークはどんなに足掻いてもブラームスのあの高みには到達できなかった。
ああ、だが美しいワルツだ、自然にメロディを追って身体が動いてしまいませんか?

〇 金管が大活躍・終楽章 〇
さぁ、ここまで我慢してきた金管がここで爆発するかのごとく終楽章では踊る。
いきなりトランペットのファンファーレ。
オペラのようだ。(例えば、ヴェルディのアイーダ)
シンプルなトランペットなのだが、一面少し下品でもある訳で、ブラームスの域に達し得なかったと私が思う一因。
とにかく、終楽章はオーケストラが躍動して音楽を聞く興奮を教えてくれる。


【ドヴォルザーク スラブ舞曲集】
スラブ舞曲集


<今日の一枚>
イシュトヴァン・ケルテスがロンドン・フィルを振った盤。
この才能溢れるハンガリー出身の指揮者は43歳の若さで遊泳中に高波にさらわれ亡くなってしまう。
これはまだ30代のバリバリ若手で嘱望されていたころの録音。
ケルテスがロンドン・フィルの美音を上手に引出し、ボヘミアンな郷愁を歌っている。
■ドヴォルザーク 交響曲第8番ト長調 作品88、第9番ホ短調 作品95(新世界より)
 イシュトヴァン・ケルテス指揮 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団

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<推薦盤>
やはり本家の音は聞かなければならない。
ヴァーツラフ・ノイマンがチョコ・フィルを振ったこの盤、もしかするとチョコ人にしか表現できないニュアンスがドヴォルザークの抒情性にアドオンされている。
私はドヴォの交響曲全集もノイマンで揃えているが、これはその中からチョイスされ 20ビット・リマスタリングされた盤。
音がいい!
■ドヴォルザーク 交響曲 第7番 ニ短調 作品70、交響曲 第8番 ト長調 作品88
ヴァーツラフ・ノイマン指揮 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
(高音質「ブルースペックCD」仕様 )

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この際ドヴォルザークの交響曲全部欲しい!という方はこちらで。(私もその口だった)
■ドヴォルザーク 交響曲全集(ノイマン2度目の全集でデジタル録音盤)
 ヴァーツラフ・ノイマン指揮 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

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2013.05.22 Wed l ドヴォルザーク l コメント (2) トラックバック (0) l top