★ 高橋大輔選手 『道化師』 ★
昨日夜、カナダで開催されているフィギュアスケート世界選手権男子の放送があった。
現地では既に結果が出て、私もその結果を知ったうえで放送を観た。
日本の若きヒーロー羽生結弦選手は足の怪我に負けずに、現状出来る最善の演技をし切った。
又、日本のエース高橋大輔選手はジャンプの不調に悩まされつつも、頑張った。
結果、羽生選手が4位、高橋選手は6位だった。
とにかくソチの日本選手枠の3つを取ってくれた。
良く頑張った!
無良崇人選手もベストの演技で8位に入った。
素晴らしい。心から日本の3選手の健闘を讃えたい。

〇 高橋大輔 フリーの使用曲 〇
さて、今シーズン高橋選手がフリーで使用しているのが、ルッジェーロ・レオンカヴァッロ作曲のオペラ「道化師」(I Pagliacci)からの音楽だ。
このパリアッチは所謂ヴェリズモ・オペラの傑作で、同じくヴェリズモの傑作と言われるマスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」と並んで、今日でも良く上演される有名なオペラだ。
味もソッケも無い言い方をすれば、旅回り一座の座長カニオが奥さんの不貞に怒り、舞台の上で女房とその情夫を刺殺してしまうという悲劇だ。

〇 映画「アンタッチャブル」 〇
パリアッチと言うと、何故かすぐに思い出してしまうのが、大分前の映画になるが「アンタッチャブル」という映画だ。
エリオット・ネスのケビン・コスナーと、ベテラン刑事を演じたショーン・コネリー、いい味出してましたねー。
この映画の中で、ギャングの親玉アル・カポネが暗殺指令(だったかな?)を出し、その報告をオペラ観劇中に受けるのだが、その時のオペラがこのパリアッチ。
その1幕目の最後でカニオ(道化師役)が歌うのが「衣装を着けろ」で、カポネはこのアリアで涙を拭きながら血生臭い報告を聞くというシーンがとても印象的だった。
劇中劇の幕を開けなければならない座長が『笑え!パリアッチョ』と自嘲気味に叫んで号泣するシーンだ。
この劇的効果の高い音楽が映画にもバッチリ嵌っていた。

〇 高橋大輔の表現力 〇
セムシのトニオがプロローグで、「舞台では道化師は笑っているけど、役者だって人間。血もあれば肉もある。それを理解している作曲者はこのオペラを涙を流しながら作曲したのです。」みたいの口上を述べる。
冷酷非情なカポネも涙した、このパリアッチョの思いを高橋選手は表現しているのだろうか、と考えながら演技を観ていた。
特に見せ場であるラインステップ辺りからの高橋選手の表現力は群を抜いている。
結果の順位よりも、実に感動的な演技だと思った次第である。


【ヴェルディ 『椿姫』】
『椿姫』
【ロッシーニ 『泥棒かささぎ』】
『泥棒かささぎ』


<今日の一枚>
■レオンカヴァッロ 歌劇『道化師』全曲
 カニオ・・・・マリオ・デル・モナコ
 ネッダ・・・・ガブリエラ・トゥッチ
 トニオ・・・・コーネル・マックニール
 ローマ聖チェチーリア音楽院合唱団、管弦楽団
 指揮・・・フランチェスコ・モリナーリ・プラデルリ

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これは正に歴史的名盤だ。
「黄金のトラッペット」と言われた名テノール、デル・モナコのカニオがとにかく素晴らしい。
イタリアオペラの歴史上でも、並ぶもののないドラマティックテノールだ。
カニオ以外でも、ラダメス、カヴァラドッシ、アンドレア・シェニエやこの4月に大阪フェルティバルホールで上演されるオテロ役などをやらせたら右に出るものはなかった。
モリナーリ・プラデルリの率いるサンタチェチーリアも安定した演奏をみせている。


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2013.03.17 Sun l フィギュアスケート l コメント (0) トラックバック (0) l top
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 ★ 真央ちゃん 『白鳥の湖』 ★ 
ご存じの通り、先日のフィギュアスケート四大陸選手権女子は浅田真央ちゃんがSPで会心のトリプルアクセルを決めて見事に優勝しました。
しかも、鈴木明子さんや村上佳菜子ちゃんと合わせて、表彰台を日本勢で独占!
私たち日本人のファンにとっては、この上ない結果になりましたね。
いつも私たちに感動と勇気を与えてくれる日本選手達に大きなエールを送りたいと思います。

さて、その真央ちゃんが今シーズン フリーで使っている音楽が言わずと知れた『白鳥の湖』。
ロシアが生んだ偉大な作曲家ピョートル・イリイチ・チャイコフスキーの有名なバレエ音楽ですね。
私が幼い頃、バレエ音楽=エルネスト・アンセルメ指揮のスイスロマンドと相場が決まっていました。
従って、私もアンセルメのチャイコフスキーを何度も聞いたものです。
当時小学生だった私は、バレエの舞台を観に行くようなお金を持っていませんでしたから、専らLPレコードで楽しんでいた訳です。
『白鳥の湖』と並行して、シンフォニーも愛聴していたのですが、有名な4番、5番、6番(悲愴)といったシンフォニーに比べてバレー音楽は「な~にか物足りない」と感じたものです。
元々通俗性の強いチャイコフスキーの音楽はトッツキは良いが飽きやすい、みたいな特徴があるように思うのですが、この物足らなさは不思議に思っていました。

そして、あるとき突然思い当りました、そう当たり前みたいなことですが、バレエが無かったのです。
当時はLPレコードの時代で、DVDもCDもありませんでした。
LIVEで無ければ、映像はTVが頼りの時代だったのですから、オペラもバレエも実際の舞台を鑑賞するのは大変なことでした。
そんな折、たまたまそのTV放送でバレエの舞台(ボリショイだったと思います)に触れて、お~完璧だと感動しつつ、「なるほど、チャイコフスキーのバレエ音楽は音楽だけでは80%に恣意的に抑えてあるんだ」と私なりに理解したのです。
『白鳥の湖』はバレエがあって、初めて完成する。

真央ちゃんの演技を観ていて、このことを思い出していました。
聞き慣れたはずの『白鳥の湖』が、なんだか別の音楽に聞こえたのです。
フィギュアなりのアレンジとかそうことではなくて、真央ちゃんの自信に溢れた演技は『白鳥の湖』の持つ音楽アイデンティティをも変えた、ということでしょうか。
真央ちゃんの『白鳥の湖』は真央ちゃんの演技があって初めて完成する。
自分のものにした感がありますね。
ソチまで後約1年。
頑張れ!真央ちゃん。


【チャイコフスキー 交響曲第4番】
交響曲第4番
【チャイコフスキー 交響曲第5番】
交響曲第5番





チャイコフスキー『白鳥の湖』
2013.02.13 Wed l フィギュアスケート l コメント (1) トラックバック (0) l top